第7話のサブタイトルは「第四管区地下鉄道・追跡駆除戦」。公式のあらすじが言うとおり、地下鉄の事件は蔵木がトワを確保するために組んだ計画だった。仕掛けの入口は闇バイトで集められた運び屋で、荷物の中身を知らされないまま公園まで運ばされている。そして事件のさなか、シイナとトワが戦場で鉢合わせ、互いを魔人だと知ってしまう。締めくくりは警察の発表で、テロの容疑者としてトワの名前が読み上げられた。




公式サブタイトルは「第四管区地下鉄道・追跡駆除戦」。入口は闇バイトだった
公園まで運ばされた荷物の中身
事件の始まりは、公園で捕まった若い運び屋たちの供述である。「俺たちは荷物を運んできただけで」「荷物を公園まで運んだら金をくれるって」「依頼者は闇バイトのサイトから」。そして「渡す前にケースの中から急に化け物が出てきて」「騙されたんだ」と続く。
中身は寄生型の侵略種だった。「運びのバイトは何人いた」に対する答えが「集まったのは6、7人」で、同じ荷物が同時に何か所へも運ばれていたことになる。爆発が一か所で終わらなかった理由もここにある。
仕掛けた側が自分の手を一切汚していないのが嫌らしい。捕まるのは中身を知らされていない人間だけで、依頼者にたどり着く線はサイトの向こうで切れている。この作品が扱ってきた薬の流通と同じ形で、実行役だけが使い捨てにされている。
「一体誰が、何のためにこんなことを」
現場の被害が読み上げられる。「最初の爆発とガスの被害」「寄生被害を受けている人も多い」「二次被害も」。それに対して出るのが「一体誰が、何のためにこんなことを」である。この時点では、動機のほうがまるで見えていない。
対応は三本立てだった。「侵略種の駆除と、寄生された民間人の治療、それから運び屋の捜索」。EXCEEDSの救護部隊が広域避難と救護に回り、駆除隊員の装備も救護部隊経由で届けられる。戦うより先に人を運ぶ組織として描かれているのが、この作品らしい。
戦闘の派手さではなく、手が足りないという言葉が何度も出てくる回だった。広域避難、救護、駆除、捜索を同時にやらされていて、どこを削っても人が死ぬ。仕掛けた側は、そこまで込みで数を撒いていると思う。
魔人狩りが勝手に「提携団体」にされる
臨時ニュースに、名乗った覚えのない名前が乗る
臨時ニュースの読み上げが効いている。「第四管区の公園で侵略種災害が発生しています」「国連災害対策本部の特務部隊が出動中」、そして「緊急事態のため提携団体にも支援を要請」。具体的には「原種3号、4号の駆除時、違法施設の調査と4号の駆除を担当したグループに協力を要請」だった。
それを聞いた側の反応が正しい。「これ、もしかしてあたしたちのこと?」「私らがいつあいつらと提携したの?」。前々回、原種の駆除を横から持っていっただけの相手が、公共の電波で提携先として扱われている。言い分は「危険な災害です。使えるものは使いたいというところでしょうか」。
これは笑うところであると同時に、この回の構図そのものでもある。組織の外にいる人間は、都合よく名前を使われる側に置かれている。同じ理屈がそのまま、終盤で名前を悪いほうに使われる展開へつながっていく。
それでも「駆除に協力します」と返した
トワの判断は早い。「あの時の子かな」とだけ言って、「信用するわけじゃないけど、この惨状を放ってはおけないから」。ユズにメッセージを送らせる。
文面が「駆除に協力します。こちらは元凶を探して潰しますと」で、そのうえで「私たちは魔人狩りに集中しよう」と線を引いた。人助けは引き受けるが、自分たちの目的は別にあると明言している。
前回、この人は足跡を減らすために拠点を海外へ移すと決めていた。その矢先に、いちばん目立つ形で表の組織と並んで動くことになる。善意で動いた分だけ痕跡が増えるので、見ている側としてはここがすでに落とし穴に見える。
地下へ移った寄生型と、無人の電車
駅が封鎖され、一斉駆除が始まる
緊急速報で舞台が移る。「危険物を散布する侵略種が第四管区三番地区の地下に移動したことが確認されました」「周辺の地下鉄は運行を見合わせ」「指定の駅構内はすべて封鎖となります」。
そこからはなのはとフェイトの仕事になる。「一斉駆除を行います」の合図で片づけ、「屋台区画の一時消毒完了」「防御隊、処理をお願いします」と後始末まで回す。救助と消毒を同時に進める、災害対応としての戦い方だった。
この二人が出てくると場が一気に片づいてしまうので、手が足りないという話とは別の緊張感が生まれる。力で解ける部分は本当にあっさり解けていて、だからこそ力で解けない部分だけが残る構成になっている。
三台の電車と、止めても爆発した爆弾
シイナが見つけたのが本命だった。「本部、無人の電車が走ってる」「寄生型と何か爆発物がある」「やばいと思って突入しました」。中身は「飛び散った液体や気化したガスからでも寄生される可能性がある危険物」で、「こんなものが地上に出て爆発でもしたら」という代物である。
役割分担が入る。「車両停止はフェイト執務官を向かわせます」「久瀬さんは寄生型の排除を」。確認できた電車は三台で、うち一台は止められた。残りは魔人狩り側の手も入っていて、ユーナが「あの電車を止めればいいんだよね」と受け持つ。
ところが止めたはずの爆弾は「なんで爆発したの。まあいっか」で片づけられてしまう。寸前で止まらない爆弾というのは珍しく、しかも本人がまるで気にしていない。この軽さがこのチームの持ち味なのだが、あとの展開を知ったあとで見返すと、笑っていられる場面ではなくなる。
「私たちか、誰かへのメッセージ」
総督たちは、規模の不自然さに気づいていた
八神はやて総督のいる指揮所側の読みが、この回でいちばん鋭い。「これは通常の侵略種災害や魔人犯罪の枠には収まりませんね」「都市を狙った一大テロです」。そのうえで、把握している範囲の組織には「ここまで大規模なことを起こす理由も意味もないはず」と切り捨てる。
そして核心が出る。「ただの爆弾や毒物じゃなく、侵略種を使う理由」「私たちか、誰かへのメッセージ」。儲けでも殺傷でもなく、誰かに向けて出された合図としてこの事件を読んでいる。
ただし続けて「警察には情報を共有しています」「避難勧告や交通規制は問題なくやってくれるでしょう」と言う。読みは当たっているのに、共有した相手のほうがすでに握られている。視聴者だけが前回の内容を知っているので、この安心の置き方がひたすら怖い。
戦場で、シイナとトワが鉢合わせる
この回の山は、事件そのものではなく二人の顔合わせだった。シイナとトワが現場で行き合い、互いが魔人であることを知ってしまう。友達として名前を交換した相手が、それぞれ隠していた側の顔で立っている。
シイナの側には前回からの引っかかりもあった。「トワさんがいた公園で事件が起きたのも、ただの偶然じゃないかもしれない」。それを「かもしれないけど、今は考えなくていい」と止められる。疑いを持ったまま、考えるなと言われている状態で顔を合わせてしまった。
前回、二人はベンチで並んで、しばらく会えなくなると話していた。友達でいるために本当のことを言わないでいた二人が、言わないままいちばん見せたくない姿を見られる。隠し事が丁寧に積まれてきたぶん、崩れ方も丁寧で、正直かなりきつい。
ラボの記憶と、読み上げられた名前
「私のために強くなってね」
合間にラボの記憶が差し込まれる。「あなたたちは、今のところは優秀な実験体です」「ですからこのラボの主、篠宮様と蔵木様は期待をかけていらっしゃいます」。飼育される側として扱われていた頃の言葉である。
続く内容が容赦ない。逆らったり逃げようとした者への懲罰は「この魔人に捕食され、この魔人の一部になってもらいます」で、「切り刻まれた痛みと、感染する病原菌の苦痛を味わい続ける醜い怪物」「こんな姿になりたいですか」と見せつけられる。締めが「しっかり食べて、ちゃんと育って、言うことを聞いて」「私のために強くなってね」だった。
この最後の一言は、第3話の回想にも出ていた声と同じである。育てて食べるという発想が最初から一貫していて、今回の事件も結局は同じ理屈の延長にある。だから直後にトワが「一生懸命生きてる人たちが、あんな奴のために傷ついたり死んだりなんて許せない」と言うのが効く。
「この事件、多分、蔵木と篠宮が関わってる」
トワは自力で答えにたどり着いていた。仲間に向かって「この事件、多分、蔵木と篠宮が関わってる」と言い、問い返されると「後で説明する。待ってて」とだけ返す。
一方、指揮所には別の連絡が入っていた。「警察から事件の犯人について発表を行うと連絡が」「確たる筋からの情報で証拠もあると」。いいことだと思いますが、と言いかけたところで空気が変わる。「その犯人というのが」で言葉が切れる。
犯人を突き止めた側と、犯人にされる側が同じ人物である。正解にたどり着いた人が、その瞬間に容疑者になるという組み方で、順番の置き方がとにかく意地悪だった。
「第四管区地下鉄道・追跡駆除戦」まとめと考察
容疑者は夜海トワ、18歳
締めくくりは緊急速報である。「第四管区で発生した侵略種を利用した大規模テロ事件の容疑者について、警察より発表がありました」「容疑者は夜海トワ、18歳」。
理由づけが巧妙である。「かねてより魔人狩りと称して犯罪者への死刑を行っていた容疑がかけられており、今回の犯行はその延長として行われた可能性がある」。魔人狩りをしていたこと自体は本当なので、嘘の部分だけを最後に足せば通ってしまう。
公式のあらすじは、この事件が蔵木がトワを確保するための計画だったと書いている。つまりテロは目的ではなく、警察に追わせるための材料を作る手続きだった。前回、警察を使うかと言い出して「やり方次第さ」と答えていた男の言葉が、そのまま形になっている。
名前を使われる話として一本にまとまっている
今回は名前の使われ方で通した回だった。前半では、名乗ってもいないのに提携団体として名前を出される。後半では、やってもいない事件の容疑者として名前を読み上げられる。どちらも本人の同意なしに、表の側が勝手に決めている。
そして指名手配が出た以上、表の組織にいるシイナと、追われる側になったトワは、次に会うときは立場で敵になる。互いの正体を知った直後にこれを乗せてくるので、和解の余地が先に潰されている。
気になるのは、指揮所が事件を誰かへのメッセージだと読んでいたことである。受け取り手が組織なら、これは宣戦布告になる。だが仕掛けた側の狙いが最初から一人の確保だったのなら、メッセージの宛先も一人だったことになる。総督たちがどこまで気づいたうえで警察に情報を渡していたのか、次回はそこから見たい。


























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