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名前で呼び合うほど距離の縮まった綾と美緒だが、持ち物検査もある寮生活では毎日は格ゲーができない。それでも戦いたい二人は鍵の壊れた空き部屋を見つけ、対戦会を始めようとする。ところがその現場を、格ゲー好きの犬井夕先輩と、学内きっての厳格な寮務委員長・一ノ瀬珠樹に目撃されてしまう。退学の危機——かと思いきや、綾はアケコンを一目で見抜いた珠樹もまた隠れゲーマーであることを暴く。退学を賭けた勝負で立場は逆転し、お嬢さま学校の真夜中に、賑やかな対戦会が幕を開けるのだった。




空き部屋の発見と、名前で呼び合う二人
持ち物検査の学校で、それでも戦いたい
第3話は、名前で呼び合う仲にまで近づいた綾と美緒の日常から始まる。だが黒美女子学院の寮生活は厳しく、高等部では抜き打ちの持ち物検査まであるという。平日は外で対戦する時間も場所もなく、週末までおとなしくしているしかない。
それでも、格ゲーをやりたい二人の情熱は抑えられない。格闘ゲームをやるヤバい女とすごい確率で出会えたのに、対戦できないなんて人生の浪費だ。そんな綾の身も蓋もない主張に、美緒も静かに「わかる」とうなずく。
お嬢さま学校の品位ある空気と、二人の切実すぎる格ゲー欲との落差がまず可笑しい。上品な声から飛び出すのが「人生の浪費」という言葉なのだから、掴みから期待を裏切らない。
尊い呼び名と、鍵の壊れた空き部屋
互いを名字ではなく名前で呼ぶようになった二人の距離感を、視聴者は「尊い」と喜んだ。格ゲーで切磋琢磨する対等な相棒として、その関係は着実に深まっている。
そんな二人が見つけたのが、同じ階の隅にある、鍵の壊れた空き部屋だった。人に見られず対戦できる場所を探し当てた二人は、さっそくそこで格ゲーを始めようとする。
秘密基地を手に入れた高揚感が、画面のこちらにも伝わってくる。禁止されているからこそ燃える、という部活の初期衝動のような熱が、この空き部屋には満ちていた。
見つかった二人と、厳格な寮務委員長
格ゲー好きの犬井夕先輩と、抜け道の話
ところが、対戦を始める前に二人は先客に出くわす。寮務委員でありながら、じつは自身もスト6をプレイしている犬井夕先輩だ。兄弟の多い家庭で、弟にせがまれて対戦しているうちに自分が一番ハマった、という筋金入りである。
犬井は、寮でゲームを続けるための抜け道まで教えてくれる。寮務委員になれば一人部屋が割り振られ、取り締まる側に回ってしまえる、というわけだ。この時点で、この学校の格ゲーマー率の高さが早くも怪しくなってくる。
濃い新キャラの一人目から、いきなり親近感のある造形なのがいい。取り締まる立場の人間が同好の士だった、という転がし方で、物語がもう一段賑やかになっていく。
退学の危機——一ノ瀬珠樹、登場
和やかな空気は、一人の人物の登場で凍りつく。四階会長にして学内きっての厳格な寮務委員長・一ノ瀬珠樹である。消灯時間に空き部屋へ忍び込み、ゲームで遊ぼうとした——珠樹はそう断じ、二人を厳しく問い詰める。
品位を貶める悪質な行為だと切り捨て、処分は追って連絡する、とまで言い渡す珠樹。見つかったのがよりにもよって最も堅物の委員長という最悪の展開に、二人きりの秘密の逢瀬は、あっけなく終わりを告げるかに見えた。
いかにも動かせない相手の登場で、緊張が一気に跳ね上がる。この絶体絶命を、綾がどう引っくり返すのかへと、自然に興味が引っ張られていく運びだった。
立場の逆転——委員長も、隠れゲーマー
アケコンを見抜いた委員長の、正体
追い詰められた綾は、しかし珠樹の言葉尻に違和感を掴む。珠樹は、机の上のアケコンをちらりと見ただけで「ゲームで遊ぼうとした」と言い当てていた。この謎めいた箱をコントローラーだと一目で見抜けるのは、同類の格ゲーマーだけだ——綾はそう指摘する。
じつは犬井も知っていた。珠樹の部屋は自分の隣で、耳を澄ますとアケコンのボタンを叩く音が聞こえてくる、と。厳格な寮務委員長の正体は、立場を利用して寮内で密かにプレイする隠れゲーマーだったのだ。
お堅い委員長ほど実は同好の士、というギャップの気持ちよさが全開になる場面だ。証拠がないと突っぱねようとする珠樹の動揺までが、かえって図星を裏づけていて可笑しい。
退学を賭けた勝負と、美緒の煽り
ここで美緒が動く。ならば対戦で決めましょう、と珠樹に勝負を持ちかけるのだ。綾たちが勝てば今夜のことはなかったことに、負ければ二人まとめて退学——そんな賭けを、怒られた側であるはずの美緒がむしろ煽るように挑んでいく。
受けて立った珠樹だったが、結果はあっさりと敗北。弱い者に発言権はない、と立場は綺麗に逆転してしまう。負けず嫌いの珠樹は、こうして取り締まる側から、格ゲーを教わる側へと回ることになった。二人は珠樹を巻き込み、寮内に秘密の対戦会場をこしらえていく。
怒られた側が煽り倒して勝ち、委員長を仲間に引きずり込む——痛快な下剋上だ。アホの子めいた美緒の物おじしない煽りが、この逆転をいちばん楽しそうに転がしていた。
真夜中の対戦会と、綾のスパルタ指導
熱帯に折られたメンタルと、キラキラ
スト6を教えてほしいと願う珠樹に、綾のスパルタ指導が始まる。珠樹は決して下手ではなく、防御はむしろ上手い。だがネット対戦(熱帯)で心を折られすぎた動きだ、と綾は見抜く。
カウンターを嫌って技を振らず、ひたすら相手のミスを待つ超防御型。攻めの起点になるはずのジュリを使いながら、自分からSA3を当てに行く気配すらない。問題は技術ではなくメンタルで、珠樹はランク戦でキラキラした感情を忘れてしまったのだと綾は言う。
勝つためだけに擦り減って、格ゲー本来の楽しさを見失う。身に覚えのある人も多い実感だろう。先輩相手に一歩も引かず核心を突く綾の指導は厳しいが、その診断はどこまでも的確だった。
ヒット確認からSA3、トレモに覚醒する委員長
綾の処方箋は具体的だった。ヒット確認からSA3へ繋ぐ連係を、成功率が9割を超えるまでトレーニングモードで練習しろ、というものである。先輩に対する容赦のない言い草に珠樹はたじろぐが、強さの前には返す言葉もない。
そして珠樹は、変な方向に覚醒する。ひたすらヒット確認を反復するうちに手応えを掴み、「私、今トレモが楽しい。次の課題を出すがいいわ」とまで言い出すのだ。上品な声からえげつない格ゲー用語が飛び出す、この作品らしい光景である。
地道な基礎練を積む委員長の後ろ姿が、なんとも可愛らしく映る。がむしゃらに対戦を重ねるより、基礎と技を磨くことの大切さを、キャラの成長でそのまま見せてくるのが上手い。
まとめ——大格ゲー時代の、賑やかな仲間たち
みんなで楽しく——犬井夕の優しさ
対戦会は一週間続き、面々はすっかり夜更かしの常連になっていく。そんな中で光ったのが、犬井夕の優しさだった。後輩二人が対戦に夢中で、トレモに没頭する珠樹を置き去りにしかけたとき、犬井がそっと気づかせるのだ。
一人だけ仲間外れになるのは好きじゃない、みんなが楽しい対戦会じゃなきゃ嫌だ、と。厳格な委員長も、口の悪い後輩たちも、この一言で改めて同じ輪の中に戻される。新キャラ二人が加わって、関係性のピースが気持ちよくハマった回でもあった。
勝ち負けに熱くなりつつ、誰も置いていかない。格ゲーを通じた不器用な友情が、犬井の一言でふっと温かくなる、いい塩梅の場面だった。
「三先で決めよう」という、この作品らしい締め
身につけたヒット確認を実戦で試したい珠樹のために、話は三先勝負へと向かう。ところが誰が先に三先をやるかを、三先で決めるという無限ループめいたオチで幕を閉じる。どこまでも格ゲーに全振りした、この作品らしい締めだった。
お嬢さま学校に格ゲーマーが集まりすぎでは、というツッコミも、もはや大格ゲー時代として楽しむ域だ。賑やかになった四人が次はどんな対戦を繰り広げるのか、続きが待ち遠しくなる一話だった。













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