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第3話「カフスボタンとオルゴール」。建国を祝う向日祭の日、エルサは弟ハンネスの誘いで城下町の祭りへ出かける。それを「男性と出かけた」と告げ口したセラフィーナの一言で、ユリウスは予定を断ってまで後を追うことになった。相手が弟だと知って気まずくなりつつも、二人は初めて祭りを一緒に回る。だがユリウスはエルサからもらったカフスボタンを失くしており、言い出せないまま城内を探し歩いていた。そして落として壊れたオルゴールを、ユリウスは国境の向こうまで手を回して直させ、髪飾りとともに持ち帰る。




向日祭の日、エルサは弟と城下町へ
久しぶりの再会と、心配性の弟ハンネス
第3話の舞台は向日祭。ラルト国の建国を祝うこの日は毎年記念式典が行われ、国内の貴族たちが一堂に会する。式典を終えたエルサのもとへ現れたのが、弟のハンネスだった。
再会するなり出てくるのが心配の言葉ばかりなのが、この弟の良いところだ。「いじめられたり不当な扱いを受けたりしてない?」「僕、今、司法も学んでるから何でも言ってね。あと、証拠は絶対取っておいてね」。エルサは「とってもよくしていただいてます」と、庭を借りて菜園を作ったこと、使用人たちと裁縫をしたこと、お茶会に行ったことを楽しそうに並べる。
ただ、ハンネスの目はごまかせない。「ユリウス様とは、あまり一緒に過ごしていないのかな」。そして「せっかく来たんだから、街の出店も回ろうよ」と姉を誘い出す。ユリウスは王太子アレクシスとの打ち合わせが長引きそうだから、と気を回したうえでの誘いだった。
★セラフィーナの一言で、ユリウスが動く
一方のユリウスは、祭事の取り仕切りを終えたところをセラフィーナに捕まっていた。父主催の夜会への誘いを受け、パルニラ伯爵家の動向を探るには参加すべきかと思案する彼に、彼女はこう告げる。「エルサ様でしたら、先ほど男性と共に城下町へ行かれたのをお見かけしました」「奥様も奔放になさっているようですし」。
誘いを断る口実として使われた形だが、ユリウスの反応は本人の想定を超えていた。「城下町のどのあたりでしょうか」と食い下がり、「申し訳ありませんが、本日は予定がありますので失礼します」と夜会を蹴って飛び出していく。義弟に嫉妬するユリウス、というネットの評はまさにこの場面を指している。
★「今俺は、君のことを信じたいと思っている」
契約結婚だったはずの、独白
人混みを探して回りながら、ユリウスの内心が流れる。「この結婚は契約結婚だ。彼女との結婚は、お互いの利益のために始めた関係で、夫婦なんて形だけのもので、彼女が何をしようが、どうでもよかったはずなのに」。
そして見つけた瞬間に続く一行が、この回でいちばん静かな山場だ。「なのに——今俺は、君のことを信じたいと思っている」。疑いに駆られて走り出したはずが、たどり着いたのは信じたいという結論だった。
その男の正体は「ご紹介します。弟のハンネスです」であっさり判明する。「弟」と固まるユリウスに、ハンネスは「結婚式の時は、ゆっくりご挨拶できませんでしたもんね」と如才ない。内心で「この人、ちゃんと姉さんのことが好きなのか」と見抜いているあたり、この弟は相当に鋭い。
二人で回った祭りと、失くしたカフスボタン
ハンネスは「僕、そろそろ宿泊先の門限だから帰らないと」と早々に退場する。「ユリウス様、姉をよろしくお願いします」と言い残していく引き際が見事で、ネットが「空気の読める男」と褒めそやしたのも納得だった。
残された二人の会話が、じわじわと距離を縮めていく。「治安のいい王都といえど、従者も連れずに出歩かないでほしい」に続けて出てくるのが「心配した」という一言。そして「今日はもう仕事が終わったんだが」「俺も食べてみたい」「一緒に行きましょう」と、二人で祭りを回ることになる。エルサの述懐は「旦那様と過ごす祭りが、あんなに楽しいものだったなんて」だ。
ところがその帰り、ユリウスは異変に気づく。「カフスボタンがない」。エルサが誕生日に贈ってくれた、あのカフスボタンである。翌朝から城内を練り歩き、周囲に「その彼が今朝から城内を練り歩く奇妙な行動を見せている」と不審がられるほど探し回るが、見つからない。
★壊れたオルゴールと、ユリウスの奔走
「ラルト国で作られたものではないですね」
そこへエルサが暗い顔で相談を持ちかけてくる。カフスボタンの件がばれたかと身構えるユリウスだったが、話は別だった。「こちらのオルゴールなのですが、私の不注意で落とした時に壊れてしまいました。これは私の宝物でして」。
紹介された修理工の見立ては厳しい。「壊れた部品のスペアがここにはありません」「外側も内側も見たこともない細工です。きっとこれは、ラルト国で作られたものではないですね」。エルサは「物はいつか壊れるものですし、そもそも私の不注意ですので」と気丈に振る舞うが、ユリウスは引き下がらなかった。短期留学の際にこの細工を見た記憶がある——リベルム国のものだと見当をつけていたのだ。
王太子の前で漏らした本音
ユリウスは王太子アレクシスに、リベルム国の修理屋と連絡を取れないかと願い出る。「取引材料とか」と勘ぐられ、「いえ、これは妻の宝物らしく」と答えたところで、殿下は完全に面白がりはじめる。「私的な頼み事をしてくるなんて、本当に珍しいな」「生き生きするのやめてください」。
そして問い詰められて出てくるのが、ユリウス自身の言葉だ。「結婚初日、夫婦になったが愛する気はないと一方的に伝えたのに、彼女は次の日から俺のことを家族として扱い、誕生日を、まるでそうすることが当たり前みたいに祝って、プレゼントを渡してきたんです」。
受けたアレクシスの返しが効いている。「私は結婚を命じたけれど、仮面夫婦になれなどとは命じてないぞ」「誰のことも愛せなくなっていると思っていたが、良い傾向だな」。「愛する気はない」と言った当人が、その撤回を口にしないまま行動だけ変わっていくのが、この作品の面白いところである。
直って戻ってきたオルゴールと、髪飾り
★母から受け継がれた曲
その後ユリウスは地方への視察に出てしまい、オルゴールの行方も分からないまま。エルサは「処分されてしまったのかな」「壊れていても手元に置いておきたいと伝えればよかったでしょうか」と気を揉み、ぼんやりしていて菜園を領地の外まで開墾してしまう始末だった。
帰還したユリウスが差し出したのは、直ったオルゴールだった。「君が時々口ずさむ曲は、これだったんだな」。エルサの母が祖父母から受け継いだ曲で、子供の頃にせがんでよく聴かせてもらったから、屋敷に移る時に持たせてくれたのだという。
母の言葉も明かされる。「エルサ、いつかあなたも、愛する人と一緒にこの曲を聴いているといいな」。そして「あとこれは土産なのだが」と髪飾りを取り出し、「俺が付けてもいいか」と自ら着ける。「思った通り、君によく似合う」——地方視察はこの修理のためだったのかと問われて、返事は「まあな」だけだった。
言い出せないままのカフスボタン
こうしてオルゴールは無事に戻ってきた。だがカフスボタンのことは、最後まで言い出せないままである。アレクシスにも「そういうことは早めに謝らないと嫌われるぞ」と釘を刺されていたのに、である。
公式も「オルゴールは無事に戻ってきましたが、カフスボタンは…次回波乱の予感!?」と煽っており、視聴者の見立ては次回はセラフィーナの攻撃ターンで一致している。妻からの初めての贈り物を失くしたという弱みが、彼女の手に渡っているかもしれない——穏やかに終わったように見えて、置き土産はしっかり不穏だ。





















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