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第12話の副題は「世界一素敵なメイド」。マイカに背中を押されたメロディは、待っていてという言いつけを破ってルシアナのもとへ向かう。指輪から出てきたハリセンでルーナを取り戻したルシアナは、嫉妬ポイントを三つ挙げて「あなたのいつもの笑顔を見せてよ」と伝える。魔王に操られていたビュークは、セレーナの力を借りて救い出される。メロディがたどり着いた答えは、主人の笑顔を守れるメイドこそ世界一素敵なメイドだということだった。




副題「世界一素敵なメイド」と、言いつけを破ったメロディ
公式あらすじは、メロディが決めるところから始まる
第12話の副題は「世界一素敵なメイド」。公式サイトのあらすじは、「ルシアナを心配するあまりメイド仕事が全く手につかないメロディ」が、マイカに背中を押されて「言いつけを破ってでもルシアナの力になることを決意し」、「レクトを連れてルシアナのもとへ向かう」と書く。第11話で待っているよう言われたメロディが、命令より主人の力になるほうを選ぶところから、この回は動き出す。
マイカが差し出した三つ目の道
冒頭で繰り返されるのは、第11話の終わりにマイカが突きつけた問いだ。「お嬢様に言われた通り待ち続けるんですか」「やっぱり心配だから後を追いかけますか」「それとも他に選択肢があるんですか」、そして「メイドとしてルシアナお嬢様のために何がしたいんですか」「あなたの選択肢を選んでください」。待つか追うかの二択に、三つ目の道を足したのはマイカのほうだった。
「メロディ先輩が頼るわけだよ」
マイカが助けを求めに行った先では、「王太子殿下どうして女子寮に」「話は後だ」と慌ただしく話が進み、「後はお任せくださいな」「マイカさん」と引き受ける声が返る。マイカの感想は「全然違う」「メロディ先輩が頼るわけだよ」。ゲームで知っていた人物像と、目の前で動く本人との違いに、マイカはここでも驚かされている。
絵コンテは石平信司、演出は村川直哉
公式サイトの各話ページによると、第12話は脚本が根元歳三、絵コンテが総監督の石平信司、演出が監督の村川直哉。村川直哉が演出に入るのは第2話以来になる。第1話から第12話まで、絵コンテはすべて石平信司か村川直哉の二人で描かれたことになる。作画監督には谷津美弥子らが名を連ねている。
指輪が光り、ハリセンが出てくる
「あの時魔力が指輪に流れ込んでいたんだわ」
ルーナの攻撃を受け続けるルシアナの手元で、指輪が光る。「あの時魔力が指輪に流れ込んでいたんだわ」。第11話で「私、全然一人じゃなかったってことよ」と言ったルシアナの手元で、今度はメロディから贈られた指輪そのものが形を変える。メロディがその場にいなくても、メロディが置いていった力がルシアナの手の中で働き続けている。
「叩いても死ぬ心配はないわね」
出てきた武器を前に、「これで攻撃ができる」「でもルーナを傷つけるのは」とためらう声がある。けれど手の中にあったのはハリセンで、「叩いても死ぬ心配はないわね」「ハリセンってそういうもの」とやり取りが続く。友達を傷つけたくないという迷いに、傷つけない武器という答えがそのまま返ってくる。
「結界が張られている」
駆けつけた側は「結界が張られている」と足止めされ、中の戦いにすぐには手を出せない。その前後には「君たちは俺を何だと思っているのかな」「最高の親友だと思っているさ」という軽口も交わされる。ルーナと向き合う役目は、最後までルシアナ一人に残されている。
「自分ばっかり苦労してきたみたいに言わないで」
妬まれた側の言い分
第11話でルーナは、舞踏会の入場順も試験の結果も、ルシアナに届かなかったものとして並べていた。ルシアナが返すのは「自分ばっかり苦労してきたみたいに言わないで」だ。第11話で「でも、私にも言い分はあるし」と言っていた中身が、ここで一言に縮まっている。
「最後まであなたの力に頼りきりだったわね」
ハリセンで決着がついたあと、「最後まであなたの力に頼りきりだったわね」という言葉がこぼれる。勝った直後に出てくるのが、自分の手柄ではなく、その場にいないメイドへの言葉になっている。
ルーナは「本心」だと認める
目を覚ましたルーナは「そんなに心配してくれるの」と戸惑う。ルシアナが「さっきの変な力のせいでしょ」「気にしなくていいわよ」と流そうとしても、ルーナは「違うわ」「あの力のせいもある」と認め、あの言葉は「本心」だったと言う。操られていたことにして終わらせる逃げ道を、ルーナ自身が断っている。
ルーナへの嫉妬ポイント
「嫉妬する生き物よ」
ルシアナは「嫉妬する生き物よ」と言い切り、「私がどれだけあなたのことを羨ましく思っているか」「知らないでしょ」と続ける。妬まれていた側が、自分も妬んでいたと明かすところから仲直りが始まる。
一つ目は「ひたむきに努力する心」
「ルーナへの嫉妬ポイント」の一つ目は「ひたむきに努力する心」。「うちのスパルタメイドもいないのに」「自力で10位の試験結果を得られるなんて」「羨ましくて仕方がないわ」。第9話の中間試験で、ルシアナは3位、ルーナは10位だった。第11話でルーナが負けた証拠として数えた順位を、ルシアナは努力の証拠として数え直している。
二つ目は「積極性」
二つ目は、「気後れもしない」「積極性」。「ルーナが挨拶に来てくれて学園の初日も緊張しないでいられた」。ルーナにとっては当たり前の一歩が、ルシアナの学園生活の最初の支えになっていた。
三つ目は「あなたの笑顔よ」
三つ目は「あなたの笑顔よ」。「優しくて柔らかくて笑顔を誘う」「素敵な笑顔」「私もあんな風に笑えたらって」。妖精姫と呼ばれたルシアナが、いちばん羨ましいものとして挙げるのは、ルーナの笑顔だった。
「あなたのいつもの笑顔を見せてよ」
ルシアナは「私からすればルーナの嫉妬だってそんなことなのよ」とまとめ、「ルーナが持っているものだってとっても大切なものよ」「変わりなんてないんだから」と重ねる。最後は「そんな泣きそうな顔じゃなくて」「私が大好きで羨ましくて」「毎日見ていても飽きない」「あなたのいつもの笑顔を見せてよ」。第11話の「それと同じくらいあなたのことが妬ましくて」に、ルシアナは好きと羨ましいを並べる同じ形で答えている。並べたまま、それを相手を責める理由にはしない。
使い捨てられる駒と、ビューク
「使えぬ駒などいらない」
仲直りの直後、「役立たずめ」「使えぬ駒などいらない」「死ね」という声が割って入り、ビュークが姿を見せる。「前回と同じ状況だな」「弱者がこの我に勝てると」と続く言葉も、人を駒として数える側のものだ。嫉妬を足がかりにした力は、役に立たなくなった途端に切り捨てにかかる。
「魔法で彼の気を引いてください」
マイカの指示は具体的だ。「メロディ先輩魔法で彼の気を引いてください」「何かこう魔力を込めてドーンと空に解き放つみたいな」。ゲームの知識を持つマイカが、力を持つメロディに段取りを渡す形が、ここで出来上がっている。
「完全には取り払えない」
それでも「まだ完全には魔王との繋がりが断たれていない」「剣も見当たらないし」。メロディが「彼の中にある黒い魔力」を払おうとしても「完全には取り払えない」。無理をすれば本人まで傷つけかねない。魔王に体を明け渡したビュークは、力ずくでは引きはがせない場所にいる。
台座の力は、セレーナの中にあった
探すまでもなかった台座
手詰まりの中でマイカが持ち出すのが、剣を封じるための銀の台座だ。ところがメロディは、探すまでもなくその場所を知っていた。ゲームの攻略情報より先に、メロディの日常がその場所にたどり着いていた。
「そっくりそのままセレーナの動力に利用されているけど」
台座の力について、メロディの答えは「台座に残っていた力」「それだったらそっくりそのままセレーナの動力に利用されているけど」。返ってくるのは「どんだけ我が道を行ってるんですか」「すぐにセレーナさんを呼び出してください」。マイカが頼みにしていた台座の力を、メロディはとっくにメイドの動力に作り替えていた。
「彼を助けたいのですね」「お姉さま」
呼び出されたセレーナは「急な呼び出しでしたが何をすればよいのでしょう」と応じ、「メロディ先輩と魔力を共振して」「力を増幅させてほしいんです」「異質な魔力を完全に取り払いたいんです」と頼まれる。セレーナの返事は「どこのどなたか存じませんが」「彼を助けたいのですね」「お姉さま」。相手が誰かより、メロディが助けたいかどうかでセレーナは動いている。
「顔色が良くなった」
「これまでにない魔力の高まり」「これならいけそう」のあと、「顔色が良くなった」「大丈夫そうだな」と確かめられ、「先輩」「セレーナさん」「ありがとうございます」と礼が続く。第11話でマイカが「前にスラム街で私を助けてくれた人」と呼んだ相手が、今度は助けられる側に回っている。
魔王は、グレイルの中で慌てていた
「聖女の魔力をたっぷり含んだ銀細工を舐めたあの時」
一方で、子犬のグレイルの中では魔王の意識が目を覚ましていた。「説明しよう」と始まる語りによれば、「聖女の魔力をたっぷり含んだ銀細工を舐めたあの時」「グレイルの中で眠っていた魔王の意識が覚醒したのだ」。ルトルバーグ家で飼われている子犬が、魔王の器になっていた。
「おい消えちゃうぞマジで」
グレイルの中の魔王は「とんでもないことをしてくれたな」とぼやき、「あれが本気になったらどうしてくれる」「おい消えちゃうぞマジで」「跡形なく消し飛ばされたっておかしくないんだからな」とうろたえる。世界を滅ぼすはずの魔王が、メロディの力を前に本気で怯えている。
「断じて怖いから逃げているわけではないからな」
最後は「今は力を貯める時よ」「聖女に正体がバレてしまえば」「また封じられてしまうからな」「断じて怖いから逃げているわけではないからな」と言い訳を重ね、「さーて帰るとするか」「今日は確か」「手作りソーセージの日だったな」で帰っていく。魔王が帰る先は、その力の持ち主がメイドとして働く屋敷の、夕食の献立だった。
事件は、記録からも記憶からも消える
「不思議な夢を見ていた」
事件のあとの話し合いでは、「話をまとめると」と前置きして、「不思議な夢を見ていた」「それは古の聖女と世界を滅ぼす魔王に関するもので」「どうも現実らしい」「今までの様々な施策も」「それに対処するものだった」と整理され、「ま そういうことだな」と返る。ゲームの知識は、夢という形に置き換えて打ち明けられている。聞いた側も「まだ何か隠しているようだけど」「今日はこのくらいにしておきますか」と引き下がる。
「覚えているものとそうでないものの違いは何だろうね」
ルーナ嬢や他の生徒たちは「事件のことをまるで覚えていない」。ただ「ルーナさんはルシアナさんと喧嘩をして仲直りした」「という事実だけは覚えているようでしたけど」。消えたのは事件の記憶で、仲直りの記憶は残っている。理由は「魔力の強さと言いたいところですけど」「さっぱりですわ」で、心の中では「ゲーム特有の強制力とかかもしれないけど」「それは言えないし」。
「今回の件は記録上なかったことになったわけね」
「ハリセンで叩いたらルーナ嬢が元に戻ったって」「あの時彼女はハリセンなんて持ってませんでしたものね」と不思議がる一方で、「事件に関する書類は全部処分しておいた」。「今回の件は記録上なかったことになったわけね」。第10話から続いた嫉妬の魔女事件は、ルシアナにかかった疑いごと記録から消される。「ハッピーエンドはまだまだ遠そうだね」という言葉が、ひとまずの幕引きになる。
後日談
「さすがは世界一素敵なメイドを目指しているだけはある」
学園の片付けでは、レクトとメロディの短い会話がある。「正式な騎士道の講師が決まってよかったですね」「嬉しくなさそうに見えますけど」「そ そんなことないさ」。「メイドにかかればちょちょいのちょいですよ」に「さすがは世界一素敵なメイドを目指しているだけはある」と返り、「一歩近づけたのか」と聞かれて「それは秘密です」。臨時の講師を終えるレクトの名残惜しさに、メロディはまったく気づいていない。
ビューク・キッシェルの新しい名前
屋敷では、荷物を運ぶ青年が働いている。語りによれば「成長したビューク・キッシェルその人であった」「魔王の支配から解放されたものの彼は記憶を失っていた」。「私の恩人です」という声に、「うちの使用人になってもらうのはどうかしら」「ちょうど男手も欲しかったところだし」と話がまとまる。名前はリュークと決まり、ルトルバーグ家の旦那様と奥様も「記憶喪失で困っていると聞き」「彼を雇うことを許してくれた」。ゲームで第四攻略対象だった青年は、「ルトルバーグ家の執事見習いとして働いている」。
「中間試験3位期末試験3位」
夏休みを前にした屋敷で、メロディが確かめるのは学園の成績表だ。「中間試験3位期末試験3位」「頑張りましたね お嬢様」。第9話の公式あらすじは、3位を「本来ならヒロインが入るはずのもの」と書いていた。その座を、ルシアナは期末試験でも守り通している。学園では「夏休みもお茶会呼んでくださいね」「連絡待ってるからね」と約束が交わされている。
まとめと考察
「この笑顔を守れるメイドこそ」
ルシアナは「あなたのおかげでルーナを失わずに済んだわ」「本当にありがとう」と言い、メロディは「待っていてというご命令に従いませんでしたのに」と返す。ルシアナの答えは「結果良ければ全て良しなのよ」。メロディは「おかげで私ちょっとだけ世界一素敵なメイドに近づけた気がします」と言い、心の中で「この笑顔を守れるメイドこそ」「世界一素敵なメイドなんだわ」と答えを見つける。副題の「世界一素敵なメイド」は、主人の笑顔を守れるかどうかという一点で言い直される。
第9話の問いへの答え
第9話でメロディは「私が目指している世界一素敵なメイドって、なんだっけ」と見失っていた。第11話でマイカは「メイドとして、ルシアナお嬢様のために何がしたいんですか」と問い返した。言いつけに従うことではなく、言いつけを破ってでも主人の笑顔を守ることが、三話かけてたどり着いた答えだった。
二つの笑顔
ルシアナがルーナに求めたのは「あなたのいつもの笑顔を見せてよ」で、メロディが守りたいと気づいたのはルシアナの笑顔だった。この回は、友達の笑顔を取り戻そうとする主人と、その主人の笑顔を守ろうとするメイドが、同じものを見ている回だった。決着がハリセンという笑える武器でつくのも、この回の軸に合っている。
昔話のおばあさん
最後に語られるのは「あるところに一人のおばあさんがおりました」という昔話だ。「以前メイドとして働いていたのですが腰を痛めやめてしまったのです」というおばあさんは、「お嬢様のことをずっと心配していたのでした」。ところが訪ねてみると「お屋敷が見つかりません」。以前アンネマリーは、ゲームでのルシアナの悲劇のきっかけを「老齢のメイドを退職させてしまったこと」と考えていた。悲劇の始まりになるはずだった退職が、屋敷が見違えていたという小さな笑い話で締めくくられる。結びは「もう心配いりませんね」「おばあさん」。






































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