『天は赤い河のほとり』第16話「墓所での誓い」感想|皇太子カイルが母の墓所で明かした真実

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偽イシュタルの騒動が収まり、ユーリはウルスラを女官として迎え入れる。カイルは民の歓声に押されて皇太子となるが、そこへ元老院議長の娘ギュゼルが、カイルという名の幼い男の子を連れて現れた。カイルの子だというその子をめぐり、二人の心はすれ違っていく。王子が好きだと自覚したユーリ、王子のものになるという覚悟の重さ、そして母の墓所でカイルが明かした真実まで、第16話を振り返る。

アニ
天は赤い河のほとり第16話でござる
ラン
カイルに子供がいたってマジ!
キャロ
ウルスラさんが女官になるんですね。
アニ
墓所での誓いに注目でござる

第16話「墓所での誓い」

『天は赤い河のほとり』第16話「墓所での誓い」は、カタパでの偽イシュタルの騒動に決着がつき、カイルが正式に皇太子となる回だった。けれど喜びもつかの間、元老院議長の娘ギュゼルが連れてきた幼い男の子が、ユーリの心を大きく揺さぶる。カイルの子だというその子をめぐって二人がすれ違い、やがてカイルがユーリを母の墓所へ連れていくまでを、場面ごとに振り返っていく。

一瞬でも夢を見とうございました

騒動の後、本物のイシュタルだったと知った兵士たちは青ざめる。牢に入れてしまったと慌てる者まで出る中、カイルの側は寛大な処置で収め、妃らしくしていなかったユーリにも責めはあるとたしなめる。残されたのは、偽イシュタルの処罰をどうするかだった。辺境に送って一生働かせればいい、本来なら極刑でもいいところだという声が上がる。

なぜすぐにばれるとわかっていてあんなことをしたのかと尋ねるユーリに、偽イシュタルは一瞬でも夢を見とうございましたと答える。西の外れの貧しい村に生まれ、村は十日熱に襲われて死滅した。両親も弟たちも苦しみ抜いて死んでいき、自分はあんな惨めな死に方はしたくなかった、もう木の根をかむ暮らしはしたくなかったのだと。十日熱ではたくさんの者が苦しんでいるという言葉も返されるが、彼女の告白には、ただの悪女では片づけられない重さがあった。

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それを聞いたユーリが出した答えは、王子の宮で女官として働いてもらうことだった。宮廷女官は都の娘たちの憧れ、詐欺女をそばに置くなどとんでもないという反対にも、ずっと人手不足だからちょうどいい、ハディたちだって初めは私を殺そうとしたよとあっけらかんと返す。名を問われて、ウルスラと名乗った彼女は、イシュタルの名を語り無礼を働いた自分をそばに仕えさせてくれる、あの赤ん坊もためらいもせず抱き上げた、かなわないとつぶやき、心よりお仕えさせていただきますと頭を下げる。罰の代わりに居場所を与えるユーリの優しさが、一人の女性の人生を変えた瞬間だった。

皇太子カイルの誕生と、初めての冬

皇太子争いの行方

ハットゥサに戻ったユーリを、宮の人々が温かく迎える。勝手をしてごめんなさいと謝るユーリが真っ先に気にしたのは、皇太子争いの行方だった。形勢は互角。貴族は皇太后派、軍部はカイル殿下派、元老院は半々で、平民たちの浮動票がどちらにつくかが鍵だという。とにかく次の元老院会議で決まるはずだったが、その前に新しい皇帝の即位祝いが行われる。

王家の人々が市民の前に姿を見せる貴重な機会に、街はすごい人出となった。そこで沸き起こったのが、カイル殿下、皇太子殿下という市民たちの大歓声。カタパでの一件を経て、民の心は確かにカイルとイシュタルの側に向いていたのだ。これでは皇太后であれ誰であれ文句のつけようがあるまい。アルヌワンダ2世はカイル・ムルシリを我が皇太子とする。これからも私のことを支え助けてほしいという言葉に、カイルははい陛下と応える。ユーリの行動が民の声となり、カイルを皇太子の座へ押し上げたことが伝わってくる場面だった。

一方、その一番の功労者であるユーリは、側室だという理由で式の場に入れない。ばかな話だという声に、こんなことなら早く正妃になっていただかないとと続けられ、ユーリはやめてよハディ、正妃になんかなるつもりもなれる立場でもないよと首を振る。喜びの中にも、ユーリの立場の微妙さがにじんでいた。

春は帰る季節

ある朝、目を覚ましたユーリが見たのは一面の雪だった。アナトリアの冬は初めてだったなと言うカイルに、去年の今頃はミタンニに遠征に出ていたからと答えるユーリ。夏はあんなに暑くて乾燥しているのに、と驚くユーリに、カイルは一年中夏ではないさ、アナトリアの冬はじっと耐えて春を待つだけだと教える。

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日本に帰るというこの言葉ほど信用できないものはないwww #tenkawa_anime #アニメ天河

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春か、とつぶやいたユーリの胸に浮かんだのは、春は自分が帰る季節だという思いだった。いつか現代の日本へ帰らなければならない。雪景色を前に、その運命を改めて意識するユーリの横顔が切ない。カイルのそばにいることが当たり前になりつつある今だからこそ、帰る日が近づくことの重さがいっそう胸に迫ってくる。

そんな二人の様子に、女官たちはカイル殿下とユーリ様はどうなっているのかとうわさ話に花を咲かせる。新しく女官となったウルスラは、この宮の方々は甘すぎると息巻き、こうなったら自分の腕にかけてお二人の仲を進めてみせると張り切る。仕事をしてと叱られながらも、すっかり宮になじんでいる姿がほほえましい。

ギュゼルと、カイルという名の子

王子が好き

ウルスラたちの計らいで、ユーリはカイルの着替えを湯殿に届けることになる。皇帝の仕事まで手伝っているカイルは疲れていて、こういうときくらいしかくつろげないのだろうとユーリは気づかう。背中の傷が時々引きつると言うユーリに、カイルはザナンザが死んだときの矢傷かと尋ね、その傷を気にかける。そのとき、ユーリははっきりと自分の気持ちを自覚する。王子が好き。

けれどカイルは、こんなことをしていたら風邪をひいてしまう、お前も早く着替えろと身を引いた。何がいけなかったんだろうと戸惑うユーリ。ようやく自分の気持ちに向き合えたのに、肝心のカイルが一歩引いてしまう。そのすれ違いがもどかしくもあり、二人らしくもあった。

同じ名前の子

そんな折、宮の庭に見知らぬ幼い男の子が現れる。探しに来たのは、元老院議長アイギルの姫君ギュゼル。キックリに久しぶりねと声をかけ、イシュタル様でいらっしゃいますね、初めてお目にかかりますと挨拶した彼女は、男の子にもご挨拶しましょうねと呼びかける。その子の名は、カイルだった。

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アイギルはカイルに、ギュゼルは一年ほど前に男児を出産した、皇太子殿下あなた様のお子にございますと告げる。二年前の夏の子だというギュゼル。王子にはたくさんの恋人がいたことは聞いていた、この人と付き合っていたのだって自分がここに来る前の話だ。そう頭ではわかっていても、ユーリの胸は苦しくなる。さらに陛下からは、ギュゼルの母親は王家の出身で正妃に立てる身分だ、まずは側室としてでもよいからなるべく早く宮へ迎えるのだぞと命じられてしまう。

王子のものになるということ

心が揺れるユーリは、弓の手入れをしていたカッシュに尋ねる。男の人は自分に息子がいると知ったらうれしいものなのか。そりゃそうでしょうと答えるカッシュは、カイル殿下のような大帝国の皇太子ともなれば、政治的なことを考えても一日も早くお世継ぎを望むはずだと続けてしまう。そこへ割り込んだのがウルスラだった。その口縫っちゃうわよ、その無神経さでよく戦車隊長が務まるわねと容赦なく叱りつけ、デリカシーのない男には説明しても無駄よと言い放つ。新入りの女官がさっそく宮の空気を変えていく様子が痛快だった。

それでもユーリは、カッシュの言葉で一つのことに気づいてしまう。あのとき、カイル王子がどうして立ち去ったのか。王子のものになるということは、愛して愛されるというだけではない。王子の子供を産んで育て、この国の政治の中心に巻き込まれていくということ。でも自分にそんな覚悟はあるのか。王子はそれがわかったからやめたのだ、自分にそんな覚悟がないのを見抜いたから。湯殿での出来事の意味を、ユーリはこうして受け止めた。

母の墓所での誓い

責任逃れにも聞こえるよ

ギュゼルは再びカイルのもとを訪れ、なぜ坊やに会ってくださらないのかと迫る。父も私も政治的に何の望みもありませんと訴える彼女を、カイルはその話はまた日を改めてと退け、ルサファに送らせる。その様子を見たユーリは、どうして坊やに会ってあげないのかとカイルを問い詰めた。

ギュゼルの子は私の息子ではない。そう答えるカイルに、じゃあなぜみんなにそう言わないのかとユーリ。今はまだその時期ではないという返事に、政治的判断なんて自分にはわからない、男の人の責任逃れにも聞こえると食い下がる。さらに、自分への言い訳なら必要ない、王子が誰を正妃にしようと何人子供がいようと関係ない、春になったら今度こそ自分の国に帰るのだからと突き放してしまう。好きだと自覚したからこそ、かえって強がってしまうユーリの言葉が痛々しかった。

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やっぱ息子じゃないんか #tenkawa_anime #アニメ天河

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国に帰るだと、そんなことはわかっている。キックリに馬を借りたカイルの胸にあったのは、ずっと正妃になる女を求めていたという思いだった。それがなぜギュゼルではだめだったのか、なぜ美しい姫君たちではだめだったのか。女を愛しく思うということがどういうことなのか、お前に出会ってやっとわかったのだ。カイルは戸惑うユーリを馬に乗せ、どこかへと駆けていく。

母上に見ていただきたかった

たどり着いたのは、カイルの母の墓所だった。自分の他には父上しか入ったことがない場所。もう一度言うぞ、ギュゼルの子は私の息子ではない。他の人間はどうでもいい、お前だけには言っておきたいのだと語るカイルに、ユーリはお母さんに誓うから信じろというのかと問い返す。

カイルの説明は明快だった。ギュゼルに最後に会った日を覚えている。ギュゼルが子を産んだのは、それから丸一年以上過ぎた頃だ。だから自分の子ではありえない。アイギルは自分の子だと信じているからそう言ったのだろう、あれは正直な男だ。ギュゼルもそんな性格ではなかった。ならばなぜ嘘をつくのか。誰かに操られているのかもしれない。その可能性があるから、今は下手に動けないのだ。カイルが黙っていた理由は、責任逃れではなく、宮廷にひそむ誰かの思惑を警戒してのことだった。

宮に帰ろう、こうしてはいられないと立ち上がるユーリ。その後ろで、カイルは墓に語りかける。母上、私のものになるかならぬかわからぬ娘ですが、一度ユーリをあなたに見ていただきたかった。この一言に、カイルがユーリをどれほど大切に思っているかがすべて込められていた。

第16話のまとめ考察

愛される覚悟と、帰るという約束

第16話は、ユーリが自分の気持ちを自覚し、同時にその先にあるものの重さを知る回だった。カイルが好き。けれどカイルのものになるということは、愛し愛されるだけではなく、皇太子の妃としてこの国の政治の中心に立つということ。ギュゼルの子をめぐる騒動は、ユーリにその現実を突きつけるきっかけになった。

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一方のカイルは、皇太子となったことで、これまで以上に慎重に動かなければならない立場になった。ギュゼルの子が自分の子ではないとわかっていても、誰かの思惑が見えないうちは公にできない。それでもユーリにだけは真実を伝えたいと、母の墓所という最も大切な場所に連れていく。言葉で説得するのではなく、自分のすべてを見せることで信じてもらおうとする誠実さが、カイルらしかった。

ウルスラを女官に迎えたユーリの優しさ、民の声が押し上げた皇太子の座、そして春になったら帰るという言葉。どれもがユーリとカイルの関係を前に進めるようでいて、まだ答えの出ない問いを残している。ギュゼルの背後にいるのは誰なのか。春が来たとき、ユーリはどんな選択をするのか。雪に閉ざされたハットゥサで交わされた墓所での誓いの意味を、これからも見届けたい。

アニ
カイルの誠実さが伝わったでござる
ラン
ウルスラの口縫っちゃうわよが最高!
キャロ
ユーリさんの覚悟の行方が気になります。
アニ
二人の春を見守るでござる

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