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里長がリオン一行の運命を占う第3話。核心は、差別されてきたエルフのユメリアと、ハーフエルフの息子カイルの事情だ。見過ごせないリオンは実家の使用人にと申し出て、反発するカイルに「おい、クソガキ」と向き合う。だが船ではヘルトルーデが兵器を目覚めさせ、終盤リオンはフランプトン公爵の罠で国家反逆罪に問われてしまう。




里長の占いが告げた、それぞれの運命
すれ違う聖女と、光を得る令嬢
遺跡の崩壊だけで済んだ礼にと、里長がリオンたちの未来を占ってくれることになる。まず聖女オリヴィアに告げられたのは、運命の相手と巡り合いながらもすれ違い、やがて袂を分かつという言葉。「すべてを手に入れるか、すべてを失うか」の二つの道しかない、と過酷な未来が示される。
続く黒髪のアンジェリカには、困難とともに運命の相手が現れ、その人と共に歩めば、困難の道も光に照らされるという占い。ちょっと嬉しそうなアンジェリカの横で、マリエが「なんでこの女が」と嫉妬を隠せない。
うまく想像できるレベルにぼかした占いの表現が、絶妙に先を気にさせる。ゲームの筋を知る者ほど、この曖昧な予言に落ち着かなくなる作りが効いていた。
勇者の加護と、見通せぬ未来
リオンとマリエの二人には、運命が複雑に絡み合い、本来の道を大きく外れているとの言葉。背負うべき重荷を他者が代わりに背負い、いにしえの魔王すら従える勇者の加護が見える、というのだ。「勇者?」と色めき立つ一同に、リオンは「俺じゃない」と即座に否定する。
そして肝心のリオン自身の未来は、里長にも見通せなかった。「あなたはいずれ……」という一番大事なところで、なんと里長が寝落ちしてしまう。気に入らない結果に「やり直しを要求する!」と叫ぶマリエと、その台詞をなぞるリオン——前世の兄妹らしい掛け合いが微笑ましい。
重い予言を、寝落ちと兄妹漫才で一気に脱力させる緩急がこの作品らしい。シリアスに振り切らないバランス感覚が、占い回をしっかり楽しませてくれた。
おい、クソガキ——ユメリアとカイルの事情
混ざり者とハーフエルフの差別
この回の核心は、長く差別されてきたエルフのユメリアと、その息子カイルの事情だ。ユメリアは複数の色が混ざった特殊な魔力を持つ「混ざり者」。その力は強大だが、同族からは本能的な嫌悪を向けられてしまう。
里を離れて旅に出た彼女は人間の貴族と恋に落ち、子を宿して戻ってきた。エルフは本来エルフ同士でしか子をなさないが、特殊な魔力を持つ者だけは例外だという。だがハーフエルフのカイルの存在は、「人との間に子ができない」ゆえに奴隷として重宝されるエルフの価値を揺るがすもの。母子は里で、ずいぶんとひどい扱いを受けてきた。
差別の理由を単純な意地悪で片づけず、種族の事情にまで踏み込むのが誠実だ。エルフという種の身勝手さと弱さが、短い説明でくっきりと立ち上がっていた。
自分を売った息子と、必死の母
カイルは、自分を売った金を置いて、自ら奴隷として外の世界へ出ていった過去を持つ。母に強く当たるのは、ダメな親を憎みきれない裏返しでもある。ユメリアはユメリアで、「私のような混ざり者がダメだから、あの子にまで辛い思いを」と自らを責め続けていた。
その境遇を知ったリオンは、見過ごすことができない。ルクシオンが「エルフの奴隷としての価値を下げる、いい切り札だ」と打算的に語る横で、リオンの動機はもっと単純に、この母子を放っておけないという一点にあった。
お人好しと打算が同居しているのが、いかにもこの主人公らしい。きれいごとだけで動かないからこそ、その優しさに嘘くささがないのが良かった。
船を襲う影と、母性の王妃
ヘルトルーデの兵器と、ルクシオンの一撃
実家の使用人にというリオンの提案を経て、一行は船で帰路につく。だがその船の貨物室で、異変が起きる。リオンが手に入れたロストアイテム=存在してはいけない兵器を、ヘルトルーデが目覚めさせていたのだ。
ルクシオンは即座に「マスター、何かに捕まってください」と告げ、手砲を発射してその兵器を破壊する。あれは存在してはいけない兵器だ、と言い切るルクシオンの清々しさが、逆に不穏さを残した。
穏やかな帰路に忍び込む不穏が、ヘルトルーデという爆弾の危うさを思い出させる。留学生の顔の裏で公国の牙を隠す彼女の存在が、静かに効いてくる場面だった。
ミレーヌ王妃と、公国再来の予感
王宮に戻ったリオンを迎えたのは、ミレーヌ王妃。遠征を労いつつも、王宮の派閥争いの激しさを憂い、「あなたの力を妬む人も多い」とリオンを案じる。母性あふれる王妃に、リオンはすっかり骨抜きだ。
「もっとそばにいてください」と口説くリオンにユリウスが割って入る一幕もありつつ、ミレーヌが本当に伝えたかったのは別のことだった。「あの国=公国は、きっとまた王国に牙を剥く。情勢に気を抜かないで」——次なる火種の予感が、はっきりと差し込まれる。
コミカルな母性ネタの裏に、公国再来という重い伏線を仕込むのがうまい。笑いと不穏を同じ場面に同居させる呼吸が、この作品の持ち味だと再確認させられた。
タダより高い飛行船と、忍び寄る罠
飛行船を配るリオンの商魂
リオンは生徒たちに、公国との戦いで手に入れた飛行船をタダで譲ると持ちかける。喜ぶ面々だが、当然ながら「タダより高いものはない」。
実家に飛行船の工場を作るつもりのリオンは、修理費・メンテナンス費・管理費を払うモニター顧客として彼らを囲い込む算段だったのだ。「今なら先着で鎧も特別サービス」と畳みかける商人根性に、抜け目のなさが光る。
人助けの直後にちゃっかり商売を成立させるバランスが、実にリオンらしい。善人一辺倒ではない主人公の造形が、コメディとして気持ちよく回っていた。
フランプトン公爵の暗躍
そのころ王宮では、リオンを陥れる罠が着々と進んでいた。レッドグレイブ家の派閥が弱体化する裏で台頭してきたマルコム・フランプトン公爵が、リオンへの厳しい対応を主張し始めていたのだ。アンジェリカも「警戒しないとダメ」と警告する。
だがその矢先、何者かの手でリオンの部屋に国家反逆罪に相当する証拠が仕込まれ、リオンは捕らえられてしまう。多くの生徒を守った英雄が、一転して反逆者に。売国奴フランプトン公爵の暗躍によって、まんまとハメられた格好だ。
警告が間に合わないまま罠が発動する運びに、思わず声が出る。手のひら返しの残酷さが、次回への強烈な引きになっていた。
まとめ——英雄から、反逆者へ
今回の見どころ
第3話「おい、クソガキ」は、占いのコメディから、ユメリア母子の重い事情、そして急転直下の反逆罪まで、緩急の振れ幅が大きい一話だった。
自分のことしか考えてこなかったリオンが、差別された母子を放っておけずに動く。その優しさと商魂、そして母性好きが同居する主人公像が、シリアスな展開の中でもこの作品を軽やかに保っていた。
次回「また手のひら返しかよ」へ
英雄から一転、国家反逆罪で捕らえられたリオンが、この窮地をどう切り抜けるのか。フランプトン公爵の企みと、ミレーヌが予感させた公国の再来が、どう絡んでくるのかも気になるところだ。
次回のサブタイトルは、その名も「また手のひら返しかよ」。評価がころころ覆るこの世界で、リオンがどんな逆転を見せるのか、続きが待ちきれない。




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