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隼人はスマホを持っていない。ただそれだけのことで、春希も、三岳みなもも、順番に傷ついていく。うその呼び出し、ライスコロッケ、雨の菜園、教室のハンカチ、そして深夜のコンビニ。ずいぶん忙しい第2話の最後に、春希が浮かべたのは




恋バナ包囲網と、うその呼び出し
ドラマの話に、混ざれない優等生
第2話は、クラスの女子たちが昨日見たドラマの話で盛り上がっているところから始まる。そして当然のように、話が春希に振られる。
ところが春希は、ドラマも恋バナも苦手だ。受け答えに困り、じわじわと追い詰められていく。清楚可憐な優等生を演じている以上、「観てないし興味もない」と切り捨てるわけにもいかない。演じている自分が、そのまま自分の首を絞めている。
成績優秀・容姿端麗の仮面が、こういう場面ではただの拘束具になる。第2話は冒頭から、春希の生きづらさをきっちり見せてくる。
うその呼び出しと、準備室
そこへ隼人が、うその呼び出しを装って声をかける。春希をその場から逃がしてやったわけだ。
そして隼人が準備室に行ってみると、逃げた春希がそこにいた。二人は並んで、恋バナは苦手だという話をする。教室では絶対にできない会話が、ここでだけ成立する。
この時ふと、隼人は思ってしまう。もしかして春希はかわいいかもしれない、と。かつて男子だと思って一緒に遊んでいた相手に対して、である。第2話の隼人は、この認識のズレとずっと戦うことになる。
チューブゼリーと、ライスコロッケ
昼食の時間。春希はチューブゼリーやコンビニおにぎりで済ませようとしている。優等生の皮の下にある生活は、この程度に雑だ。
一方、隣に座った隼人の弁当を見ると、大きさも見栄えも立派なライスコロッケが入っている。落差がすごい。
結局、コンビニおにぎりとトレードすることになるのだが、そのライスコロッケが隼人の手作りだと知って、春希は驚愕する。田舎から出てきた男子高校生が、朝からライスコロッケを揚げている。
そこへ突然、準備室の外を人が通りかかる。二人はぎょっとして息を潜める。そっと覗いてみると、どうやら外では大胆な告白が行われているらしい。
よりによって、である。二人でこんなところにいるのを見られたら決まりが悪い。しかも聞こえてくるのは恋の話。やっぱり恋バナは苦手だ、という結論に、二人そろって戻ってくる。
スーパーでの遭遇と、断られた番号
荷物は持ってくれるのに、番号はくれない
場面は変わって、スーパー。隼人と春希がばったり出くわす。隼人は春希の荷物をさりげなく持ってやる。この手の気遣いが、意識せずにできてしまう男である。
帰り道、春希は隼人とのこれまでをなんとなく思い出している。悪くない時間だ。
そして家に着き、帰ろうとする隼人を引き止めて、春希はスマホの番号を聞き出そうとする。ごく自然な流れだった。
ところが隼人は、ごめん、と断る。春希はかなりのショックを受ける。荷物は持ってくれるのに、連絡先はくれない。そう受け取るしかない。
だが真相は単純で、隼人はそもそもスマホを持っていなかった。ここが第2話の全部の起点になる。
それは異常だと、妹に諭される
隼人の自宅。妹の姫子とスマホの話になる。持っていないことは異常だと、中学生の妹にきっちり諭される。
話には、地元に残っている村尾のことも出てくる。姫子と同い年の友人だ。田舎の月野瀬から都心へ出てきた霧島兄妹にとって、スマホもコンビニも、まだ完全には身体に馴染んでいない。
誰かを傷つけようとしたわけではない。ただ、都会の常識をひとつ持っていなかっただけ。それが人を傷つけてしまう、という回だ。
雨の菜園と、三岳みなも
翌日、雨。学校の菜園を手入れしている三岳みなもに、隼人が濡れないよう傘を差し出す。
みなもは、立派に実った野菜を隼人に見てもらえることが素直に嬉しい。二人で収穫し、その半分を隼人に渡す。園芸部の彼女にとって、これ以上ない贈り物である。
そしてみなもは、連絡が取れるようにとスマホの番号を聞く。隼人は謝る。みなもはショックを受ける。——春希のときと、まったく同じ流れだ。
ただし今回は、隼人がスマホを持っていないことを説明して、誤解を解く。買ったら教える、と約束もする。
つまり隼人は、みなもには言えて、春希には言いそびれている。この差が、このあと教室で爆発することになる。
ハンカチと、教室じゅうの視線
優等生モードで、濡れた転校生を気遣う
雨に濡れたまま、隼人が教室に入る。すると隣の席の春希が、教室にいるときの優等生の演技で彼を気遣い、ハンカチで拭こうとする。
教室は騒然となる。あの二階堂春希が、転校生の霧島に優しくしている。それだけで十分な事件だ。
隼人は耐えられず、春希からハンカチを取り上げ、洗って返すからと言って収めようとする。周囲の視線が痛すぎる。
春希は、このやりとりを準備してきていた
ところが春希は、このやりとりを最初から準備してきていた。
返すなら連絡先を、と言いながら、わざとらしくスマホを取り出してみせる。隼人にも、クラスメイトにも、これ見よがしに。
羨ましい状況だと、嫉妬と好奇の目が一斉に集まる。そして隼人が、スマホを持っていないと断ると、春希はこれまたわざとらしくがっかりしてみせる。周囲はさらに騒然。隼人は男子たちに連れ去られていく。
要するに仕返しである。二人だけの場所で断られたことを、春希は公開の場でわざわざ再演してみせた。優等生の仮面をかぶったまま、堂々と私怨を通している。ここが第2話でいちばん怖くて、いちばん面白い。
週末の約束と、深夜のコンビニ
種類が多すぎて選べない
春希の部屋で、二人でゲームをしている。当然のように、スマホを持っていない理由が追及される。
隼人の答えは、種類が多すぎて選べない、というものだった。拍子抜けするほど平和な理由である。買わない主義でも、事情があるわけでもない。ただ決められなかっただけだ。
こうして、週末に二人でスマホを買いに行く約束が成立する。あれだけ荒れた教室の一件が、結局この一言で片づいてしまう。
腕を組む妹と、「彼女さんですか?」
場面は隼人の家。姫子と夕食をとっていると、姫子が突然、コンビニアイスを買いに行きたいと言い出す。
理由は、田舎にはなかった「深夜に営業しているコンビニ」に行ってみたいから。ただそれだけのために、兄妹は夜のコンビニへ向かう。到着した二人は、しみじみと感慨にふける。都会というのは、こういうところで実感するものらしい。
そして隼人は、姫子がやけにおしゃれな格好をしていることに気づく。
そのコンビニの前を、春希が横切る。腕を組んでいる姫子を見た春希は、暗黒微笑としか言いようのない顔を浮かべて言う。「彼女さんですか?」
——ここで第2話は終わる。妹だと説明する隙すら与えられない。スマホひとつ持っていないだけの男が、一日でここまで面倒な状況に追い込まれるのだから、大したものだ。























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