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いよいよ最終話となる第12話の副題は、作品の英題と同じ「Tomb Raider King」。キイラの悪事を報道で世間に知らせて追い詰めた遼河は、襲われたホルトン家で両親のコピーを用意していたことを明かす。人質という切り札を失ったキイラの前に立つのは家族のために怒るアイリーンだった。そして遼河は、この世界に悪党は俺一人で十分だと宣言する。




最終話の副題は「Tomb Raider King」
最終話となる第12話の副題は、作品の英題と同じ「Tomb Raider King」。公式のあらすじは「キイラから襲撃を受けたホルトン家」と始まり、「事態を予測していた遼河によって」アイリーンの両親は保護されていたが、「怒りのキイラが立ちはだかる」と続く。そして「その窮地で遼河の切り札となるのはアイリーンだった」。公式アカウントも「最終話・第12話」と告知しており、この回が最終回となった。
ニュースになったキイラの悪事
冒頭、遼河たちのもとにニュースが飛び込んでくる。ベントで子どもたちが消えた事件の犯人として、米軍所属のキイラの名前が報じられたのだ。「子供たちは強制労働を課せられたと供述しており衝撃が走っています」。仕掛けたのは遼河だった。「子供たちが苗木と茶葉を収穫する写真や動画を」「エドワードに送っておいた」「名案だろ」。
遼河は力でねじ伏せる前に、まず世論を使って相手の足場を崩していく。「ベントの大統領がパンドラを脱退するようです」という知らせまで届き、キイラとパンドラは一気に追い詰められる。前の回の地底の茶畑での出来事が、ここで効いてくる流れが気持ちいい。「エドワードのやつ仕事の手際はいいみたいだな」と満足げな遼河は、報道の力を使えばどれだけ相手に打撃を与えられるかを、最初から計算していたように見える。米軍の将軍という強大な相手に正面から挑むのではなく、まず立場を奪ってから戦う。遺物の力に頼るだけではない、遼河の頭の良さが伝わる導入だった。
両親のための遺物
遼河は、手に入れた植物の遺物をもっと大きな鉢に移そうとする。嫌がって騒ぐ遺物に「もっと大きな鉢に移してやろうとしてるんだ」と言い聞かせ、その実の汁がアイリーンの両親の病気に効くと告げる。アイリーンは「本当にありがとうございます」「どうお礼をしたらいいのか」と頭を下げる。
「今はパンドラのことよりも」「ご両親の方に集中してください」という言葉が、アイリーンの気持ちを両親へ向けさせる。悪党を名乗る遼河も、アイリーンの家族のことでは手間を惜しまない。遼河のこの二面性が、最終話でもしっかり描かれていた。
襲われたホルトン家
両親のもとへ向かった一行を待っていたのは、荒らされた屋敷だった。
「額縁の中の絵から」
屋敷には「銃弾の跡」が残り、アイリーンの兄が倒れていた。襲ってきた相手を問われ、兄は「絵だ」「額縁の中の絵から」と答える。そして「ホルトン夫妻が部屋にいません」という報告。両親が絵の中に連れ去られたと知ったアイリーンの動揺は、見ていてつらかった。こんなことをするのは「あの女しかいない」。
遼河は「ダメだ俺はもう助からない」と弱音を吐く兄に、「黙ってさっそくこれを食うんだ」と実を食べさせる。兄はたちまち回復し、「アイリーン心配かけたもう大丈夫だ」と妹を安心させる。口は悪くても、やることはきちんとやる。遼河らしい助け方だった。「助けるんじゃなく殺すつもりか」と文句を言っていた兄が、回復したとたんに妹を気づかう姿も印象に残る。家族思いなところは、アイリーンとよく似ているのかもしれない。兄妹の絆も、この最終回の大事な柱になっていた。
「あれはフェイクだよ」
「二人が絵の中に吸い込まれるのをこの目で見たんだ」と訴える兄に、遼河は「あれはフェイクだよ」と告げる。「こいつにご両親のコピーを作らせておいたんだ」。連れ去られたのは本物ではなく、遺物が作ったコピーだった。
「この詐欺師め」と怒る兄をよそに、アイリーンは「まさか、こうなるとわかっていたんですか」とたずねる。遼河の答えは「いいえ、備えておいたらこうなっただけです」。「誰かが」両親の病を悪化させているようで、「もっとひどいことをされかねないと思い放ってはおけなかったんです」。最悪の事態を先回りして潰しておく、遼河の用心深さが光った場面だった。
キイラ将軍との対決
そして、キイラ将軍が遼河たちの前に現れる。
「私を貶めたこと許さんぞ」
「貴様 私を貶めたこと許さんぞ」「あの程度で私が失脚するわけがないであろう」と言い放つキイラは、「失墜させられた名誉の分は返してもらうぞ」と、アイリーンと遼河の命まで狙ってくる。けれど遼河は「大丈夫です、ただの虚勢ですから」と取り合わない。
キイラは切り札として、両親を閉じ込めたはずの絵を突きつける。「今すぐ引っ張り出してお前たちの目の前で」「頭を撃ち抜くことだってできる」。対する遼河は「絵の中にホルトン夫妻がいるのは間違いないのか」と聞き返すだけだった。
「企業秘密だからな」
絵の中を確かめたキイラの部下は、「絵の中に二人の姿が見当たりません」「消えてしまいました」とうろたえる。コピーは遼河の手で消されていた。「本物だと思ってたのか」「意外と純粋だな」。どうやったのかと問われても、「教えるわけないだろ」「企業秘密だからな」。
人質という相手のいちばんの切り札を、戦う前に無効にしてしまう。追い詰められたキイラは「一人残らず絵画の一部にしてやる」と絵の遺物の力を解き放ち、周囲の人間の「体が絵の具に変わっていってます」という事態になる。
人質作戦が失敗したとたん、見境なく周りを巻き込み始めるキイラの姿は、追い詰められた悪役そのものだった。名誉を取り戻すと言いながら、やっていることはただの八つ当たりに近い。遼河が冷静に一手ずつ先を読んでいるのとは対照的で、二人の差がはっきりと見える場面でもあった。
切り札はアイリーン
そこで前に出たのが、アイリーンだった。
「何よりも危険な人間兵器そのものなんだよ」
「この状況で妹を置いて」逃げろというのかと食ってかかる兄に、遼河は言う。「誰の心配をしてるんだ」「何よりも危険な人間兵器そのものなんだよ」。アイリーンは「あなたとはここで決着をつけます」と、キイラの前に立つ。
「両親を苦しめ」、兄を殺そうとした相手を、アイリーンは「許せません」と言い切る。いつも控えめなアイリーンが、家族のために怒りをまっすぐ相手にぶつける。副題どおりの最終決戦で、主役の座を持っていくのはアイリーンだった。これまで遼河に助けられる場面の多かったアイリーンが、最後に自分の意思で前に出る。守られる側から、家族を守る側へ。その変化こそが、あらすじの言う切り札の意味だったのだと思う。遼河がアイリーンを信じて任せたからこそ、この逆転は成り立っていた。
「次は私の番ですね」
キイラは「戦争の遺物」の力でアイリーンを攻撃するが、アイリーンは平然と立っている。「私の攻撃をまともに受けておきながら無傷だと」。そしてアイリーンの「次は私の番ですね」という一言で、形勢は完全にひっくり返る。
兄が「あそこにいるのが俺のかわいい妹アイリーンだと」と目を疑うほどの力だった。切り札としてのアイリーンの強さが、これ以上ない形で描かれた。追い詰められたキイラは「全世界のどこでも攻撃が可能な遺物だ」と言い、「さあ共に行こうか」「地獄の果てまで」と道連れを狙うが、その結末ははっきりとは映されない。
悪党は俺一人で十分だ
戦いのあと、アイリーンの両親はようやく本当の治療を受ける。
両親の回復
「効いてるぞ」「回復している」。遼河の遺物の実によって、アイリーンの両親は目を覚ます。「母さん 俺のことが分かりますか」という兄の声に、家族がそろった喜びがにじむ。何度も繰り返される「ありがとうございます」に、胸が温かくなった。
けれど、キイラの姿は見当たらない。「プライドの高いあの女が逃げるわけがない」。近くにいるのに攻撃してこないのは、「リスクが発動したのかもしれません」。破壊の女神は「愛の女神ハトホルと同一の存在とも言われます」「つまりこの遺物には変身というリスクが伴います」。遺物の力には必ず代償がある、というこの作品の決まりごとが、最後の決着の鍵になる。
「やはりこの世界に悪党は俺一人で十分だ」
遼河は「手帳に偽装させた海洋船航海図」を使って、変身したキイラを見つけ出す。「ずいぶんと可愛い姿だな」「こんな姿になるとは見物だな」。キイラは「私の負けだ認める」と言いながら、「お前の知識と私の兵力を合わせれば」「世界を征服するのだって夢じゃない」と手を組むよう持ちかける。
遼河の答えは「さすが悪党どもはやっぱり予想を裏切らないな」。そして「やはりこの世界に悪党は俺一人で十分だ」「これからは俺が世界中に散らばる遺物を」「一つ残らずいただくとしよう」と宣言し、「それじゃ手始めにこの芋虫から行きますか」。最後まで自分を悪党と言い切り、世界中の遺物を奪うと宣言して終わる。副題の「Tomb Raider King」、盗掘王の名にふさわしい締めくくりだった。
まとめと考察
第12話は、キイラとの決着と、遼河の新たな宣言で締めくくられた最終回だった。
悪党を名乗る主人公
遼河は最後まで自分を悪党と呼び、キイラの誘いも一蹴した。それでも、アイリーンの家族を守るために先回りして手を打ち、子どもたちを救うために事件を世に知らせたのも遼河だった。悪党を名乗りながら、結果的に誰かを救っている。その矛盾こそが、この主人公のいちばんの魅力だと思う。
最終回を終えて
アイリーンという切り札、遺物の代償、そして世界中の遺物を奪うという宣言。物語はここで一区切りだが、遼河の盗掘はまだ始まったばかりだ。世界中に散らばる遺物を巡る遼河の戦いが、またいつか描かれる日を待ちたい。
振り返ると、この作品は毎回、遺物の力と、それに伴うリスクの両方を丁寧に描いてきた。最終回の決着も、キイラの遺物が持つ変身というリスクが鍵になっていて、シリーズを通したルールがきちんと生きていた。遺物の知識で相手の一歩先を行く遼河と、家族のためにその力を振るうアイリーン。二人の組み合わせが、最後まで作品の軸になっていたと思う。




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