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第2話「SUPER SPARTAN ii + JUNK JUNGLE i」。大臣は激怒して部隊の即時解散を決めていたが、荒巻が明かした種明かしは「予算が審議会を通過したというのはダミーで、国際救助隊の予算の8割が攻殻機動隊の創設資金になる」というものだった。こうして発足した部隊が最初に追うのは、外務大臣の通訳の電脳に仕掛けられたウイルスHA3。草薙が見抜いたのは、あえて時代遅れのウイルスを使い、マレス大佐に罪を着せる偽装である。そして逆探の先にいたのは、女房の気持ちを知りたくて防壁破りをもらった、ゴミ収集車の清掃員だった。




★攻殻機動隊は、こうして作られた
「あれはダミーだ」
第2話の冒頭が、この作品の骨格を明かす。前回の突入を受けて、大臣は怒り狂い、部隊の即時解散を決定していた。書類は昨日付けで国防大臣も承認済み。ところが荒巻は落ち着いている。「わしと大臣の考えは違う」。
そして種明かし。「特殊部隊設立の予算が審議会を通過したと言ったろ。あれはダミーだ」。実際に設立されるのは、申請額の3倍の規模を持つ国際救助隊。「これで民間人を見殺しだとか、平和を金で買っているとか言われずに済む」というのは建前で、その予算の8割が攻殻機動隊の創設資金になる。
組織の性格も、ここで定義される。「上は首相だけ、責任はわしが持つ」「階級なしの実力主義、最優先ライン。犯罪の芽を探し出し、これを除去する」。そのうえで「明朝6時、その誓約書に目を通しサインして持って来い」と草薙に告げるのだから、周到である。バトーの総括が的確だ。「してやられたな。大臣も、施設も、俺たちも」——つまり前回の突入からして、荒巻の仕込みだったわけだ。
マレス大佐と、ガベル共和国
動き出した部隊の最初の案件は、外務大臣の通訳の電脳へのウイルス侵入である。背景にあるのがガベル共和国。「用度6、難度1、ランクE」と評価される小国で、核武装もしておらず、元は軍政だったが革命後はまあまあ民主的にやっている、という位置づけだ。
問題は、元軍事政権の親玉マレス大佐が病気療養と称して滞在し、いまだ軍政派へ支援を送り続けていること。おかげで軍政派はプラチナの鉱脈を握ったままだ。秘密会談の中身を「空回りのODAだ」と切り捨てる大臣の弁も辛辣で、「稼いだ金じゃないから身につかんし、搾取の返済だと思っとるから誰も感謝などせん」と言ってのける。
政府に突きつけられている選択は二つ。マレス大佐を放り出して援助を進めるか、大佐の亡命を認めて援助を断つか。「様子を見ないと世論処理が難しくなる」という一言に、この作品の政治の手触りが凝縮されている。
HA3という、あえて古いウイルス
2時間強で、ゴーストに届く
通訳に仕掛けられたウイルスはHA3。第4次非核大戦中に作られた軍事用AIのようなもので、いわゆる人格乗っ取り型だ。単体では無害だが、ゲノムが揃うとすぐに動き出す。ウイルスがゴーストに到達するまでの猶予は2時間強という、綱渡りの状況である。
犯人は7分ごとに5秒ずつ、場所を変えながら侵入してくる。最近の型なら潜伏期間があって逆探知できないところを、「オールドドッグでよかったわ」と草薙が漏らすとおり、古いからこそ追える。この「よかった」が、後でまるごと反転する。
銃器談義と、接敵する能力
車中の会話が楽しい回でもある。トグサが「メインにリボルバー使ってるって?」と絡まれ、「俺は2047が好きなの」と返す場面は、押井版を知る視聴者ほどニヤリとしたはずだ。ショットガンについても「うちの仕事はミンチ作りじゃないわ。壁抜きはライフルに任せなさい」と一蹴される。
そのやり取りの中で草薙が語る一節が、この部隊の思想そのものになっている。「私たちに必要なのは、絶対に倒せる距離まで接敵する能力よ」。射的がしたければ超小型巡航ミサイルで象でも撃て、という毒づき方まで含めて、原作の空気がそのまま持ち込まれている。
★JUNK JUNGLE——ゴミ収集車の男たち
営業所に泊まり込む清掃員
サブタイトル後半が指すのは、電脳空間ではなく現実のゴミ処理の現場だ。収集車の二人組は延々とぼやいている。「お前、営業所に泊まり込んで何日になる?」「おかげで子供は他人顔、女房は離婚をほのめかすし、こっちの浮気を疑ってる。あっちの方が怪しいのにな」。
彼らの会話には、この世界の底が覗く。「ゴミ捨て場にまた爺さんが捨てられてるぜ」「この注射器、検体用って書いてある」「聖庶民救済センターにいた頃の方が楽だった」——前回の施設が、こんな形で地続きに置かれているのが憎い。
★「飲み屋で親切な奴と知り合ってさ」
そして種が割れる。男が持っていたのは防壁破りだった。「飲み屋で親切な奴と知り合ってさ。俺が一日中ゴミを回収してるのを知って、こうやって防壁破りを置いといてくれてる」。目的は事件でも金でもなく、離婚を切り出した女房の本心を知ることである。
動機がどこまでも私的だからこそ、使われ方が悪辣だ。「ゴーストハックしてまで自分の女房の気持ちを知りたいかね?」という相棒の呆れ声のすぐ後に、会社から「警察にお前らの巡回路を聞かれたぞ」という連絡が入り、男は青ざめる。「ゴースト破りがバレたんだ! あの親切な奴に知らせないと!」——この慌てぶりこそが、逆探知の最後の一押しになってしまう。
★草薙の推理と、「あなたもそのうち」
なぜ、時代遅れのHA3だったのか
トグサが「大げさに考えすぎてない?」「ただのゴミ回収業者のいたずらかもよ」と漏らしたところで、草薙が組み立てて見せる。まず前提。「もしHA3が彼女を支配してたら、ガベル共和国代表は秘密会談の場で殺されてたでしょうね」。
そのうえで核心。「なぜ時代遅れのHA3なんかで仕掛けてきたと思う?」「ばれたとき、新型なら逆探知できず、前軍事政権指導者マレスに疑いがかかるからよ」。つまり逆探知できたこと自体が仕込みであり、狙いはマレスに罪を着せることだった。「偶然はない? 手持ちがHA3しかなかったとか?」という反論も「この件ではないわ」で切り捨てられる。
では真犯人は誰か。草薙の答えは「マレスと、会談の情報を漏らした奴とね」。荒巻の側でも、情報部の中島がこの山を担当したがっていたこと、その中島からマレスへ電話があり、架空の会社でプラチナを売りさばいているらしいことが掴まれている。身内から漏れているという第1話の不穏さが、そのまま輪郭を持ち始めたわけだ。
「あなたもそのうちゴーストが囁くようになるのかしら?」
推理を披露したあと、草薙がトグサに投げる一言が絶妙だ。「あなたもそのうち、ゴーストが囁くようになるのかしら?」。第1話の「そうしろと囁くのよ、私のゴーストが」を受けて、生身に近い新米へ手渡すように置かれるのが心憎い。
直感はAIにはなく人間にはある、という読み解きがネットでも交わされたのはこの流れである。情報量は相当に多く、「原作を読み返してようやく飲み込める」という感想も並んだ。そして事件は解決を見せないまま、次回へ続く。「え? 事件? 次回に続きます!」という戸惑いごと、この作品の持ち味だと言っていい。






















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