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倫が冒険者登録を済ませ、パーティー「暴食の卓」の一員としての初仕事に臨む。最初の依頼はエルラージュ周辺の調査、それも海。地味に思える任務だが、海と聞いた倫の頭は獲れたての海鮮でいっぱいになる。調査先の浜辺で一行が出会ったのは、いたずら好きの魔物プランクスター。その救出劇のあとに待っていたのは、豪華な海鮮バーベキューだった。




冒険者リン、最初の依頼
依頼のすり合わせは、海の幸から
異世界召喚されてまだ二日目の朝。倫は冒険者登録を済ませ、パーティー「暴食の卓」の一員として初めての依頼に臨む。任務はエルラージュ周辺の調査で、リーダー格のヴィルは「まず海の方から見回りたい」と切り出した。
ところが、依頼前の意見すり合わせが早々に脱線する。海といえば魚、貝も大粒で美味しい時期——と話が転がって、「今日のお昼ご飯は海の幸で決まりだな」と勝手にまとまってしまう。「そんな決め方でいいんですか。さっき朝ごはんを食べたばかりなのに」という倫のツッコミも、食い意地の張ったパーティーには届かない。
地味な周辺調査を、いきなり昼食の献立会議に変えてしまう掴みが楽しい。食べることしか頭にないパーティーと、それに振り回されつつ乗ってしまう倫の関係が、最初の数分で伝わってくる。
幸運のクローバーと、ハールベリーのクッキー
道中、以前ファイアベアに襲われていた新米パーティー「幸運のクローバー」を救助した話が出る。その一員である猫の獣人の少年レントと再会する。彼は教会の孤児院で世話になっていて、少しでも運営費の助けにと冒険者をやっているという。
倫は、昨日森で採ってきた材料で作り置きしていたハールベリーのクッキーを、「孤児院のみんなで食べて」とレントに手渡す。戦えない自分にできるのはこれくらいだから、と。
ここで倫の一言が、この回のテーマをそっと言い添える。「私たちが受けた調査依頼は、ああいう子たちが安心して冒険できるようにするため」。地味な周辺調査が、実は誰かの安全を守る仕事なのだと分かると、食べ物ばかりのやり取りの底に、ちゃんと芯があることが見えてくる。
浜辺の料理と、女子トーク
野菜嫌いのパーティーと、倫の一皿
港から海岸までは立ち入り許可が下りず、遠回りを強いられる。そこはポーターの出番だ。パーティーの荷物を運ぶのが倫の役目で、この世界にはアイテムボックスのような便利な魔法がないからこそ、ポーターが必要になる。
調査に出た仲間の帰りを待つ間、倫は昼食を作る。市場で買ったトマトのような実を米と炊き上げ、エドが獲ってきた大きなスズキは皮をカリカリに。問題は、暴食の卓の面々がどうにも野菜が苦手なことだった。それでも「野菜だってメインを張れる」と、茄子とチーズとトマトを組み合わせた一皿で応えてみせる。
野菜がここまで化けるのか、とパーティーを唸らせる料理描写が、この作品の主役だ。苦手なものを嫌々ではなく美味しく食べさせる、というのが倫の腕の見せどころで、「野菜のビタミンは傷の治りにも関わる」と理由まで添えるのが元・介護福祉士らしい。
好きな人は、いる?
料理の合間に、アリアとの女子トークが挟まる。「倫は好きな人とかいる?」と振られて慌てる倫に、「ビルとかどう?」と踏み込んでくるアリア。倫の答えは「んー、ライクですかね」と、あくまで穏やかなものだった。
倫は倫で、エドとアリアの馴れ初めが気になると切り返す。「これを聞かないとお料理作れないかもですね」と持ちかけると、エドが「恥ずかしがるオレの嫁、可愛い!」と大喜びし、お礼にと倫に土産を渡す一幕も。
料理と並んで、こういう他愛ない距離の縮まりを丁寧に描くのがこの作品の心地よさだ。恋の話をさらりとかわす倫の温度感も、パーティーに馴染んでいく過程として自然に置かれている。
いたずら者プランクスターの救出
渚の騒がせ者
本来の目的である周辺調査の途中、浜辺で騒ぎが起きる。現れたのはプランクスターと呼ばれる、渚の騒がせ者だった。強力な精神感応能力を持ち、人をからかって遊ぶのが好きな連中で、冒険者を驚かせようと海中から攻撃を仕掛けたはいいものの、自業自得で窮地に陥っていた。
放っておいた方が世のためでは、という声も出るが、いたずら好きでも頼みを聞けば獲物や報酬をちゃんとくれる相手だという。見捨てるのも寝覚めが悪い——ということで、暴食の卓はプランクスターの救出を引き受けることになった。
助ける相手が健気な被害者ではなく、自分でまいた種で困っている厄介者、というのが可笑しい。報酬のためという打算も隠さないので、いい人ぶらないのがこのパーティーらしくて気持ちがいい。
水路を掘って、海へ返す
プランクスターに迫っていたのは、ベビープループという大きな魔物だった。暴食の卓がこの捕食者を引き受け、倫はいったん後方で待機する。問題は、浜に取り残されたプランクスターをどう海へ戻すかだった。
巨体を包めるほどの大きな水のキューブは作れない。そこで出た案が「水路を掘って海と繋ぐ」というもので、魔道錬金術師のエドが土魔法と水魔法を組み合わせて水路を通す。戦えない倫も、バケツで水を運ぼうとするなど、できることで加わっていく。
力押しではなく、地形を作り替えて救うという解決が、この作品の穏やかさに合っている。それぞれが得意なことで手を貸し、倫も戦力外なりに動く——その総掛かりの感じが、初依頼を「みんなの仕事」にしていて良かった。
まとめ——冒険者リン、最初の依頼を完遂
報酬は、海の幸と海鮮バーベキュー
プランクスターの救出は成功し、報酬として新鮮な海の幸がどっさり手に入った。倒したベビープループのドロップ品も加わって、その夜の食卓は海鮮バーベキューにブイヤベース、アヒージョ、スルメイカのゴロジャガバターと豪華そのもの。好きなものを好きなだけ、と倫がふるまう。
食レポが大仰なのもこのパーティーの常で、「この贅沢極まりないスープは」「プルプルで激うま」と大騒ぎになる。そして「冒険者リンの最初の依頼」を無事に完遂したことを、みんなで祝った。
いろいろ想定外はあったが、初仕事はきちんと成功した、というまとめ方が気持ちいい。戦えない倫が、料理と発想力でパーティーを支えたことが、この一日ではっきり示された。
食いしん坊たちの、真ん中で
第3話は、倫が暴食の卓の一員として踏み出した最初の一歩を、料理三昧の一日として描いた回だった。口を開けば食べ物の話ばかりの仲間たちに振り回されながらも、倫の料理と機転が、依頼の完遂をしっかり支えていた。
締めくくりには、みんなが口々に倫へ感謝を伝える。「その発想力や素晴らしいスキルにも助けられる」「何より美味しいご飯がいっぱいで幸せ」——そして「俺たちのパーティーの飯番とポーターをやらないか」と、正式に仲間として迎えられた。戦いに直結しないと罵られて追放された聖女が、今度は美味しいごはんで居場所を見つけていく。次のごはん旅も楽しみである。












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