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第14話は、12月25日の夜にコンビニでバイトする平から始まるオムニバス。売れ残りのクリスマスケーキ、太っていた頃の回想、駐車場に集まる男子3人。そして鈴木の家に遊びに来た佐藤との時間、さらに山田と西の勉強会へと、冬休みの一日が静かに繋がっていく。




12月25日の夜、コンビニでケーキを売る平
第14話は、平のバイトから始まった
第14話『冬の夜のジレンマ』が始まるのは、山田でも鈴木でもなく――コンビニでバイトをする平の姿からなんだ。12月25日の夜、売り場に並んだクリスマスケーキを客に勧める平。クリスマスをバイトで過ごすその背中が、いきなり少し切ない。
今回はひとつの出来事を追いかけるのではなく、平・鈴木・山田と視点が移っていくオムニバス形式。それぞれ独立したエピソードに見えて、実は同じ夜の出来事として静かに繋がっているのが今回の妙なんだよね。
まずは一本目、平のクリスマス。誰かと過ごすでもなく、淡々とケーキを売り続ける平の横顔から、場面は彼の回想へと移っていく。
冬休みの、なんてことのない一日。それでも登場人物たちの心は確実に動いていて、その積み重ねこそがこの作品の魅力なんだと改めて感じさせられる回だった。
太っていた頃の記憶と、笑われている気がした自分
回想で描かれるのは、まだ太っていた頃の平だ。誰にも相手にされず、輪の外側にいるのが当たり前だった日々。その記憶は、今の平の中にもずっと残り続けている。
痩せてからは、女子のほうから声をかけられるようになった。けれど見た目が変わっても、中身の自信のなさはそのまま。その落差に相手のほうが戸惑い、結局は離れていってしまう――そんな経験を、平は繰り返してきたんだ。
極めつけは、服のセンスのなさを笑われている気がした、という記憶。実際に笑われたかどうかより「笑われている気がした」というところが残酷なんだよな。ここで平の自己評価の低さが、視聴者にもはっきり伝わってくる。
ちなみに今回は、店員の前で思わず「たっか!」と漏らしてしまう平の一幕や、750円のフラペチーノへの反応もネットで話題になっていた。値段に対する正直な感覚が平らしいと、むしろ支持を集めていたのが面白い。
駐車場の売れ残りケーキ、3人だけのクリスマス
谷と山田が、バイト中の平を冷やかしに来る
バイト中の平のもとに現れたのは、谷と山田だった。特に用があるわけでもなく、冷やかしにやって来たんだ。クリスマスの夜に、わざわざコンビニまで。
約束をしていたわけじゃない。それでも自然と集まってしまうのが、この3人の距離感なんだよね。「誰にも相手にされなかった平」の回想を見た直後だからこそ、この光景がやけに沁みる。
冷やかされて憎まれ口を叩きながらも、まんざらでもなさそうな平。この空気感だけで、彼が今どんな場所に立っているのかが伝わってくる。
「廃棄でもらった」と差し出された、クリスマスケーキ
バイトを終えた平が向かったのは、コンビニの駐車場。そこで3人が囲んだのが、売れ残りのクリスマスケーキだった。「廃棄でもらった」と言いながら、平がそれを差し出す。
友達に気を遣わせないための、ささやかな嘘。冒頭の回想――誰にも相手にされず、輪の外にいた平を見たあとだからこそ、この気遣いがどれだけ大きな変化なのかがよく分かるんだ。ネットでも「成長を感じる」という声が並んでいた。
寒空の下、駐車場でケーキを分け合う男子3人。派手さは何ひとつないのに、これ以上ないくらい良いクリスマスに見えるんだよな。
鈴木の家で知った、「共有できる」よろこび
ベッドの上の雑談、話題はもちろん谷くん
場面は変わって、鈴木の家。遊びに来た佐藤とベッドの上でだらだら雑談していると、話題は自然と谷のことへ向かっていく。
好きな人の話をするときの鈴木の顔が、もう完全に恋する女の子のそれで。友達と好きな人の話をする、あの時間そのものが丁寧に描かれているのが嬉しい。
一方その頃、駐車場でダベっていた谷は、鈴木とスマホでやり取りをしていた。別々の場所にいる二人が、同じ夜に繋がっている――この作りが本当にうまいんだよな。
谷から届いた動画に、二人は大爆笑
そんな鈴木のもとに、谷から動画が送られてくる。それを見た鈴木と佐藤は、たまらず大爆笑。部屋に響く笑い声が、この回でいちばん幸せな瞬間かもしれない。
面白いものを見つけたとき、誰かに教えたくなる。心が動いたとき、それを誰かと共有したくなる。鈴木がこの夜に知ったのは、たぶんそういう種類のよろこびなんだ。谷が動画を送ってきたのも、きっと同じ気持ちから。
恋人になったから特別なことをする、じゃない。何でもない出来事を分け合えることこそが特別なんだと、この作品はいつも静かに教えてくれる。ネットでも「めっちゃ共感した」という声がたくさん上がっていた。
山田と西、勉強会という名の「口実」
このままじゃ変わらない――山田が気づいたこと
再びコンビニ前。3人の会話は、いつのまにか山田の話題になっていた。西のことを好きになろうとしている自分に、山田自身も気づき始めているんだ。
そして山田は思い至る。このまま何も言わなければ、関係は今のまま変わらない。告白しなければ、この距離のままなんだ、と。ガサツに見えて、こういうところは驚くほど真っ当なんだよね。
平や谷にはストレートな物言いをぶつける山田が、西のことになると途端に慎重になる。その落差が、そのまま彼の本気度になっているんだ。
やがて山田は、西と会う約束を取り付ける。名目は、宿題。
二人で宿題、それでも踏み出せない一歩
待ち合わせをして、二人で勉強会。宿題を口実にした時間なんだけど、机を挟んで向かい合っているだけで空気は甘ったるい。
どう見てもお互いに想い合っている。それなのに、二人とも最後の一歩が踏み出せない。西の笑顔を見たあとに差し込まれる山田の真顔のカットは、声にならない「付き合いてぇ~」そのものだと話題になっていた。
結局この夜、山田は想いを口にできなかった。それでも二人の関係が、ほんの少しだけ前に進んだのは間違いない。『冬の夜のジレンマ』というサブタイトルが、あまりに効いている。
そして最後、西の服のセンスをめぐる話が、冒頭の平の回想へと静かに繋がっていく。オムニバスに見えて、全部が一本の線になっている――第14話は、そういう回だったんだ。




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