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元魔王と元勇者が揃った学校に、示し合わせたように転入してきた倉石摩那と多岐川眠兎。正体を探ろうとロッカーに潜んだ流星とミーティアは、密着したうえに勇者がトイレを我慢できなくなるという締まらない形で見つかってしまう。二人が名乗ったのは、まさかの「ラブコメ警察」。さらにミーティアの勇者時代の武勇伝が語られるが、その果てに待っていたのは「勇者の旅って何だったのかしら」という虚無だった。そして夜の西口公園に現れた異形イーターを、摩那と眠兎が魔法で撃破する。二人の本当の正体は、魔術師組織「オズ」だったのだ。




転入生ふたりと、締まらないロッカー潜入
示し合わせたように同時転入してきた二人
第2話は、鳴神先生こと流星が転入生の校内案内を頼まれるところから始まる。倉石摩那は高身長のゆるふわ女子で、物腰柔らかく人に好かれるタイプ。多岐川眠兎は短気なちびっ子で、何でもズケズケ言う。「私たち元々友達で、偶然同じタイミングでの転校だったんですよ」「ただの腐れ縁だ」と、二人の説明は噛み合っているようで軽い。
流星が引っかかったのはそこだ。「この学校に元魔王と元勇者が揃ったタイミングで、二人同時に転入。少し気にしすぎか」。案内の途中、摩那は「何かいい匂いがしますね」「まるで魔法みたいな甘い匂いが」と言い出し、「私は不思議な力で甘いのが分かっちゃうんです。例えば、二人だけのいけない秘密」と踏み込んでくる。ちなみに流星の匂いを尋ねた答えは「餃子」だった。
★ロッカーの中で、勇者が限界を迎える
空き教室に移った二人は、匂いの正体を魔力の共鳴と読む。ミーティアの「私たち二人が揃ったから、私たちの魔力が共鳴したんだわ」に、流星の内心は「かっこいいこと言ったと思ってるんだろうな」と冷ややかだ。そこでこの空き教室におびき出し、ロッカーに潜んで正体を探るという作戦が立つ。
ところが「待って、私も」とミーティアまで入ってきて、狭いロッカーの中は密着状態。「ちょっと暑いんだけど」「原因はお前だ」と押し問答をしているうちに、ミーティアがトイレに行きたくなってしまう。「魔王は勇者のおしっこを浴びると死ぬの?」「そういう意味じゃない!」「試してみる」という最悪の攻防の末、流星が絞り出した説得が秀逸だった。「とりあえずお前は、俺を倒すことよりも自分のプライドを優先しろ」。
名乗った正体は「ラブコメ警察」
女子校は乙女と乙女の恋愛こそが至高
当然のように見つかった二人。「何者なんだ、君たちは」と問う流星に返ってきた答えが、この回いちばんの脱力ポイントだ。「私たちは——ラブコメ警察」。
曰く「学園である女子校で、男性教員と女子生徒がイチャつくのが許せない者たち」であり、「女子校は乙女と乙女の恋愛こそが至高なのです」。そして「ということで、あなたたちには別れた!」と一方的な宣告まで飛び出す。「何を言ってるのかわからない!」という流星のツッコミがまったく正しい。ここで敵ではないと分かるのだが、これはまだ正体の半分でしかない。
学校中の憧れ、花織さんという存在
場面が変わると、廊下を歩くミーティアに「花織さん、おはようございます」と挨拶が集中する。学年関係なく憧れの存在で、運動部の助っ人に引っ張りだこ、頼られすぎて何でも屋になっている——そんな評判に、流星は「なんか勇者っぽいな」と漏らす。
「差し詰め私は聖女ってとこか」「お前は聖騎士」と軽口を叩き合う摩那と眠兎も、すっかり馴染んでいる。転入初日から物おじしない眠兎のキャラクターも含め、この二人が単なる刺客ではないことは、この時点で十分に伝わってくる。
★勇者ミーティアの武勇伝と、その果ての虚無
姫勇者ニア、邪竜王、そして全部やったのはミーティア
「勇者の時もこんな感じだったのか?」という流星の問いから、ミーティアの回想が始まる。まずはエクスゼリア王国の姫勇者ニアの物語。魔人を倒し、洗脳された許嫁の王子を救うのが目的で、ミーティアは覚醒の儀式の洞窟を露払いし、聖剣を探し、パシリをやり、魔人八大将軍も魔人四天王も倒しまくった。王子の洗脳を解き、最後には魔人まで打ち砕く。ここで流星のツッコミが入る。「お前が全部やってない?」。
続いて大陸西部アーデント地方編。神竜を崇めるベーダ教団と、邪竜王復活を目論む邪教徒の争いに巻き込まれ、聖女エルティアの頼みで六つの塔を封印する旅へ。塔を守護する六匹の邪竜、邪教十二神将——流星のツッコミは「インフレしてるな」。皆はミーティアを救世主と呼んだそうで、そこにも「勇者はどうした?」が刺さる。黒幕は教団の教祖アバルだったところで話は打ち切られ、締めの一言は「お前いつも蚊帳の外だな」。
★「勇者の旅って何だったのかしら」
笑い話として語っていたはずが、途中でミーティアの顔から表情が消える。王子が姫をかばって死んだ場面を「ちょっとした強制イベント」と呼んでしまったあたりから、雲行きが変わっていた。
そして虚無が来る。「勇者の旅って何だったのかしら」「権力者たちの道具なの?」。誰かを救って笑顔にできたのならそれでいい、勇者とはそういうものだ——と自分に言い聞かせようとして、うまくいかない。武勇伝の連続が、そのまま「自分は都合よく使われていただけではないか」という問いに反転してしまうのが、この回の急所だ。
宿敵だけが差し出せた言葉と、西口公園の異形
★楽しかったのは、魔王と戦っていた時間だった
虚無ったミーティアに、流星は「落ち着け」と声をかけ、こう聞く。「楽しかったことはなかったのか?」。浮かんだのは、スカーレットアイズ——つまり魔王だった頃の流星との戦いだった。「今日こそあなたを倒す」「そんな腕では私は倒せる。出直してこい」「さすが我ら宿敵。お前と戦えるのを楽しみにしていたぞ」。
だからこそ、続く言葉は流星にしか言えない。「お前はすごい勇者だったよ。胸を張れ」。旅で出会った人々の名前——はじまりの村の宿屋の親父さん、鍛冶屋のガンツさんと見習いのルツさん、黄金騎士団のアルバート——を並べたあと、「一人だけだったら誰に会いたい?」と聞かれて即答したのが役者のトム・ヒダルスタンだったのは、この勇者らしいオチである。
そして語られる勇者観。全ての人を救えないこと、最善を尽くしても恨まれること、いつも自分の非力さを呪うこと。それでも「折れても諦めず立ち上がる心」であり、「最後まで勇者でなければならない」。「傷ついて挫折して、磨かれて輝く、私のマイダイヤモンド。それが勇者」——虚無から戻ってきた彼女の答えだ。
イーター、そして魔術師組織「オズ」
後半は、西口公園にお化けが出るという噂から動く。まこや茉莉花に摩那と眠兎も加わって夕方の肝試しへ。流星は「もし俺たちの世界の魔物だったら」と警戒するが、自身は「体力ない、走れない、殴られたら骨折れる、近接無理だ」と元ニートぶりを露呈していた。
そこへ現れたのが異形の怪物。摩那と眠兎は雷撃と火の玉の魔法で、これをあっさり撃破する。そして明かされる正体。あれは違う星から来た地球外生命体で、名をイーター。主食は人間だという。
そして摩那たちこそが、この異常事態を極秘裏に処理している魔術師の組織「オズ」だった。まこと茉莉花は魔法で記憶を処理したうえで家に送り届け済み。「活動する上で、学校内に協力者が必要なのです」「特に先生って立場は何かと助かるし」と協力を持ちかけられ、「なぜ俺たちに?」と問う流星への答えは「なんとなく」。こうして勇者と魔王が、同じ側に立つことになった。




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