この記事の作品:
舞台は亀有の立体駐車場。相手は最も野蛮と恐れられるディアボリック・ゴースト——命がけのサバイバルドッジが幕を開ける第3話。湯田博士のデータ収集が進む裏で、アラキは自らの「予知」への理解を少しずつ深めていく。本格登場したクルスのアラキへの執着も露わになる、緊張の一戦を振り返る。




湯田博士のデータ収集と、迫る対戦相手
制限を外した力を測る「実験」
第3話は、湯田博士がノーティーズたちの能力データを集める場面から幕を開ける。出力の制限を外された子どもたちは、以前とは別物の力を見せていた。フェブラリー・ロアーズやランプスの面々が、かつては届かなかった領域まで能力を伸ばしていく様子が、次々と映し出される。
博士が集めているのは、出力値の限界、持続時間、体力への影響といった細かなデータ。子どもたちは「ゲーム」と称するフラッグ戦を通して、その一つひとつを提供させられている。無邪気なバトルの裏で、静かに「実験」が進んでいるという構図が、この作品の不穏さを支えている。
ダストのポータブル化を狙うメテオアーク
データ収集の出資者が、メテオアーク社の干水龍門(ヒミズ)だ。「うちとしては何かしら活用できるものを得られれば、それで他者を出し抜ける」と、彼の関心はあくまで実利にある。
ヒミズが湯田博士に期待しているのは、ダストのポータブル化——町の外へ持ち出せないはずの力を、どこでも使えるようにする研究だ。「夢物語ではうちの資金提供が無駄になる」と釘を刺すヒミズに、博士はラムスとダスト双方の分析を進めていると応じる。子どもたちの遊びが、大人たちの思惑に絡め取られていく。
ポリスホッパーの、温かな日常
焼きそばとじゃんけん、冴えるアラキの勘
張り詰めた実験の場面から一転、ポリスホッパーの拠点はいつも通り賑やかだ。特売で買い出しを済ませたショウセイが焼きそばを作り、仲間たちがじゃんけんに興じる。アラキはピーマン多めで取り分けられながら、穏やかな時間を過ごしている。
そんな何気ない遊びの中でも、アラキの勘の冴えは際立っていた。「前より早くなかった?」「アラキの勘、精度が上がったかもな」。自分では実感が薄くとも、先を読む力は着実に育っている。町の外に出ることを夢見る少年の、地に足のついた日常が丁寧に描かれる。
「次はポリス」——名指しされた挑戦
一方、別のチームどうしの試合では、フェブラリー・ロアーズが危なげなく勝利を収めていた。制限が外れたことで、どのチームも「今までよりすごいこと」になっていくと誰もが感じ始めている。
勝ち名乗りを上げたフェブラリー・ロアーズは、その矛先をあっさりポリスホッパーへ向ける。「次はポリス、てめえらだ」。最弱と侮られてきたチームに、強敵たちの視線が集まり始めた。
亀有の立体駐車場、命がけのサバイバルドッジ
最も野蛮なチームとの、泥仕合
舞台は亀有の立体駐車場。相手は、ノーティーズの中でも最も野蛮で危険と恐れられるディアボリック・ゴーストだ。ランプスの敵討ちを掲げ、ポリスホッパーは「絶対勝つ」と気合を入れて臨む。
ルールはサバイバルドッジ——どちらかのチームが全員倒れたら負け、受けたボールを落としたらアウト、外野からの復帰もなし。ショウセイは「アラキは向こうの動きを見て指示を頼む」「挑発には乗るな」と役割を割り振る。予知に長けるアラキを観測役に据えた布陣だ。
自転車の恨みと、コウヘイの暴走
だが試合は、早々にディアボリック・ゴーストの無法へと転がっていく。「ルールなんざ知らねえよ」と、彼らはドッジボールの体裁すら投げ捨てて殴り合いに持ち込む。ゲームというスケールを超えた乱戦に、場は一気に殺伐としていく。
中でもコウヘイは、「お前に壊された自転車の恨み」を口にして暴走する。ハルトの回復(ダスト)も一人分しか行き渡らず、「絶対受けられる奴が残らなきゃ」と噛み合わない。挑発に乗るなという約束も、無茶苦茶な相手の前では守るのが難しい。
クルスの執着と、アラキの「予知」
「アラキのことは僕が一番わかってる」
この回で本格登場するのが、ディアボリック・ゴーストのクルスだ。見た目は幼い少年ながら、その視線はまっすぐアラキへ注がれる。「動きが見えるなんて。しかも、ちょっと先のことまで見えてる感じ」——制限が外れたことで開花したアラキの予知を、誰よりも早く見抜いてみせる。
「外からじゃ何をしてるのかよくわかんない」と評価されにくいアラキを、クルスは「かわいそうじゃない?」と憐れむ。そして「僕はわかってるから。アラキのいいところも、すごいところも。だってアラキのことは僕が一番」と、執着にも似た想いを隠さない。謎めいた少年の登場が、物語に不穏な引力を加える。
攻略の糸口を、探し続けて
泥仕合の果て、ショウセイは「うちの負けでいい」と潔く試合を打ち切る。深追いして仲間を危険に晒すより、身を引くという判断だった。力になれなかったと詫びるアラキに、「アラキのせいじゃない。あいつらが無茶なのはいつものことだ」とリーダーは声をかける。
ルールも状況も見えにくい乱戦ではあったが、自分の能力への理解を少しずつ深め、危険な強敵を攻略する糸口を懸命に探すアラキの姿は、確かに前へ進んでいた。多すぎる登場人物と毎回変わるゲームに戸惑う声もある中、主人公に宿る力の輪郭が見え始めた回だったと言える。




関連作品:














コメント