『メビウス・ダスト』第8話「ディープ・ディバイド」感想|歓迎の中身は便利だなだった

『メビウス・ダスト』第8話「ディープ・ディバイド」感想|歓迎の中身は便利だなだった バトル・アクション

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『メビウス・ダスト』第八話の副題は「ディープ・ディバイド」。深い分断という言葉どおり、アラキはディアボリック・ゴーストの一員として旧チームの前に立つ。新しいチームは開幕から彼を歓迎し、なりたいアラキになれる、とまで言ってくれる。ところが試合が進むと、その歓迎の中身が、こいつは便利だな、という言葉になって出てくる歓迎と道具扱いが、同じ場所で同時に起きている回だ。

アニ
『メビウス・ダスト』第八話、副題は「ディープ・ディバイド」でござる!
ラン
深い分断…アラキくん、本当に向こう側に立つのね!
キャロ
しかも絵コンテと演出は、最初のディアボリ戦だった第三話と同じ方なんですよ。
アニ
同じ相手との二度目を、同じ人が切っておるのよね!

同じ相手との二度目を、同じ人が切っている

公式の副題は「ディープ・ディバイド」。深い分断、という意味の言葉がそのまま置かれている。公式サイトのクレジットを開くと、この回の絵コンテと演出はひいろゆきなで、全八話の中でこの名前が並ぶのは第三話ともう一つ、この第八話だけである。

その第三話は「ディアボリック・メテオ」。ポリスホッパーがディアボリック・ゴーストと初めてぶつかった回だった。あのときアラキは観測役に回り、指示を出す立場でありながら力になれず、リーダーが負けを引き取って試合を終わらせた。同じ相手との二度目を、同じ人が切っている。

今回はその配置が丸ごと反転する。指示を出す側は変わらないのに、指示の宛先だけが入れ替わっている。負けを引き取るのも同じリーダーだが、今度はそこにアラキがいない。分断という副題は、ゲームの決着ではなく、この座り位置の話として読むほうが正確だと思う。

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24:00~
#アニメギルド
『#メビウス・ダスト』

第8話 ディープ・ディバイド
アラキの秘密が発覚し、〈ポリス・ホッパー〉のメンバーたちが何とも言えない空気に包まれているなか、ゲームの告知が届く。相手は〈ディアボリック・ゴースト〉。憂さ晴らしにちょうどいいとーーー⁈

@ANIMA_info

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線は、ゲームが始まる前に引かれている

冒頭でもう決着はついている。ディアボリック・ゴーストの部屋で、みんなメンバーのアラキだよ、仲良くしてね、と紹介が済んでいる。うちに入るの、という驚きの声が上がるので、受け入れる側にとっても唐突な出来事らしい。試合はその報告のあとに始まる。

一方のポリスホッパー側には、告知だけが届く。アラキ抜きで乗り込んだ先で、加入の事実を知らされる。第七話で箱の鍵を開けたときと同じで、この作品は決定的な情報をいつも遅れて渡す。知った時点でもう手遅れになっている、という形が続いている。

この順番の悪さは、ステラたちの怒りの質にも効いている。本人の口から理由を聞く機会が一度もないまま、事実だけが先に届く。説明を聞けなかったから、想像で埋めるしかない。この回で飛び交う言葉が全部きついのは、たぶんそのせいだ。

新しいチームは、開幕から彼を歓迎する

面白いのは、移った先の空気が意外なほど明るいことだ。ソラと名乗るメンバーが、よろしくね、ラッキー、と呼びかける。ラッキー、と聞き返されて、うん、アラキだからラッキー、と返す。会って数秒であだ名がつく。ポリスホッパーで劣等感を抱えていた男が、新しい場所では最初から輪の中にいる。

クルスの言葉はもっと直接的だ。何も不安がることないよ、僕と一緒にいれば、アラキはなりたいアラキになれるから。これは第一話から彼が抱えてきたものへの、いちばん短い答えになっている。自分の力がよく分からない、役に立てない、外に出たい。そのすべてに、なれる、と言い切ってみせる。

試合前の送り出し方も違う。力の残量は気にしなくていいから思いっきりやってね、という一言が添えられる。制限を課してきた大人たちと真逆のことを言う相手が、いま彼の隣にいる。この回のアラキが淡々としているのは、居心地が悪いからではなく、たぶん逆だ。

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▌TVアニメ「#メビウス・ダスト」

第8話「ディープ・ディバイト」
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ご視聴ありがとうございました。
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原案/キャラクター原案
#品川一 先生描き下ろしアイキャッチ
「寿 倶留守」〈コトブキ クルス〉

このあと《 24:00 》より、
▸ BSフジ にて放送
▸ 各種プラットフォームにて配信

◉ ON AIR|放送・配信情報

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クルスが何もしていなかったわけではない

試合の途中で、その隣にいる相手の中身も開示される。僕らもそろそろ本領発揮といこうか、僕がいつも何もしてないと思ったら大間違いなんだよ、と言って明かされるのが、僕のポジションは回復、という一言である。

ポリスホッパーにも回復役はいる。同じ役割なのに、片方は一人分しか手が回らず、片方は途切れない。役割の名前が同じでも、出力が違えばゲームの意味が変わる。制限を外したらどうなるかを、この作品は理屈ではなく試合結果で見せてくる。

そしてこの開示のタイミングがうまい。アラキが加わった初戦で、味方の底も同時に見せる。あなたが選んだ場所はこれだけ強い、と本人にも視聴者にも同時に納得させる作りになっていて、移籍が一時の気の迷いには見えないようになっている。

その歓迎の中身が、便利だな、だった

ところが試合が進むと、歓迎の言葉が別の顔を見せ始める。アラキの指示は具体的で、後ろに二歩、右に一歩避けて、前に一歩、左後ろにジャンプ、という細かさで飛ぶ。言われた通りに動いた側が、何、見もしないで、と驚き、こいつは便利だな、と言う。

便利、という言葉は褒め言葉の形をしているが、人に向ける言葉ではない。味方として頼られているのに、言い方だけが物へ向くものになっている。歓迎と道具扱いが、同じ場所で同時に起きている。加入初日でこれなので、この先どうなるかは想像がつく。

クルスの庇い方も、よく見ると同じ形をしている。僕のアラキを睨まない、と味方をたしなめ、他の奴はどうでもいいけどアラキには丁寧に接するように、と念を押す。守られてはいる。ただし、僕の、という所有の言い方が最初についている。

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メビウス・ダスト 8話のぽにて ②#可変ポニードリル #メビウス・ダスト #ポニーテール #ポニテ #Pferdeschwanz

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後ろから、オルガの髪を読む

その能力が旧チームに向いた瞬間が、この回でいちばん冷える。隠れていたはずのオルガが背後から捕まり、やっぱ見られてた、と漏らす。第七話で鍵を開けたのもオルガの髪だった。同じ力が、今度は彼女を暴くほうに使われている。

そのあと、あんたはもううちのメンバーじゃなかったね、という確認が置かれ、続けて、分かってたけど、まだちゃんと分かってなかったみたい、という一言が来る。裏切りを知ることと、裏切られた実感が体に届くことは別の出来事だ、と言っている。この回でいちばん正直な台詞だと思う。

第七話で、夢の正体を探したいというステラの相談を受けて一緒に部屋を探したのもオルガだった。秘密を開ける側にいた人が、今度はその秘密の中身に捕まえられている。怒鳴るのがステラの役で、言葉にしてしまうのがオルガの役、という分担が、この回でもきれいに守られている。

出ていった、という言葉が、身内にも向く

ステラの側も落ち着いてはいない。勝つよ絶対に、と気合を入れるが、迷っている仲間に向けた言い方がきつい。あいつはもう出ていったんだから、と切り捨て、でもだからってディアボリとか、と渋る相手に、やる気ないならハルトも出てく、と詰める。

出ていった、という同じ言葉が、ほんの数秒のうちに二人目に向けられている。嫌なら一緒にあいつら倒すよ、という続きで折り合いはつくが、裏切られた側が、同じやり方でもう一人を追い出しかけたという事実は残る。分断は、線を引かれた側でも進行している。

ルールの説明も、この構図に噛み合っている。鍵付きのしっぽを取れば相手の陣地のケージが開き、その中のキングしっぽを取ったチームの勝ち。守るべきものが陣地の奥に隔離されているゲームで、人数が足りないまま戦う。設定として都合がいいというより、いまのポリスホッパーの状態そのものになっている。

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メビウス・ダスト第8話✨
アラキの秘密が発覚し、〈ポリスホッパー〉のメンバーたちが何とも言えない空気に包まれているなか、ゲームの告知が届く
相手は〈ディアボリック・ゴースト〉❗️
憂さ晴らしにちょうどいいとステラたちはアラキ抜きでゲームへ向かうことにする✋

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遅れて来たリーダーと、守り切ると言うタンク

崩れかけたところにショウセイが合流して、これで人数は互角、という状況になる。自陣がガラ空きだと気づいたときに、任せろ、と前に出るのがカイで、今日は最後まで守り抜いてみせる、と言い切る。

結果は変わらないのだが、この二人の台詞があるかないかで回の後味はかなり違う。第三話でショウセイが負けを引き取ったときと同じで、この作品のポリスホッパーは、負け方だけは毎回きちんとしている。それでも、お前らの負けだポリスホッパー、という宣告が届く。

言い換えると、彼らはチームとしてはまだ壊れていない。壊れたのは人数と、その中の一人分の信頼だけだ。負けたことより、負けた相手の側に身内が立っていたことのほうが重いという当たり前が、試合の描き方の丁寧さで裏打ちされている。

ルール無用のはずのチームから、違反だという声が上がる

試合の途中、しっぽを取られても動き続ける相手に対して、お前らルール違反だぞ、という抗議が飛ぶ。第三話でルールを無視して殴り合いに持ち込んだのはディアボリのほうだったので、告発の向きとしては順当ではある。

ただ、勝負が終わったあとに、ゲームはもう終わった、と場を収めにかかる声がディアボリ側から出てくるのが引っかかる。いちばん野蛮とされてきたチームの中に、線を引き直そうとする人間がいる。クルスの双子の妹で、このチームの司令塔でもあるスピカがこの先どう動くのかは、次以降の見どころになりそうだ。

野蛮だと言われてきたチームの、内側の顔

第三話でこのチームを紹介したときの言い方は、ノーティーズのなかでも最も野蛮で危険、というものだった。ところが第八話で近くから見てみると、クルスは仲間に礼儀を求め、勝負が終われば手を止めろという声まで出てくる。外から貼られたラベルと、中で通っている規範がずれている。

このずれは、たぶん今後の分かれ目になる。アラキが移った先が本当にただの無法地帯なら話は単純だが、そこにも彼らなりの筋があるとなると、どちらが正しいのかという問いが成立してしまう。制限を守って負け続けるチームと、制限を外して勝ち続けるチーム。第一話から積み上げてきた設定が、ここでようやく倫理の話になり始めている。

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#mebiusdust #メビウス・ダスト ルール無用のチームっぽいのに紳士的なスピカさん

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得をしたのは、観戦席にいた人たちだった

終わったあと、勝ったチームでは、アラキもお疲れさま、甘いものでも食べる、頭使いすぎたからきっと美味しいよ、というねぎらいが始まる。そのすぐあとに、あんたのせいだ、という声が飛ぶ。矛先がアラキ本人へまっすぐ向かわないところが、この場面のいちばん苦い部分だと思う。

残されたやりとりも短い。俺たちのこと嫌いになったのか、と聞かれて、俺はゲームをしただけ、それだけだよ、と返して立ち去る。便利だな、と言われた男が、自分でも自分を機能として言い直している。気にすることないよ、あいつは元からああいう奴だったんだ、せいせいした、という強がりが続くのがまた効く。

そして観戦席では、すごかったですね、いいデータ取れましたか、一気に研究が加速しますよ、というやりとりが交わされている。試合前には出資者の側の人間にも見学が勧められていて、このまま見させてもらうことにします、と応じていた。チームが割れたことで、いちばん得をしたのは戦っていない側である

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#mebiusdust #メビウス・ダスト あンたのせいだ!!!!!(そっち????)

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ここが今日から君のアジトだよ

締めは引っ越しである。ここが今日から君のアジトだよ、今日のゲームで分かったでしょ、僕たちが一緒にいれば高みを目指せる、もっとすごいことができる。これから毎日一緒にいられるんだね、という一言まで来ると、勧誘というより囲い込みに近い。

第七話でステラが箱を開ける前に言った、開けるなという警告か早く開けろという警告か、という迷いを思い出す。結局あの箱は開き、その先に待っていたのがこの回だった。知ってしまったあとの世界を、この作品はまだ一度も明るく描いていない

第七話で開いた箱の中身が何だったのかは、まだ視聴者の側にも十分には共有されていない。なりたいアラキになれる、と言われた男が、何になろうとしているのか。そこが分からないまま、彼はもう新しい部屋の中にいる。

アニ
新しいチームはやたら歓迎してくれるのでござる!ところが…
キャロ
試合の途中で、こいつは便利だな、と言われてしまいますね。
ラン
ステラちゃんの「出ていったんだから」がハルトくんにも向くのが痛いのね!
アニ
得をしたのは観戦席の人たちでござる。次が怖いわね!

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