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十五歳になったエフタルは、涙で見送るイリアたちに別れを告げ、魔法学院の試験を受けるため生まれ育った家を旅立つ。道中の町で、奴隷の魔族少女アナスタシアを虐げる狂炎の魔術師エドワーズと遭遇。そこへオークジャイアント(実は上位個体オークバーサーカー)が現れ、人々を囮にして逃げようとするエドワーズをよそに、エフタルが力を偽装した魔法で一撃で仕留める。アナスタシアを救ったエフタルは、彼女が前世の弟子マーリンの遠縁だと知って驚き、二人でクローネ魔法学院の試験へと向かうのだった。




エフタルの旅立ちと、奴隷の少女
育ての親に見送られ、魔導の頂へ
第4話「旅立ち -Seek Freedom-」は、十五歳になったエフタルの旅立ちから始まる。涙ながらに見送るイリアたちに別れを告げ、エフタルは生まれ育った家を後にする。
才能の壁なんて越えてみせる、立ち止まらず魔導の頂まで一直線に——。二度の転生を経て前世の知識と全盛期の力を受け継いだ大賢者が、魔法の衰退したこの世界で、あらためて頂を目指す旅の第一歩だ。
温かな見送りの場面が、これから始まる冒険への期待をふくらませる。王道の旅立ちを丁寧に描いておくことで、この後に待つ出会いの意味が引き立っていた。
虐げられる魔族の少女、アナスタシア
道中で立ち寄った町で、エフタルはある光景を目にする。自称Aランク冒険者の男が、奴隷の魔族少女アナスタシアを、まるで物のように扱っていたのだ。
奴隷紋を刻まれ、粗末な身なりで従わされるアナスタシア。その理不尽な扱いに、エフタルは静かに不快感を募らせていく。奴隷として弄ばれる少女との出会いが、彼の旅路を思わぬ方向へと動かしていくことになる。
なろう作品らしい奴隷ヒロインの登場だが、その扱いのひどさが敵役の性根をくっきり示す。見て見ぬふりをしないエフタルの姿勢が、彼という主人公の芯を早々に見せてくれた。
狂炎の魔術師と、オークバーサーカー
「わかりやすい悪役」エドワーズの本性
その男こそ、狂炎の魔術師エドワーズ。あまりにわかりやすい悪役ぶりで、自らの実力と地位を鼻にかけ、田舎者や奴隷を見下してはばからない。
そんな町に、オークジャイアントが出現する。だがその正体は、より強力な上位個体・オークバーサーカーだった。自称最高位のレベル4魔法を放つも通用せず、エドワーズは追い詰められていく。
金に物を言わせ、肩書きをふりかざす男の化けの皮が剥がれていく。痛快なほど分かりやすい小物っぷりが、かえって見ていて面白い敵役だった。
レベルを偽装して、一撃で仕留める
追い詰められたエドワーズは、信じがたい行動に出る。結界で街の人々を囮に閉じ込め、自分だけ逃げようとしたのだ。まぎれもない殺人未遂である。
その結界を、エフタルはあっさりと解いてみせる。そして異端視されぬよう、高位の魔法を低いレベルに見せかけて放ち、オークバーサーカーを一撃で仕留めた。周囲には、ただのありふれた魔法にしか見えていない。
ただのファイアーボールでこの威力か、と驚く声が上がるのも、なろう作品ならではのお約束だ。力を隠しながら格上を軽々と退けるギャップこそ、この作品の気持ちよさの核心だった。
断罪と、アナスタシアの主人
殺人未遂を暴き、奴隷を解き放つ
エフタルは、逃げようとしたエドワーズを断罪する。人々を囮にした行いは立派な殺人未遂の重罪であり、罪人に奴隷を従える権利はない。彼女を自由にして自首しろ、と。
意外だったのは、あれほどタチの悪いエドワーズが、エフタルが去った後にちゃんとアナスタシアを解放したことだ。そんな真似をするとは思わなかった、と驚く声も上がった。悪役にも一分の理を残す描き方が、物語に妙な後味を添えている。
力ずくで従わせるのではなく、筋を通して解き放つ。エフタルの正しさが、押し付けがましくなく示されていて好感が持てた。
「僕が君の主人になろう」
解放されても、アナスタシアの立場は危うい。奴隷門の術式は主人がいなくなっても簡単には解けず、フリーの奴隷は悪い者に見つかればさらに酷い目に遭いかねない。
そこでエフタルは、「しばらくは僕が君の主人になろう」と申し出る。従順な奴隷ヒロインとして、アナスタシアはエフタルと行動を共にすることになった。メインヒロインの登場だ、と沸く声も多く、彼女がこれからどう変わっていくのかに期待が集まる。
守るために、あえて主人という立場を引き受ける。その距離感が、次の場面で描かれる二人の関係の温かさへと繋がっていった。
四百年越しの、思わぬ縁
前世の弟子マーリンは、学院の校長に
アナスタシアの素性を聞いて、エフタルは思わぬ縁に気づく。彼女は魔族の王族の末裔で、名門魔法学院の学院長マーリンの遠縁だというのだ。
そのマーリンこそ、前世で四皇エフタルが育てた、あの弟子だった。四百年を経た今、大成して魔法学院の校長になっている——前世の弟子が生きていた、という驚きが、エフタルの旅に新たな目的を灯す。
失われたはずの過去と、今の旅が思いがけず一本の線で繋がる。前世からの縁が現在へと橋を架ける展開に、この作品の縦軸の広がりを感じた。
金に物を言わせた食事と、対等という贈り物
エフタルは、アナスタシアを高級レストランへ連れて行く。支払いに差し出したのは、金貨五百枚以上の価値があるというドラゴンドロップ。金に物を言わせて店員の態度を一変させる食事描写が、最高だと評判を呼んだ。
そして彼は、奴隷として傅くのが染みついたアナスタシアに、対等な接し方を教えていく。嫌なことは嫌と言っていい、僕に怒ってみて——奴隷癖を抜く練習と称して、少女の心を少しずつほどいていくのだ。
豪快な散財のコミカルさと、その裏にあるまなざしの優しさ。従順なだけだった少女が、人として扱われる戸惑いと喜びを覚えていく過程が微笑ましかった。
まとめ——魔法学院の試験へ
賛否あるテンポと、バトルロイヤルの幕開け
こうして二人は、クローネ魔法学院へとたどり着く。アナスタシアもまた、魔法の資質を見込まれ、一緒に試験を受けることになった。そして一次試験・バトルロイヤルの幕が上がる。
なろうテンプレを的確に押さえた作りに、好きにはたまらないと楽しむ声がある一方、この内容を第1話に持ってこないシリーズ構成への辛口な意見も見られた。テンプレをどう味わうかで評価が分かれるのも、この手の作品らしいところだ。
二人で挑む、これからの冒険
旅立ち、悪役の成敗、前世の縁、そして試験の始まり——。第4話は、ようやくタイトルにある学院へとたどり着く、盛りだくさんの一話だった。
力を隠した大賢者と、心を開き始めた奴隷の少女。対照的な二人が並んで試験に挑む、その冒険がいよいよ本格的に動き出す。エフタルの隠された実力が学院でどう炸裂するのか、次回以降の展開に期待したい。




















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