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ハッセでの一件を経て、ローゼマインたちが次に挑むのは春の素材集め。「女神の愛した花」と呼ばれるライレーネの蜜を求め、魔力が高まるフリュートレーネの夜の森へと分け入る。だが泉への道は閉ざされ、ガマガエルに似た魔物タルクロッシュの群れが襲いかかる。共食いで巨大化した魔物は、ついにローゼマインをも飲み込んでしまう。神秘に満ちた第15話を振り返る。




春の素材、ライレーネの蜜
女神の愛した花と、フリュートレーネの夜
ハッセでの一件で貴族社会の厳しさを学んだローゼマイン。祈念式を終えた一行が次に挑むのは、春の素材集めだ。目当ては「女神の愛した花」と呼ばれるライレーネの蜜。
この花は夜のうちに蜜を蓄え、夜明けとともに花を咲かせる。ゆえに魔物を警戒しつつ、夜明けと同時に採らねばならない。しかも採取に選ばれたのは、魔力が高まる特別な「フリュートレーネの夜」。神官長フェルディナンドは「何が起こるか分からぬ、気を抜くな」と釘を刺す。
魔力を含まぬスプーンで採り、複数の瓶に分けて魔力入りとの差を研究する。ファンタジーの採集にここまで理屈を通すのが本作らしい。フェルディナンドの過保護なほど周到な準備が、これから起こる“何か”への期待をいやが上にも高めてくれる。
森の女神像と、閉ざされた泉
目指すのは「女神の水浴び場」に一番近い村。護衛騎士ブリギッテの故郷イルクナーの話に花を咲かせつつ、一行は森の入り口の女神像へたどり着く。お供えをすれば迷わず泉へ導かれるという、言い伝えの像だ。
ところが、泉はどうしても見つからない。木々には不自然なほど切れ目がなく、上空からの到達も阻まれている。フリュートレーネの夜が近づく今は、森そのものが特別な様相を帯びているらしい。ローゼマインが女神像を清め、供物と祈りを捧げると、ようやく先へ進む道が示された。
「最初から正体を教えておいてほしい」とぼやきたくなるほど、女神たちの采配はもったいぶっている。だが丁寧な信仰の作法がそのまま謎解きの鍵になる構成は美しく、幻想的な森の空気感も相まって、ぐっと物語に引き込まれる。
タルクロッシュの群れ
ガマガエルの魔物と、共食いの巨大化
道の先で待っていたのは、ガマガエルに似た魔物タルクロッシュの群れ。虫や蛙が苦手なブリギッテが終始嫌そうな顔をしていたのも納得の、なんとも気持ちの悪い相手だ。
護衛のエックハルトらがライデンシャフトの槍の祝福を受けて応戦するが、この魔物が厄介なのはその生態。倒しても剥がして始末しないと、たちまち共食いを繰り返して合体し、どんどん巨大化してしまうのだ。
見た目の不快さと、放置すると増殖・巨大化するという設計が、地味にプレッシャーの効いた戦いを生んでいる。苦手なものを前に気丈に振る舞うブリギッテの奮闘も微笑ましく、緊張とコメディのさじ加減が上手い。
飲み込まれたローゼマイン
巨大化したタルクロッシュは、ついにローゼマインを丸ごと飲み込んでしまう。絶体絶命かと思いきや、彼女は慌てず、ナイフで魔物の舌を刺して活路を開く。
「飲み込まれないよう備えます」と冷静に指示を出し、そのまま泉へと飛び込む一幕も。冷たくも熱くもない雪解け水の泉で、神官長たちがタルクロッシュを殲滅。魔物をすべて片付け、ようやく安全に採集できる算段が整った。
飲み込まれてなお淡々と脱出策を実行するローゼマインの、肝の据わりっぷりが頼もしい。ピンチをきっちり用意しつつ、深刻になりすぎず切り抜ける呼吸が心地よく、危なげない安定感で見ていられる。
夜明けの奉納と、蜜の採集
光る不思議と、音楽の奉納
その夜、一行を起こしたのは一陣の風。目を覚ますと、あたりには魔力に満ちた不思議な光がピカピカと瞬いていた。敵意はなく、どうやら楽師ロジーナの奏でる音楽がお気に召したらしい。
春の女神たちは音楽を好むという。そこでローゼマインは、光る存在へ向けて新しい曲と歌を奉納する。魔力の塊へふらふらと近づいてしまう危うさは、フェルディナンドが張った障壁がすんでのところで防いだ。
神々の気配がまだ輪郭を持たない、この時期ならではの幻想的な描写がとても美しい。あのフェルディナンドでさえ把握しきれない神秘がこの世界にはある。そう突きつけられる場面に、シリーズの奥行きを感じてわくわくする。
女神の嫌がらせと、無事の採集
明けて夜明け。ライレーネの蜜は、無事に採集された。フリュートレーネの夜の泉は男子禁制で、殿方は立ち入れないという「女神の嫌がらせ」もあったが、美しい環境の中で採取そのものは滞りなく終わる。
用が済めば扱いはあっさりしたもので、フェルディナンドは騎獣でローゼマインを回収し、「気に入らないならもう一度落としてやろうか」とつれない。手厚い出迎えとの落差もまた、女神たちの気まぐれを思わせて可笑しい。
丁寧なお迎えから一転、お別れはやたら雑——という女神の塩対応に、思わず笑ってしまう。ハラハラの魔物退治から一転、神秘的で穏やかな採集シーンへと着地する緩急も見事で、満足感の高い山場だった。
「おもしれー女」まとめと考察
神官長の、退屈しない日々
採集を終えたフェルディナンドは「大成功と言える」と振り返る。ライデンシャフトの槍の威力に驚き、食事を専属料理人に任せて毒殺すら疑わないなど、ローゼマインへの信頼は厚い。「本作りに特化した思考回路ゆえ、疑うだけ無駄」というのが彼の弁だ。
「全く君といると退屈しないな」。辟易しながらも、どこか楽しげなフェルディナンド。ローゼマインを“おもしれー女”以上の存在として意識し始めたのでは、と勘ぐりたくなる距離感に、原作ファンならずとも頬がゆるむ。
蜜の不思議と、図書館への執着
収穫は蜜だけではなかった。採れたライレーネの蜜は、予想外に不思議な性質を帯びていた。ローゼマインの魔力の影響か、フリュートレーネの夜のなせる業か。神官長の探究心が、また刺激される。
そして締めくくりは、隠し部屋での一幕。「魔木を育ててみないか」という誘いに、ローゼマインが返した答えは相変わらずだった。「お金より、魔力と引き換えに図書館をくださいな」。金にも動じぬその一途さに、さしもの神官長もドン引き。次回も彼女の暴走から目が離せない。




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