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「俺はテレジアを人の姿に戻してやりたいんです」。アリヒトの宣言から始まる第4話は、亜人化を解く鍵がある四番区の大神殿を目指す方針会議、エリーティアの呪いの剣の告白、テレジアの正式加入と続き、後半はまさかの危急存亡の混浴へ。シリアスと日常が贅沢に詰まった30分を振り返る。




四番区へ。方針会議の夜
「俺はテレジアを人の姿に戻してやりたい」
食事の席でアリヒトが切り出したのは、前話ラストの宣言の続きだった。今日この後レイラのところへ行き、正式にテレジアに仲間になってもらう。そして「俺はテレジアを人の姿に戻してやりたいんです」。亜人化を解けば生前の姿に戻れること、そのためには四番区の大神殿に行く必要があると言われていることが、席上で共有されていく。
ただし八番区から四番区に到達できる探索者はごく少数で、五番区までしか到達していないエリーティアの実力をもってしても険しい道のりだ。アリヒトは「この八番区に留まるより危険は多くなる」「そこまでは付き合えないと言われても仕方ないと思う」と正直に告げ、「みんなの意見を聞かせて欲しい。生きるか死ぬかに関わる話だ」と一人ひとりに判断を委ねた。
仲間を勧誘するのではなく、リスクを開示して選ばせるのがアリヒトらしい。社畜時代に培った誠実さが、こういう場面で一番効いている。
仲間たちの答え
最初に手を挙げたのは五十嵐だった。「私はついていくわ。私だってテレジアさんにはずいぶん助けてもらってるし」。さらに元上司として、アリヒトは事を急いで皆を危険にさらしたりしない、会社にいた頃も同僚には決して無理をさせなかった、「逆に放っておくとあなたが無理しちゃうから、誰かが見てる必要があるわよね」と付け加える。
ルイーザも「僭越ながら」と補足し、アリヒトの実力なら堅実に進んでもいずれ四番区に到達できると太鼓判を押す。ミサキは「同じとこにずーっといてもつまんないし」に加えて、ギャンブラーの勘としても「お兄ちゃんといた方が長生きできそう」。スズナは自分を誘ってくれたエリーティアの考えを聞いてから決めると、筋を通した。
それぞれの答えに、その人の来歴と性格がそのまま出ているのがいい。特に五十嵐の「あなたが無理しちゃうから」は、前世からの付き合いだからこそ言える一言だ。
エリーティアの秘密と、レイラの願い
呪いの剣の告白
視線が集まったエリーティアは、ついに自分の問題を明かす。愛剣は「スカーレットエンペラー」。名前付きが落とす箱から見つかる武器で、装備した者の職業を固有武器職に変えてしまう。もともと剣士だった彼女はカースブレードという職業になり、技能ベルセルクが戦闘中に強制的に発動してしまう。しかもこの剣は、装備から外せない。
かつて所属した白夜旅団は、名前付きの箱を集めて出た武具で自分たちを強化する集団で、呪いを受けようがお構いなしだから鑑定はしない。「私も強くなりたい一心だったけれど、今は後悔してる。剣に振り回されて、本当の自分とは違う何かになってしまったような」。だから、「テレジアのこと、他人事とは思えない。私も協力する」。代わりに、一人ではできない自分の目的にも力を貸してほしいと。
アリヒトは「お互い様だ。武器の呪いも解くべきだし、方法は追い追い探っていこう」と即答し、方針は固まった。前話で保留された秘密がきちんと開示され、協力関係が対等な取引として結ばれるのが気持ちいい。解散後、ミサキの「エリちゃん」呼びに「そんな風に呼ばれたのは初めてよ」と返す姿も、少し肩の力が抜けて見えた。
正式加入と、少し前を歩く約束
その足でレイラのもとへ。アリヒトは銅のチケットを100枚用意し、テレジアの正式なパーティー加入を申し出る。最短でも一月はかかると見ていたレイラは、宣言した翌日に持ってきたことに驚きを隠さない。彼女は亜人に居場所を与える役割の先にある本心を語る。「彼らに心を取り戻してやりたい。しかし力が及ばない。お前のように優秀で実直な探索者は、私にとっての希望だ」。
話せなくてもなんとなく気持ちが分かる瞬間がある、というアリヒトに、レイラは「昨日より今日の方が、テレジアはお前に心を許している。私にはそう思えてならない」と告げ、「テレジアを頼む」と託した。ライセンスの表記も傭兵から探索者へと書き換わる。
帰り道、アリヒトはテレジアに「後ろじゃなくてもいいぞ。好きなところを歩いていいんだ」と伝える。ただし「戦いの時は俺より少しでも前に出るんだ。そしたら今までみたいに助けられる」。ちょっとだけ遠回りして帰る二人の空気が、もう完全に相棒のそれだった。
危急存亡の混浴
序列7位と、ロイヤルスイートの同居問題
宿に戻ると、今日の探索でアリヒトの八番区での序列が7位まで上がっていた。ロイヤルスイートに移れる資格を得たものの、居住定員が8名のため、移ればスズナとエリーティアの宿舎は自動的に解約されるという。パーティーの人数は8人が上限で、借りられる部屋も居住定員の合計8名まで。いい部屋の方が体力と魔力の回復は早いから、全員で同居するのが合理的という理屈に、アリヒトは「ど、同居…」と動揺しつつ「わ、わかった、考えておくよ」と預かるのが精一杯だ。
目を覚ましたミサキは、職業欄にギャンブラーと書いた理由を「そういうのがあるなら楽しそうかなって!」とあっけらかんと語る。おみくじは大吉しか引いたことがなく、家族で買った宝くじは10万円当選。「本当に運がいいんだな」と納得するしかない。
男湯に、テレジア
貸切状態の大浴場でくつろぐアリヒトの背後に、音もなく現れたのはテレジアだった。「ここは男性用だから、テレジアは入ってきちゃダメなんだぞ!」と慌てる間に、脱げないと思っていた鎧まで外れることが判明して大混乱。それでも、背中を流しに来てくれたらしいと察したアリヒトは、「良かれと思ってのことなら、動揺してばかりも良くないか」と観念する。
「ありがとうな、テレジア。でも、そんなに気を使わなくてもいいんだぞ。俺が一人で風呂に入ってても、それは当たり前のことだから。仲間外れとかじゃないからな」。この気遣いの応酬が本話の題名の正体だ。だが直後、テレジアがぐったり。リザードマンはトカゲだから変温動物、つまり長湯でのぼせてしまったのだった。「明日からはやっぱり女風呂に来てくれよ」。
風呂上がり、ルイーザの「こういった事案があることは存じ上げませんでした」に「じ、事案って言い方はちょっと罪悪感が…」と縮こまるアリヒト。スズナの「アリヒトさんに感謝を伝えたかったんですね」という受け止めが、一番本質を突いていたと思う。
「危急存亡の混浴」まとめと考察
眠れない夜と、運命のくじ引き
就寝前はミサキ発案の運命のくじ引きで寝室割りを決めることに。「誰かと同じ部屋で寝るのは、ちょっと危なそうなんだが」と内心冷や汗のアリヒトは、一人部屋を引き当てて胸をなで下ろす。ところが夜が更けると、眠れない女性陣が次々と目を覚まし、気付けば寝ているアリヒトの部屋に集合してしまう。「可愛らしい寝顔」と接近するミサキが「何してんのよ」とたしなめられる一方で、大人組の距離感はネットの反応でも「早い時間になんなんだ」と騒がれる始末だった。
翌朝、アリヒトの「昨夜、俺が寝てる間に何か変わったことはありました?」に、五十嵐は「な、ないけど?」。「秘密にすれば大丈夫ですよ」で片付けられた夜の出来事は、当分明かされそうにない。
解体所と、黒い宝箱の行方
朝の解体所では、レッドフェイスの素材から作ってもらった装備のおかげで命拾いしたと報告。討伐したジャガーノートは大きすぎるため分割され、八番区内すべての解体所が総出で解体に当たっているという。素材は換金するか装備にするか考えるため、ひとまず預かってもらうことにした。
この後はロイヤルスイートの内見と、罠の解除ができる箱屋へ。ミサキが拾ったあの黒い宝箱の中には一体何が入っているのか。方針会議から混浴、そして宝箱と、シリアスと日常の振れ幅が心地よい回だった。四番区への長い旅路が、ここから始まる。




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