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『てつりょー!meet with 鉄道むすめ』第3話は、夏合宿の旅費を貯めるため、みさきが人生初めてのアルバイトに挑戦する回だった。失敗続きのみさきにこだまが教えてくれたのは、西武鉄道の特急アテンダントという仕事だった。失敗続きのバイト探し、お客様にとってはみんながプロという言葉、そして初任給の贈り物まで、第3話を場面ごとに振り返っていく。




第3話 旅費を貯めるためのアルバイト探し
『てつりょー!meet with 鉄道むすめ』第3話は、夏合宿の旅費を貯めるため、みさきが初めてのアルバイトに挑戦する回だった。不器用なみさきは、さまざまなバイトで失敗を重ねてしまう。そんなみさきにこだまが教えてくれたのが、西武鉄道の特急アテンダントという仕事。鉄道のお仕事の世界に一歩踏み出したみさきの成長を、場面ごとに振り返っていく。
長崎行きの旅費
冒頭は、みさきの家の夕食の場面から。仕事から帰ってきたお父さんがカレーを作ってくれていて、みさきはありがとうと喜ぶ。けれど頭の中は、夏合宿の旅費のことでいっぱいだった。お小遣いの前借りをしたら、これから何もできなくなってしまう。何とか臨時収入をと考えるみさきは、繁忙期で疲れた様子のお母さんを見て、「疲れてるのに お金の話なんて聞きたくないよね」と、相談を飲み込んでしまう。
翌日、友達のやっちゃんにバイト探しの話をすると、家がコンビニだから、融通を利かせたいならお父さんに頼んであげようかと言ってくれる。願ってもない話に、ぜひぜひぜひお願いしますと頭を下げるみさき。ところが、昨日近所の子を雇ったばかりで、もう深夜しか働ける時間がないという。タイミングの悪さに崩れ落ちるみさきの姿が、なんとも気の毒でおかしい。
日雇いの倉庫作業
旅費を貯めたいだけなら日雇いのバイトでもいいんじゃないかと教えてくれたのは、うしおだった。ライブのスタッフやエキストラなど、1日限定のバイト。友達を紹介すればどちらも商品券がもらえるというので、みさきはうしおと一緒に倉庫作業に参加することになる。こういうバイトも持ちネタが増えて一石二鳥やろと笑ううしおは、T-tuberらしくたくましい。
けれど、体力のないみさきは作業が終わる頃にはへとへと。「も… もう腕が上がりません」と音を上げるみさきに、今日の仕事は楽な方だとうしおは言う。ライブのスタッフなら人の波を止めたり、ずっと立っていたりで筋肉痛になる子もいる。働くことの大変さを、みさきは身をもって知ることになった。
慣れないお店の仕事
次に挑戦したのは、うさが働くお店でのアルバイト。「制服、似合ってる」と言われ、うささんの方がもっとかわいいですと照れるみさき。店内業務を覚えてから店に立つという流れで、掃除や簡単な調理、飲み物の作り方を教わっていく。サーバーの取り付け方はマニュアルの234ページに書いてあるという説明には、思わず笑ってしまった。
いよいよお客さんの前に立ったみさきは、「ワクワクシュッシュな特急カクテルです」と飲み物を運ぶ。ところが、ここでも失敗してしまい、すみませんと謝る羽目に。「私 就職とかできないかもしれません」とまで落ち込むみさきを、一個二個のバイトでそんなに落ち込まなくても大丈夫だと周りが励ます。うちもバイトを初めてやったときはあんなもんやったというひと言に、立ち直りが早いのもみさきらしい。
特急アテンダントという仕事
そんなみさきに、こだまが見つけてきたのが特急アテンダントの募集だった。授業終わりにそのまま働けるし、レッドアロー号の特急券を車内でチェックする仕事なのだという。一度間違えて特急券なしで乗りそうになったことのあるみさきにとって、身近な電車での仕事だ。この制服はみさきちゃんに似合いそう、と背中を押される。
私なんかのためにこんなふうに、と恐縮するみさきに、うしおが言う。「こういうときはな ありがとうって 言ってくれたほうが」こだまもうれしいと思うで、と。謝るのではなく、感謝を伝える。その小さな言い換えが、自信のないみさきの背中をそっと押していた。はい、ありがとうございます、特急アテンダントに応募してみますと答えたみさきの表情は、少しだけ前向きになっていた。
レッドアロー号での研修
かっこいい大人になりたい
面接で志望理由を聞かれたみさきは、しどろもどろになりながらも、自分の言葉で答える。ポスターにあった制服がかわいかったこと。そして、最近駅で働いている人たちを意識するようになったこと。自分が関わっている仕事に誇りを持っていて、来てくれたお客さんにもっと楽しんでもらおうと頑張っている姿を見て、「私も あんなふうに カッコいい大人になりたいって思ったんです」。
これまでの旅で出会ってきた鉄道むすめたちの姿が、確かにみさきの中に残っていたのだと感じさせる答えだった。働けるとしたらいつからかと聞かれ、すぐにでもと即答するみさき。こうして、みさきの特急アテンダントとしての日々が始まる。初回のイベントや前回の旅で見てきたものが、みさき自身の目標に変わっていく流れがとても自然だった。
神井みしゃとの研修
研修でみさきを指導してくれるのは、神井みしゃ。今日から6日間よろしくねと言われ、驚くみさき。実際に仕事をする前に研修を受け、最終日にレッドアロー号に乗ってテストに合格したら、そこからは一人で回ることになるのだという。そんなにすぐにと戸惑うみさきに、だからなるべく一緒に働けるうちにわからないことを聞いてほしいと、神井さんは優しく声をかける。
特急券が購入されている席はタブレットで確認できること。特急券を持たずに乗ってしまったお客様には、どこまで乗るのかを確認して座席を確保し、現金でお会計をしてもらうこと。知らないお客様もいるのできちんと説明してあげて、と丁寧に教わっていく。実際にやってみないとわからないよね、という言葉どおり、ここからが本番だ。
お客様にとってはみんながプロ
上り方面のレッドアロー号で、初めての特急券チェック。お客様、失礼いたしますと声をかけ、座る席が一つずれていたお客様に移動をお願いする。それでも、次の駅でもたついてしまったみさきは、私全然役立たずでと落ち込んでしまう。どうすれば神井さんみたいにてきぱきできるようになるのか、まったく想像がつかない。
そんなみさきに、神井さんは大切なことを教えてくれる。「お客様にとってはみんながプロ」。誰が新人でベテランかなんて、お客様にはわからない。私たちが不安な顔をしていたら、お客様も大丈夫かなと心配してしまう。だから落ち込んでも、いつも笑顔で心の中で反省する。「今日はそれができるようになれば 100点」。その言葉を受けて、みさきは笑顔を作り直してみせる。
そして、みさきは自分から質問する。座席とタブレットを照らし合わせるコツはありますか、さっきみたいに次の駅でもたもたしないようになりたいんです。神井さんが実際にやって見せてくれたのは、タブレットでざっくり場所を確認し、座席を見て同じ形のところに頭が見えるかを見るという方法だった。失敗から学ぼうとする姿勢が、みさきを少しずつ変えていく。
独り立ちのテスト
最終日の実地テスト。昨日の最後の方は完璧だったからきっと大丈夫と励まされ、みさきは丁寧な応対を重ねていく。そして、もう一回車両を見てきますと戻ったみさきは、東村山に着く直前に眠っているお客様を起こしてあげる。東村山に着く少し前に寝ているなと思って、どこで降りるのか見ていたのだという。「ふ 普段おっちょこちょいなことが役立ちました」。
自分ならきっと乗り過ごしてしまうから、という発想から生まれた気配りは、まさにみさきならではのものだった。「とても素晴らしい対応でした」と評価され、見事合格。次の出勤から一人で頑張ってもらうと言われて慌てるみさきに、神井さんは大丈夫と太鼓判を押す。不器用で失敗続きだったみさきが、自分らしさを武器に仕事をこなせるようになった瞬間だった。
第3話のまとめ考察
初めてのお給料
初めてのお給料を確認したみさきは、こんなにと驚き、あれもこれもと想像を膨らませかけて、いやいや旅費旅費と首を振る。家に帰ると、お父さんが特製の肉じゃがを作って待っていた。お母さんは今日も遅くなるらしい。そして夜遅く帰ってきたお母さんに、みさきは目がぽかぽかするアイマスクを差し出す。今日バイト代が出たんだよ。
旅費を貯めたかったんじゃないのと驚くお母さんに、みさきは答える。「それと同じくらい お母さんに元気でいてほしいから」。冒頭で疲れたお母さんに相談を飲み込んだみさきが、初めて自分で稼いだお金で、お母さんを気づかう。パパには何があるのかなと聞かれて、それは来月でと謝るやりとりまで含めて、温かい家族の姿にほっこりさせられた。
働くことで見えたもの
翌朝、今日から朝シフトデビューだと話すみさきに、「もうプロの人だ」という言葉がかけられる。神井さんが教えてくれた、お客様にとってはみんながプロという言葉が、日常の中で送り出す言葉として返ってくる構成が見事だった。新人であっても、自分の仕事に向き合う人はみんなプロ。そう肯定してもらえたことが、みさきにとって何よりの自信になったはずだ。
第3話は、鉄道を旅する側だったみさきが、鉄道で働く側に立つ物語でもあった。旅費を稼ぐという目的で始めたアルバイトが、駅で働く人たちへの憧れ、そして自分もかっこいい大人になりたいという思いにつながっていく。鉄道の仕事を描くことで、作品のテーマである鉄道と鉄道むすめに自然に触れていく構成が、とても丁寧だと感じた。
Cパートでは、松浦鉄道で、鉄道に乗ってもらうきっかけとしてのツアーをどう作るかに頭を悩ませる様子も描かれた。ご飯がおいしいだけではない、もっと知ってほしい魅力がある。そのことに気づいてもう一回考えてみますと前を向く姿は、みさきの成長とも重なって見える。鉄道を支える人たちの思いに触れながら、夏合宿の長崎へ向かう日が楽しみになる一話だった。
不器用で失敗続きだったみさきが、自分らしい気配りで仕事を任されるようになる。その過程が、無理なく、そして温かく描かれていた。初任給をお母さんへの贈り物に使ったみさきの優しさも含めて、見終わったあとに心がほぐれるような第3話だった。




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