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サブタイトルは「お祝い」。聖ミリス教会でのクリフとエリナリーゼの結婚式に始まり、一年遅れで開くノルンとアイシャの誕生会、そしてエリナリーゼの根回しで叶うルーデウスの長年の念願まで、お祝い尽くしの第5話。釣りの新魔術エレクトリック、ゼニスの微笑み、なかなか笑わなかったルーシーの笑顔と、幸せの詰まった30分を振り返る。




悪魔のささやきと、聖ミリス教会の結婚式
エリナリーゼの取引
クリフの研究室を訪ねたルーデウスを迎えたのは、結婚式の準備で多忙な新郎に置いていかれ気味のエリナリーゼだった。「最近クリフは忙しくて」とぼやいた流れで、彼女はとんでもないことを言い出す。シルフィーとロキシーを同時に相手していないと知るや、「大人数でするのは結構いいものですわよ。一度ぐらいやってみては?」。
ルーデウスは内心で「いかん! これは悪魔のささやきだ!」「耳を貸すな、ルーデウス。去れ、マーラよ!」と全力で抵抗するが、「二人には私から根回ししてあげてもよろしくてよ」の一言で陥落。見返りは、アスラ王国に伝わる秘蔵の媚薬を手に入れる努力をすること。「結婚初日ぐらい、野獣みたいなクリフに責められてみたいんですの」という新婦の願望まで聞かされてしまった。
長年の念願と書けば聞こえはいいが、要は他力本願である。この取引が後半にきっちり効いてくる構成が実に手際よい。
誓いの首飾りと、額への口づけ
そして聖ミリス教会での結婚式。「死せるまで、エリナリーゼを愛すると誓おう」「生きる限り、クリフを愛すると誓いますわ」という誓いに続き、夫から妻へミリスの首飾りが贈られる。「リーゼ、もうちょっとかがんで」「あら、ごめんなさい」という身長差の一幕も微笑ましく、誓いの口づけと祝福の祈りで式は締めくくられた。ネットの反応でも「エリナリーゼの花嫁姿が美しい」「正装ロキシーが可愛すぎる」と、この場面は大好評だった。
式の帰り道、「やっぱり、女の子はああいうのに憧れるものなのかな」というルーデウスに、シルフィーは「僕らの時は僕らの時で、温かみがあってよかったよね」。ミグルド族に式の習慣がなく挙式していないロキシーへ、ルーデウスは「失礼、素敵なおでこだったのでね」と額に口づけ。シルフィーにも、ノルンとアイシャにも同じようにして、「兄さんはどうしてそう恥じらいがないんですか?」と妹に叱られていた。
十歳のお祝いを、一年遅れで
「よし、決めた。パーティーを開こう」
はしゃぐアイシャに「もう11歳になったのだから、立派な淑女として落ち着いてほしいのですが」とロキシーが漏らした瞬間、ルーデウスは気付く。転移事件のさなかで、妹二人は5歳と10歳の節目のお祝いをしてもらえていない。ベガリット大陸で父と交わした「みんなで再会できたら盛大に祝おう」という約束を思い出し、「よし、決めた。パーティーを開こう」と即断した。
公式あらすじの言う「十歳のお祝い」は、一年遅れの誕生会というわけだ。祝いそびれた時間を取り戻そうとする流れそのものが、パウロの遺した言葉の続きになっているのがずるい。
プレゼント選びの買い物デート
誕生会はサプライズにすると決め、ルーデウスはシルフィーとロキシーを連れて収穫祭前の賑わう街へ。魔力を込めると中身が凍る鍋を推すロキシーに、シルフィーが「アイシャちゃんは、もっとかわいいものが好きだと思うよ」と軌道修正する場面から、三人の買い物は始終いい空気だ。ノルンの好みを「鎧とか剣とか馬とか、男の子っぽいもの」と即答したロキシーは、「私も、彼女とは仲良くなりたいんです」と続ける。
ノルンには明るい色のコート、アイシャには花模様のブーツ。そしてルーデウスとシルフィーは、ロキシーが値札を見て諦めた帽子を、こっそりもう一つの贈り物に決めていた。「僕の服まで選んでもらって」「私も楽しかったですし」という二人の距離感も含めて、ずっと眺めていたい買い物パートだった。
予約した店と、翌朝
「実は、部屋を…」
日が暮れて、ルーデウスは「実はお店を予約してあるんだ」と切り出す。するとシルフィーは「あの店…おばあちゃんに教えてもらったよ。ルディとケンカしたら、ここで仲直りしなさいって」。ロキシーも「私もエリナリーゼさんから、ルディがシルフィーと私をそろってこの宿に誘うかもしれないと」。そう、根回しは完了していたのである。ロキシーの「ルディは変態ですね」という評すら、もはや祝福に聞こえる。
ルーシーの世話はリーリャに頼んであると聞き、「すまん、ルーシー。欲望に弱い父親を許してくれ」と心中で詫びるルーデウス。「実は、部屋を…」という人生で一度は言ってみたかったセリフと、「今夜は最高の一夜になりそうだ」のモノローグを残して、場面は入店寸前でぱっと翌朝へ切り替わる。この奥ゆかしい編集に、ネットの反応は察しの良い笑いで溢れていた。
釣り大会と、新魔術エレクトリック
翌朝はサプライズ誕生会の決行日。準備の間、妹たちを連れ出す口実は釣りだ。狙い通り、初めての釣りに戸惑うノルンへ「わ、私が教えましょうか」とロキシーが寄り添い、一人旅時代の話や、ルイジェルドが槍で魚を突いた思い出話まで弾んでいく。「仲良くなるのは時間の問題だったみたいだな」。
一方のルーデウスは、アイシャと釣果勝負をして大苦戦。ゴミを釣り上げた末に「俺も本気を出すぞ」と、ライトニングを試行錯誤して編み出した威力控えめの雷撃「名付けて、エレクトリックだ!」を川へ放ち、魚をまとめて浮かせる暴挙に出る。「お兄ちゃん、魔術はズルだよ!」「いくらなんでも大人気ないですよ」と総ツッコミを受けた。魔術は生活を豊かにする、を地で行く最低で最高の使い方である。
「お祝い」まとめと考察
「ようやく家族が揃った」
家に戻ると、飾り付けられた食堂とみんなが待っていた。「フィットア領の転移事件から7年。長かったけれど、ようやく家族が揃った」。父はいなくなり、母も元に戻るか分からない。それでも「いつまでも悲しんでいたら、父さんもいい顔はしないはずだ」と、ルーデウスは父との約束どおり乾杯の音頭を取る。プレゼントをもらったノルンが「見てみて、お母さん」と駆け寄ると、ゼニスがふわりと微笑み返す。リーリャとゼニスからの贈り物に「私ももらっていいの?」と遠慮するアイシャへの、「ええ、もちろんですよ。あなたもパウロ様の娘ですからね」も涙腺に来る。
そして最後の包みは、ロキシーへの結婚祝いの帽子だった。シルフィーは告げる。ルディと出会えていなかったら、きっと今生きていない。だから、ルディの人生をいい方向に変えてくれる人が好意を持ってくれて嬉しい。「ロキシー、僕らも、ゼニスさんとリーリャさんみたいになろうね」。ネットの反応いわく、ロキシーがこの家で初めて「認められた」と実感した瞬間であり、プレゼントをことのほか喜んだ理由もここにある。
ルーシーの笑顔と、次回「修羅場再び」
宴の中で「笑いましたよ」の声が上がる。なかなか笑わなかったルーシーに、ついに笑顔が咲いたのだ。家族の「おめでとう」が幾重にも重なる幕引きには、安保心結の歌う挿入歌「ひかり」が寄り添い、「パウロが望んでいたのは、きっとこんな光景だったのだろう」というモノローグがすべてを言い表していた。
ネットの反応も「最終回? 幸せすぎる」「普通の人として生きるならここが到達点」と多幸感一色。ただし「こんな幸せが続けばいいと思うけど、そうはいかないのだろう」という声のとおり、次回のサブタイトルは「修羅場再び」。書籍版にだけあるサブタイトルだとネットでは話題で、この平穏がどう揺れるのか、心して待ちたい。




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