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建国記念パーティーで、エドワードとカロリーナの婚約と結婚が正式に宣言される。祝福されるべき晴れの舞台だが、第3話の中身はもっと重い。会場ではカロリーナの飲み物に毒が盛られ、護衛騎士オーウェンが思わぬ人物を犯人と名指しする。さらに帝国の継承問題に巻き込まれた背景と、護衛騎士オーウェンの壮絶な過去が明かされ、カロリーナは彼にそっと手を差し伸べる。その頃、彼女が去ったセレスティア王国では姉フローラの聖魔法が衰え始め、カロリーナこそが無自覚の聖女だったことが静かに示されていく。




建国記念パーティーと、正式な婚約発表
エスコートされての入場と、婚約宣言
第3話は、サブタイトルにもなった建国記念パーティー当日を迎える。エドワードにエスコートされたカロリーナ・サンチェス公爵令嬢が会場に入場すると、あのエドワードが誰かをエスコートするなんて、と貴族たちがどよめく。
皇帝ルビー・マルティネスと皇后が現れ、皇帝みずからの口からエドワードとカロリーナの婚約と結婚が、この場に宣言される。もっと反発されると思ったが受け入れられた、と関係者が胸をなでおろすなか、乾杯の声が上がった。
じつは今回、パーティーそのものの場面はごく短い。ネットでも「サブタイトルの割にパーティーは一瞬」と言われたほどで、晴れの舞台はあくまで導入。この後に続く重い展開への、静かな前置きになっている。
病を抱える、第一王子ギルバート
会場には、エドワードの兄・第一王子ギルバートも姿を見せていた。弟の婚約者となったカロリーナに「こんな綺麗な子が」と柔らかく声をかける、優しい人物である。兄のような人が好みか、と問われたカロリーナは「私にはいつも優しく、頼りになる方がずっと魅力的です」とエドワードを立ててみせる。
だがギルバートは、重い病を抱えていた。本来なら特殊な結界の張られたダイヤモンド宮殿から一歩も出られない身で、薬で症状を一時的に抑え込み、無理を押してこの場に出てきていたのだ。祝いの席で多くを語らず去っていく背中が、静かな影を落とす。
華やかな婚約発表の裏に、さっそく不穏の種が仕込まれている。優しく振る舞うギルバートの弱った姿が、後で語られる帝国の事情へと繋がっていく作りが上手い。
毒殺未遂と、父レイモンドへの誤認
飲み物に盛られた毒と、オーウェンの告発
パーティーの途中、カロリーナのもとに父レイモンド公爵が挨拶に訪れる。エドワードをどう思うか問われたカロリーナは「優しくて気遣いできて穏やかで、あの方の妻になれることを誇りに思います」と、迷いなく答えてみせた。
その直後、事件が起きる。護衛騎士オーウェンが「その男から離れろ。そいつはお嬢を殺そうとした奴だ」と、よりにもよって父レイモンドを名指ししたのだ。カロリーナの飲み物に毒を盛った実行犯を捕らえて尋問したところ、レイモンドに雇われたと吐いた——というのがその理由だった。
実の父が娘を殺そうとした、というあまりの告発に場は凍りつく。主人を守ろうとするあまり突っ走るオーウェンの危うさと、それでも毒殺未遂という事実だけは動かない緊張感が、いっぺんに押し寄せる場面だった。
カロリーナが見抜いた、偽装の綻び
だが、その場を収めたのはカロリーナだった。彼女は実行犯の証言が仕組まれた嘘だと即座に見抜く。犯人が黒幕として匂わせた相手は黒髪に薄紫の瞳の東ゴーティア人だが、はるか東の東ゴーティアと交流する財力も手段も、小国セレスティアにはない、と理詰めで崩してみせた。
何より、実の娘を殺そうとする父親がどこにいるのか——。娘のその一言に、レイモンドも事を荒立てない。「彼は娘を思って行動したまでです」と、暴走したオーウェンをかばう寛大さを見せた。
聡明さと情の厚さを、短い場面でまとめて見せてくるのがカロリーナらしい。彼女の婚約が二つの国を同時に揺らしていく、その中心に立っているのが誰なのかがよく分かる一幕だった。
二国を揺らす、カロリーナという中心
帝国の継承問題と、偏向報道されたエドワード
一連の襲撃の背景を、補佐役のテオドールがカロリーナに明かす。第一王子ギルバートが病で社交界に出られない間に、戦で武勲を上げたエドワードを皇太子に推す声が高まり、第一王子派と第二王子派という二つの派閥が生まれてしまったのだという。
カロリーナが狙われるのも、過激な第一王子派の仕業だった。エドワードの残忍という悪評も、その偏向報道が生んだもの。彼が親子を斬ったのは事実だが、母親は爆破魔法を仕込んだ敵国の活動家で、民間人を守るための一太刀を、罪のない親子殺しと誇張されたのが真相だった。本人は「王位を継ぐつもりはない、ふさわしいのは兄上だ」と言い切る、政治に疎いまっすぐな人物である。
残忍と噂された王子の不器用な実像が、事実の裏取りとともに明かされていく。「あの子を斬ったのは事実だ」と己の罪から目を逸らさない姿勢が、かえって彼の潔白を際立たせていた。
去った祖国で、崩れ始める聖魔法
視点はカロリーナが去ったセレスティア王国へ移る。父レイモンドの手紙が告げていた通り、作物の不作、短期間で十件もの魔物被害、原因不明の疫病と、異変が相次いでいた。
そして、次期聖女とうたわれた姉フローラの回復魔法も浄化魔法も、目に見えて質が落ちていた。焦るフローラは、つい「こんな時カロリーナがいてくれたら」と本音を漏らしかけては、「演技とはいえ腹立たしい、あんな女と一緒にいたくない」と妹への敵意を隠さない。3話になっても嫌われ役に徹する姿に、ネットも思わず苦笑していた。
優秀なはずのフローラが、なぜか力を発揮できない。その苛立ちと綻びを丁寧に積み上げることで、この不調の本当の理由へと観る側の視線を誘導していく。
護衛騎士オーウェンの、過去と忠誠
空っぽになった男の、壮絶な生い立ち
暴走して取り調べに回されたオーウェンには、壮絶な過去があった。護衛騎士に定められた条件は四つ——貴族出身、相応の実力、実家が第一王子派でないこと、そして騎士団より大切なものがないこと。買収されない人間、という意味だった。
オーウェンは、金にも地位にも家族にも、自分の命にすら執着がない。彼はクライン男爵と使用人の間に生まれた庶子で、感謝していたはずの引き取り手からは、嫡子にもしものことがあった時の予備としてしか見られていなかった。もう生かしておく価値はない、と実の父に殺されかけたその日から、彼の心は空っぽになっていたのだ。
何も大切にできないのではなく、大切なものを奪われ続けた末の空虚だった。カロリーナを守ろうと突っ走った危うさの裏に、これほどの傷があったと分かって、印象が大きく変わる。
未完成のハンカチと、忠誠の誓い
そんなオーウェンに、侍女コレットが一つの提案をする。カロリーナが刺していた作りかけのハンカチを、彼に渡してはどうか、と。騎士にとって護衛隊長からの贈り物は名誉そのもので、未完成のハンカチには「まだ未熟だが、今後に期待している」という意味があるのだという。
テオドールからオーウェンの過去を聞いていたカロリーナは、自らの身の上を重ねる。自分を産んで母が亡くなり、姉に疎まれてきた彼女もまた、必要としてくれる人がいなければ世を恨んで生きていたかもしれない身だった。「私のもとで頑張ってみない? 自分の幸せのために」——その手を取ったオーウェンは、剣と忠誠を捧げ、命朽ち果てるまで守り抜くと誓うのだった。
姉に冷遇されてきたカロリーナだからこそ、空っぽの男の理解者になれる。騎士団より大切なものを持たないはずのオーウェンに、守るべきものができてしまった——その変化が、静かで確かな手応えとして残る、この回いちばんの名場面だった。
まとめ——無自覚の聖女が、二国の要になる
救われる者と、焦るフローラ
悩める護衛騎士を救い、毒殺の濡れ衣を晴らし、婚約を受け入れさせる。カロリーナの振る舞いは、本人が意識しないまま、まさに聖女そのものだった。早く本当の聖女になってほしい、という視聴者の願いが集まるのも道理である。
対照的に、セレスティアのフローラは追い詰められていく。魔物がいなくなってもなお魔力は落ち続け、その不調が始まった時期は、カロリーナがこの国を去った時期とぴたりと一致していた。この変化を利益に繋げようとたくらむ何者かの影も差し、伏線は静かに張り巡らされていく。
救われる者と、救われない者。同じ「聖女の力」をめぐって明暗が分かれていく構図が、この回でくっきりと立ち上がってきた。
早く本物に、という願い
カロリーナが去ったことで祖国が傾き、彼女が来たことで帝国の火種が噴き出す。二つの国を同時に動かす要として、カロリーナが機能している——そのことを、婚約発表・毒殺未遂・オーウェンの忠誠という出来事を通じて丁寧に見せた一話だった。
無自覚のまま人を救い、無自覚のまま国を守っていたカロリーナが、いつ自分の力に気づくのか。タイトル通りの「無自覚」がいつ晴れるのかが、これからの最大の楽しみになっていく。次回以降の展開に期待したい。




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