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金網越しに大声で呼ばれるのも一苦労のダラさんが、血の陣とガラケーで日向・薫と“電話”で繋がる第3話。差し入れの巫女服で記念写真を撮る和やかさの裏で、禁足地には「対処組」の今代の巫女と、禁を破る配信者という二組の来訪者が迫る。さらにダラさん誕生の発端となった姉巫女の凄絶な過去が語られ、ラストは母・千代が荒らされた祠に祈りを捧げる。笑いと不穏が同居する濃密な回だ。




金網越しの呼び出しと、差し入れの巫女服
血の陣とガラケー——電話で繋がるダラさん
第3話、日向と薫は今日も山の金網越しにダラさんを呼ぶ(薫は珍しくツインテール)。だが毎回大声で呼ばれるのもダラさんには厄介だ。そこでダラさんは血で陣を描き、そこに壊れたガラケーを乗せる。すると二人の携帯と“通じる”ようになるのだった。「現代回帰現象やぞ、できて当然じゃ」と得意げなダラさんだが、「ちなみに通信料は全部そっち持ちじゃから」と抜け目ない。
今日の来訪の目的は、炊き火でジャガイモをふかして食べること。近所のおばあさんが箱いっぱいくれたのだという。煙を隠してやりながらも、ダラさんは「いつも無理に備え物を持ってこなくていいぞ。お前らの年なら銭は自分に使え」と、土地神らしからぬ優しさを見せる。威厳を自称しつつ根は寂しがりや、というダラさんの人柄がよく出た場面だ。
水着問題と、筆木先生“本気”の巫女服(記念写真でダブルピース)
話題はもうすぐのプール開きへ。ダラさんは、女性ものを好んで着る薫がどんな水着を着るのか気になる様子。日向が指さしたのは女子用の水着だった。姉として悩んだ末に選んだ結果らしく、学校指定のものなら問題ないのだが……という一幕にダラさんも「致し方なしじゃの」と苦笑する。
そして薫がダラさんに差し出したのが、担任の筆木先生お手製の巫女服だ。「巫女だって聞いたので」肌の露出が多い装いを気にしての一着で、「これが筆木先生の本気です」というだけあって生地も仕立ても想像以上にガチ。せっかくだからと記念写真を撮ることになり、写真に写るかどうかは任意(しかも二人にしか見えないように写る)というダラさんは、真ん中でダブルピースをさせられる。「写真に撮られるのは初めてじゃな」とまんざらでもない。
禁足地に来た「対処組」と、虫取りに夢中な日向
神隠しで姿を消し、今代の巫女を観察する
その頃、山の金網の内側に足を踏み入れる謎の男女がいた。スーツ姿の男(叔父)と、革ジャンの女である。ダラさんはとっさに日向と薫を神隠し——存在のずれた異界にわずかにずらす技で隠し、三人でその様子をうかがう。「一応、神隠しにあってるんじゃけど」と言われても、日向は「へぇ、神隠しされるとこんなんなんだ」とどこ吹く風。今の浅さなら影響はなく、優秀な霊能力者なら早い段階で引っ張り出せる代物だという。
ところが霧の中、日向はのんきにカナブンを捕まえ、あろうことか革ジャンの女の頭にそっと乗せてしまう。相手はまるで気づかない。異界にいるはずの日向が現し世に干渉できているのは、それだけ霊感が強い証でもある。ちなみに日向はこの虫にすっかり興味が湧き、後日カマキリを山ほど持ち帰って怒られたらしい。
完璧な儀式、されど霊感ゼロ——祠の中身は「巫女の腕」
ダラさんの見立てでは、この革ジャンの女こそ今代の巫女。修繕された祠も儀式も完璧で、真摯に修練を積んできたのは間違いない。だが、おそらく霊感はゼロ。すぐそばの日向の姿すら捉えられていない。それならば霊的な干渉は連れの男の方か……とダラさんは首をひねる。巫女自身も「何もないことが、この場所での怪奇現象」と、異常の“無さ”を訝しみ、後日改めて調べる必要があると言い残して去っていく。
この山の管理をいずれ継ぐ二人に、ダラさんは祠の中身を明かす。「かつて人であったときのわしの残骸。わしの手を離れ、手の届かぬ者に委ねられた呪物、巫女の腕じゃ」。「えぇ、怖」と一応は返すものの、日向も薫もどこか興味薄。「怪異的には重要な情報を出したつもりなんじゃが」とダラさんが拍子抜けするのも、この姉弟らしい。
姉巫女の歪み——ダラさん誕生の過去編
大工・十郎太と、妹巫女へ向かう想い
回の随所に挟まれるのが、ダラさん(屋跨斑)が生まれる発端となった過去だ。西集落の腕のいい大工の一人息子・十郎太は、寄進を募って祠や神社を建てていた。長い普請の間、姉巫女は十郎太に惹かれ、周囲も似合いだと噂した。だが十郎太が心を寄せたのは、妹巫女の方だった。
敬意しか向けられない自分と、通い詰めるほど親しくなっていく妹。姉巫女が初めて覚えた敗北感と嫉妬は、井戸の異変による鬱憤や不信感と練り合わさり、妹への歪んだ感情へと凝っていく。その毒は数年をかけて姉巫女の器から溢れ出し、「見れば祟り、汚せば祟る」——いにしえより屋跨斑と呼ばれる存在を生む土壌となっていった。
井戸の穢れと、妹への罪のなすりつけ(マッチポンプ)
やがて謎の病が東西の集落を襲う。封じられた井戸の近くに住む者ほど発症率が高く、「井戸の病が溢れたのでは」との噂が流れた。率先して井戸の調査を買って出た姉巫女は、毎日泥だらけで働き、村人の目には生き神のようにも映る。しかし、それこそが自作自演だった。穢れを井戸に溜め込み、その罪を妹巫女になすりつけるための布石である。
姉巫女は両親に告げる。「妹の担当する東の封印が緩んでいる。我らへのそねみから、わざと封を緩め、屋跨斑の穢れを井戸へ流したのだ」と。愛されずに育った妹を、汚れ仕事の囮に使い、「最後の血の一滴まで使ってやるのも姉の務め」とまで言い切る姉巫女。その歪みは、いよいよ仕上げにかかろうとしていた。
夜祭りと、禁足地を暴いた配信者たち
拒まない神社と、満喫する夜祭り
場面は現代の夜祭りへ。人通りが増える前にと、ダラさんは口元を隠すマスクを借りる(「新品と使用済みがございます」という二択には思わずツッコミたくなる)。向かった先は街の新しい神社。自我を取り戻したときにはすでにあった社に近づくのは初めてで、ダラさんは訝しむ。「妙じゃな。見事に管理された神域であるにもかかわらず、わしを拒絶する気配がみじんも感じられぬ」——祟り神を拒まないその神社に、ダラさんはすんなりと足を踏み入れる。
三人は祭りを存分に楽しむ。「小学生に奢られるわしの気持ちも考え」とぼやきつつ礼を言うダラさんが微笑ましい。だが、その和やかな時間は長くは続かない。ダラさんは“警報”を感じ取り、祭りからふっと姿を消すのだった。
呪物の腕・神隠しの処理、そして母・千代の祈り
警報の正体は、禁足地に侵入した配信者たちだった。「エルのホラーチャンネル」を名乗る男女は、災害で拡張された区画の新しい柵を越え、奥にある物々しい洋装の祠を発見。鍵とワイヤー付きの縄で厳重に封じられたそれをこじ開け、中の箱を暴く。ゴミに包まれ濡れたそれこそ、呪いが生きる限り朽ちない呪物、血だらけの巫女の腕だった。触れた瞬間、女の腕が折れ砕ける。強い呪いは瞬時に祟りを起こす。ダラさんは二人を次元の狭間へと引き込んだ。
後日、配信者の女は感情の抜け落ちた顔で「結局あの後は何もなくて、単なる山菜の自生地。今回はハズレでした」と動画で語る。だがそれは、山で騒ぎを起こされては困るダラさんに、そう言わされているだけだ。一方、荒らされた祠を元に戻そうとする女性がいた。電話で「千代です」と名乗る、日向と薫の母親である。呪物を祠へ戻し、鼻から血を流しながら、彼女は祈る。「二人を産んで以来、もう私には何も見えず感じられないけれど、今も屋跨斑様は祠を守っておられるのでしょうね。どうか、日向と薫が呪いに触れぬようお守りください」。「たたり神に頼むことではないな」——そう呟くダラさんの声を最後に、第3話は幕を閉じる。




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