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奪われた服を取り戻すため、ユーリは使用人のティトと皇妃ナキアの宮殿へ忍び込むが、ナキアの手下、カシュガのズワに襲われる。ティトはユーリを逃がし、自らは囚われてしまう。だがカイルとともに宮殿の捜索を願い出たユーリを待っていたのは、ズワに殺され、変わり果てたティトの姿だった。折しも訪れた元の世界へ還る好機を前に、ユーリは「還らない、還れない」——復讐を胸に、この世界に残ることを選ぶ。そしてカイルは、戦場へ向かうユーリを戦いの女神イシュタルとして掲げるのだった。




宮殿への潜入と、ティトの犠牲
奪われた服と、ズワの襲撃
第3話は、奪われた服を取り戻すため、ユーリが使用人のティトとともに皇妃ナキアの宮殿へ忍び込むところから始まる。だが宮殿には、ナキアの手下である北方の蛮族カシュガのズワが待ち構えていた。
金銀に目がなく、殺した人間の皮膚を集めるという悪名高いズワ。その凶刃が、忍び込んだ二人に容赦なく襲いかかる。
紀元前14世紀のヒッタイトを舞台にした重厚な世界観のなかで、序盤から緊張感の高い潜入劇が幕を開ける。危うさをはらんだ立ち上がりだった。
ユーリを逃がし、囚われるティト
窮地のなか、ティトはユーリを逃がすことに成功する。その代わり、自らはズワに囚われてしまう。この世界で初めて笑い合えた相手を置いて、ユーリは辛くも宮殿を脱け出した。
身分の上下に関わらず命は等しく尊い、というカイルの信条とも響き合う場面だ。ティトを見捨てられないユーリの必死さが、そのまま次の悲劇への助走になっていく。
守られる側だったユーリを、身を挺して守るティト。その健気さを見せられるからこそ、この後に待つ結末がいっそう重くのしかかってくる。
閉ざされた宮殿と、ティトの死
「帝国第一の女性」に阻まれて
ティトを救うため、ユーリはカイルとともにナキアのもとを訪れ、宮殿内の捜索を願い出る。しかしナキアは、タワナアンナ——帝国第一の女性の称号を盾に、その願いをにべもなく拒む。
皇帝以外の指図は受けぬ、と言い放つナキアの冷たい視線の前で、二人は手も足も出ない。カイルが父である皇帝を動かそうとするあいだにも、刻一刻と時は過ぎていく。
権威という分厚い壁に阻まれる無力感が、痛いほど伝わってくる。会って三話目とは思えないほど、カイルとユーリが一つの目的に並び立つ姿が板についてきた。
城壁の外で見つかった、変わり果てた姿
カイルの乳兄弟イルバーニは、残酷な事実を告げる。ズワは殺した子供の滑らかな肌を好む。ティトはもう助からないだろう、と。そしてその予感は、最悪のかたちで的中する。
東の城壁の外で見つかったのは、ズワに殺され、首から下の皮膚を剥がされたティトの亡骸だった。身ぐるみを剝いだ挙句、それを身にまとって現れるズワの悍ましさに、言葉を失う。
助けたかった相手の、あまりに惨い最期。直接的な描写を避けながらも、その事実だけで十分すぎるほどの衝撃を残す、容赦のない一幕だった。
「還らない、還れない」——ユーリの決意
自分のせいだ、という自責
ティトの死を知ったユーリは、茫然自失となる。自分がティトを巻き込み、殺してしまった。その自責が、彼女を打ちのめした。
朝から何も食べられず、うつむくばかりのユーリ。そんな彼女に、カイルは「お前が悲しんでいるのは見たくない」と、不器用ながら寄り添う。腹心ウルヒら、皇子と王妃それぞれの策士たちの存在感も、物語に緊張を添えていた。
守られるだけだった少女が、初めて負った深い痛み。その痛みが、彼女を戦いの女神へと押し出す最初の一歩になっていく描き方が巧みだった。
帰還の機会を捨て、復讐を誓う
折しも、ユーリが元の世界へ還れる好機が訪れていた。明けの明星が輝くこの朝を逃せば、泉が満ちるのは一年先。カイルは七つの泉に人を配し、ユーリを送り返す準備を整える。だが——。
ティトの死を前に、ユーリは還る気になれなかった。そしてナキアとズワの妨害もあり、帰還は叶わない。還らない、そして還れない。ユーリはナキアとズワへの復讐を誓い、この世界に残ることを選ぶ。
一時の感情で動くその姿には、危うさもある——という辛口の声も上がった。だが、還さないための話運びの見事さと、ティトの姉たちへ誤った情報が渡る不穏な布石が、次への牽引力になっている。
引き離しの企みと、カイルの立場
アリンナ襲撃と、討伐への出陣
そこへ、カシュガ族が城塞都市アリンナを襲ったという報せが届く。昨年打ち破ったはずのカシュガに、それだけの兵力はない。陰で誰かが援助している。その気配が、事態の裏に潜む陰謀を匂わせる。
皇帝はカイルに討伐隊の指揮を命じる。だがこれは、カイルとユーリを引き離そうとするナキア側の思惑とも重なっていた。戦場は女性の行く場所ではない、とユーリは都に残るよう告げられる。
敵の攻撃すら政略の道具にしてしまう宮廷の非情さが、じわりと立ち上がってくる。純粋にティトを悼むユーリの想いと、渦巻く思惑との落差が、この世界の手強さを際立たせていた。
帝位を継ぐ者と、生涯ただ一人の正妃
この回では、カイルの重い立場も明かされる。第三王子ながら、病弱で世継ぎのない皇太子や、母の身分が低い第二王子に対し、前王妃の子で心身ともに健やかなカイルこそ、帝位に最も近いとされているのだ。
その正妃は、いずれ帝国第一の女性タワナアンナとなる。だからこそカイルは正妃に人の上に立つ器量を求め、その代わり側室は持たず、生涯ただ一人の正妃を愛し抜くと公言していた。側室は表向きだけの関係。そう自分に言い聞かせながら、なぜか胸が痛むユーリの心が切ない。
政略と身分に縛られた世界で、まっすぐな想いだけが自由にならない。会って三話でこの距離感、と苦笑する声も出るほど、二人の関係は急速に、しかし確かに動いていた。
まとめ——戦場へ向かう、戦いの女神
「私のそばにいろ」——ユーリ、戦場へ
引き離しの企みを、カイルは真っ向から覆す。「私のそばにいろ。必ず守ってやる。私を信じられるなら一緒に来い」——そう告げて、ユーリを戦場へ連れて行くことを決めるのだ。
そして皆の前で、リシュタル(イシュタル)が輝く日に泉から現れたこの娘は戦いの女神であり、この娘がいる限りヒッタイトの勝利は約束されていると宣言する。キスをしたり、賊の頭領めがけて飛び込んだりと、ユーリの型破りなムーブに笑わされつつ、その裏の覚悟に引き込まれた。
守られるお姫様から、勝利を約束する女神へ。ティトの死という痛みを抱えたまま、ユーリが戦いの舞台へと踏み出していく高揚が胸を打つ。
ティトの姉たちと、残された火種
その一方で、静かに不穏な種も蒔かれている。ティトの姉たちには、彼の死をめぐる誤った情報が届けられていた。この行き違いが、いつかどんな悲劇を生むのか。観る側に重い予感を残す。
ティトの犠牲を経て、ユーリは還らない道を選び、戦場へと向かっていく。還らない、還れない——その二重の意味を噛みしめながら、物語は次の戦いへと進んでいく。次回以降の展開に期待したい。




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