この記事の作品:
サブタイトルは「嘘と秘密」。完璧な令嬢を演じる代償として、雛子は伊月の前で熱を出して倒れてしまう。静音が明かしたのは、此花家に婿養子を迎えるという演技の本当の理由だった。「身の程をわきまえた上で、お嬢様を支えてください」。決意を新たにした伊月の起床係デビュー、勉強会、そしてテーブルマナーから素性を疑う美麗まで、第4話を振り返る。




倒れた雛子と、演技の代償
「いつきは私のお世話係。どこにも行かないで」
水着着用のお風呂当番もすっかり日常になった頃。桶を頼まれて「オケー」とダジャレを返すゆるゆるの雛子が、お茶会の後に成香と何を話したのかを気にした流れで、ぽつりと言う。「いつきは私のお世話係。どこにも行かないで」。直後、彼女はその場に倒れてしまった。
診断は軽い発熱。実は静音から「近いうちに体調を崩されると思います」と予告されていた。原因は、素の自分とかけ離れた完璧な令嬢を演じ続ける日頃の演技のストレスで、定期的に起こることだという。「倒れるくらいなら演技なんてやめたほうが」と食い下がる伊月に、静音は冷たく告げた。「身の程をわきまえなさい。お嬢様の演技は此花家の総意です。お嬢様ご自身も承知の上」。
前回までのラブコメの空気から、一段深いところへ踏み込む導入だ。倒れる直前の「どこにも行かないで」が、この回全体の意味を先取りしている。
雛子がつらい時、誰が寄り添える?
翌日の学院で、雛子の欠席は「家業の手伝い」で片付けられていた。「多忙だね、此花さんは」と流すクラスメイトたちに、伊月は内心で問う。それじゃ誰も心配してくれないじゃないか。「雛子がつらい時、誰が助けてやれるんだ。誰が寄り添える」。父の華厳はグループのトップとして本邸で仕事を休めず、母はすでに他界していると知る。
伊月は静音に頼み込み、レッスンを1.5倍のペースで済ませて雛子の枕元へ。「ありがとう。来てくれて嬉しい」「当たり前だろ、俺はお世話係なんだから」。望みを聞けば「じゃあ、手をギュッとして」。小さな手を握りながら、彼女がお世話係に求めているのは家族なのかもしれない、と伊月は思い当たる。
静音が明かす、此花家の秘密
演技の本当の理由は、婿養子
雛子が眠った後、静音は「大事な話があります」と切り出す。完璧な令嬢を演じる理由は、いい嫁ぎ先を見つけるためだと聞かされていたが、それは二番目。より大きな目的は、此花家に婿養子を迎えるためだった。雛子には年の離れた兄がいるが、華厳は兄がグループを率いる人物としてふさわしいか不信感を抱いており、婿養子を当主に迎え、雛子も共にグループを導く存在にしようとしているのだという。
だからこそ、雛子に悪評がつけばグループ内に圧力が生じ、最悪の場合は多くの犠牲者を出しかねない。「簡単に寄り添える相手ではないってこと…」と立ち尽くす伊月に、静音は続けた。「身の程をわきまえた上で、お嬢様を支えてください。それがお世話係の役割です」。
突き放すだけではなく、支え方の輪郭まで示してくれる静音がいい上司すぎる。息抜きに付き合い、疲れたら癒す。家族みたいに温かく。伊月の「俺、頑張るからな」に力がこもった。
起床係デビューと、「信頼が痛い」
月曜に復帰した雛子は、嫌いなものを伊月に押し付けようとして「好き嫌いせずに食べなさい」と論され、「俺は雛子が元気でいてくれた方が嬉しい」の一言で渋々口に運ぶ。そして伊月の仕事がひとつ増えた。今日から雛子の起床のお手伝いだ。「あと3時間…」「遅刻したい」とごねる姫を起こし、「いつき、おはよ」を受け止める朝が始まる。
ところが「着替え、手伝って」の一言で大混乱。後から静音に「お嬢様はよく寝ぼけられます。まさか真に受けてはいませんね」と釘を刺され、内心「真に受けちゃいました」と冷や汗をかくことに。「私もいつきさんを信頼させていただきます」に「痛い痛い、信頼が痛い」と悶える伊月が今週一番の被害者だった。
中間試験と、勉強会
学年2トップが揃う勉強会
そこへ迫るのが中間試験。過去問を見て青ざめる伊月に、雛子は「成績悪いとお世話係クビになる」と追い打ちをかけつつ、「私、こう見えても学年トップの成績」とドヤ顔で救いの手を差し伸べる。伊月が前の学校でやっていた勉強会の話から、お茶会メンバーでの勉強会開催が決定した。
集まれば学年1位の雛子と2位の美麗が同席する豪華布陣。一方の成香は「私は体育と歴史の成績がいいだけだ」「それ以外の科目はほぼ赤点だ」と衝撃の告白をする。美麗の仕切りで教える側と教わる側に分かれ、数学が苦手な伊月には「それなら私が教えましょう」と美麗が名乗りを上げた。二人きりの勉強を目論んでいた雛子は、機嫌を損ねて机の下でぐりぐりと無言の抗議。ネットの反応でも嫉妬する雛子が大人気だった。
テーブルマナーが、嘘を見抜く
休憩中、美麗は伊月を呼び止める。「あなた、本当に中堅企業の跡取り息子ですの?」。根拠を問えば、答えは「テーブルマナーですわ」。一通りはできていたが、彼女の目には短期間で詰め込んだつけ焼き刃に映った。なぜそこまで努力するのか、その答えが経歴にあるのでは、と。それでいて「言いたくないなら、私もこれ以上詮索しませんわ」と引き際まで美しい。
「この学院に怪しい人は入れませんわ。あなたも身辺調査をされたはずです」と笑った後、彼女は何かを言いかけて飲み込んだ。「もしかしたら、あなたも…何でもありませんわ」。サブタイトル「嘘と秘密」を背負うのは雛子だけではない、と匂わせる不穏な間だった。美麗の観察眼の鋭さは、ネットの反応でも「鋭かった」と話題に。
「嘘と秘密」まとめと考察
社交パーティーへ、それぞれの一歩
休憩の輪では、此花家で毎年春に開かれる社交パーティーが話題に。天王寺家と此花家の関係はデリケートだからと辞退し続けてきた美麗が、「今なら天王寺家の娘としてではなく、一人の友人として招待を受けられそうです」と参加を表明する流れが本当に良い。旭と大正にも招待状が送られ、パーティー嫌いの成香は「い、行けたら行く」。
お茶会が勉強会になり、勉強会がパーティーへ繋がっていく。身分を偽っている伊月にとっては、社交界という新しい試練の予告でもある。
「楽がいいとは限らない」
試験を終えた夜、雛子は屋敷のお気に入りの場所、見回りの来ない勝手口へ伊月を案内する。「静音さんには内緒だぞ」とアイスを分け合いながら、伊月は倒れた件を気にして「人がいない方が楽なら、無理して付き合わなくていいんだからな」と告げた。雛子の答えはこうだ。「いつきがそばにいない方が嫌」。そして、いつきが来てから分かったことがひとつある。「楽がいいとは限らない」。
ぐうたらの権化だった彼女がこの結論に至ったことこそ、この回の一番の事件だと思う。秘密を知ってなお支えると決めた伊月と、楽より大事なものを見つけた雛子。二人の距離は確実に縮まっている。




関連作品:





















コメント