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パラオ行きを前に、伊織のパスポートを握っているのは今話で判明した実の妹・栞だった。旅館には厄介なオタクのドイツ人二人組と、おっとり美人のカリーナ、そして謎のストーカーの影。伊織は妹のピンチを救って恩を売り、パスポートの奪還をたくらむ。耕平とともに変態ドイツ人との酒飲み対決に挑む一方、千紗や栞と話すカリーナは、日本の文化に想像の8倍やばい興味を見せるのだった。




伊織に、妹がいた
手作りのパスポートと、本物の行方
第3話最大の驚きは、冒頭からやってくる。北原伊織に、実の妹・栞がいたのだ。旅館の手伝いをする栞は、兄をこの上なく慕う妹で、千紗にはおにぎりを、今村には卵焼きを、そして兄の伊織には手作りの品を用意して甲斐甲斐しく世話を焼く。
だが、話の裏にはパスポートがある。パラオ行きを控えた伊織にとって、この回の目的は自分のパスポートを取り戻すことだった。栞を焚きつけるためなら実の妹に「一枚脱いでくれ」と平気で要求する伊織の身も蓋もなさに、「実の妹に何要求してるの」と周囲が呆れる一幕もある。
シリーズおなじみの下衆な発想を、初登場の妹相手にいきなり全開でやるのがこの作品らしい。パスポートという一本の筋を通しつつ、栞の兄への愛の重さを最初にたっぷり見せてくるのが上手い。
ストーカーの影と、張り込みの夜
旅館には、栞に付きまとうストーカーの影があった。警察も来る騒ぎである。心配だから、と伊織は張り込みを計画する。栞の寝床をどうするかでひと悶着あり、結局は千紗の部屋で寝ることに落ち着いた。
「俺たちもしおりを守るため全力を尽くそう。大事な妹のためだからな」——そう言いながらも、伊織の頭にあるのはパスポートの奪還である。「今村君の妹じゃないけどね」という横やりが入るあたりも含めて、思惑は最初から一つではない。
妹を守るという大義と、パスポートを取り返すという下心が同居しているのが可笑しい。ストーカー騒ぎすら奪還作戦の舞台装置として使ってしまう、伊織の抜け目のなさがよく出た場面だった。
変態ドイツ人との、酒飲み対決
飲めなかったのは、甘さのせい
旅館に居合わせたのは、厄介なオタクのドイツ人二人組だった。伊織と耕平は、この二人と改めて酒飲み対決に挑む。結果は伊織たちの勝ちに終わるのだが、その決着の付き方がふるっている。
ドイツ人たちが飲めなかったのは、度数のせいではなかった。「俺らが飲めなかったのは甘さが原因で、度数じゃねえ。俺たちにとってはこっちが酒で、そっちがチェイサーなんだよ」——強い酒を水のように飲む彼らにとって、甘い酒の方が口に合わなかった、というオチである。
酒に無類の強さを見せる面々がそろう、この作品ならではの対決だ。「水」と聞いてスピリタスを連想できなかったのが悔しい、というネットの声も出るほど、アルコールに全振りした世界観が今回も健在なのが可笑しい。
耕平、オタクの同志に出会う
酒で火花を散らした一方で、耕平はこのドイツ人たちと妙に意気投合してしまう。彼らはとあるゲーム——通称「アオスプ」——に心酔するオタクで、同じものを愛する者同士、言語の壁を越えて一気に打ち解けていく。
女性の趣味の話になると途端に反応が鈍る日本の男たちに対し、彼らは好きなもののことなら饒舌になる。サークル仲間と日本にまで来るほどの熱意に、耕平は仲間を見つけたように盛り上がっていった。
いがみ合っていた相手と、共通の「好き」だけで急速に友情を結んでしまう軽さがいい。耕平がオタクの同志に出会えて嬉しそうなのは、視聴者にとっても妙に微笑ましい。
おっとり美人カリーナの、正体
日本の文化に、興味津々
ドイツ人グループの中に、カリーナというおっとりした美人がいた。兄たちが騒がしいのをよそに、彼女は千紗と栞に「日本の文化の話をしたかった」と穏やかに声をかける。
知りたいのは、日常の文化だという。日本人の生活、たとえば温泉の入り方——「タオルは湯船に入れちゃダメ」といったマナーを教わっては、「勉強になります」「素晴らしいです」と感心してみせる。この時点では、礼儀正しく上品な留学生にしか見えない。
一見すると、この作品には珍しい良識的なキャラクターの登場に思える。だからこそ、この後の落差が効いてくる。温泉トークが、露天風呂や雪景色といった無難な話題で進むほど、彼女の「素顔」が見えたときの衝撃が大きくなる仕掛けになっている。
想像の8倍、やばい
ところが、カリーナの正体は想像の8倍やばい変態だった。彼女もまた「アオスプ」に心酔する一人で、千紗と栞の温泉姿を、そのゲームのイベントシーンとして重ね見ていたのだ。
この後のシーンも再現してほしい、と目を輝かせるカリーナは、過去作の濃すぎるドイツ人キャラにも匹敵する振り切れっぷりを見せる。おっとりした物腰の下に、とんでもない性癖を隠していた——その二段構えが、この作品のいつもの手口ながら見事に決まっていた。
良識派に見せておいて実は最大の変態、という配置が上手い。しかも本人はいたって真剣なので、上品な口調のまま繰り出される要求のちぐはぐさが可笑しさを生む。「あのおっとり美人が同類とは」という一同の絶望が、そのまま視聴者の反応になっている。
まとめ——妹を守る兄と、いざパラオへ
パスポート奪還と、格好いい兄
騒動の果てに、伊織の思惑は結実する。変態たちが栞を巻き込んでゲームのシーンを再現しようとするのを、伊織は体を張って阻止する。妹の栞を守るために本気で立ちはだかる伊織は、いつになく格好いい。普段の下衆さを知っているだけに、その落差がずるいほど効く。
その姿を見て、栞も思い直す。兄を引き留めるように握っていたパスポートを、ついに伊織へと手渡すのだ。栞が思い直すための仕掛けとして、変態たちの騒ぎがまるごと機能していた——という構成の妙が、見終わってから効いてくる。奪還作戦は、こうして成功した。
いざ、パラオへ
最後にもう一波乱ある。カリーナが突然「彼と結婚します」と言い出すのだ。伊織と結婚すれば栞が自分の妹になり、日本で暮らして「変態文化」を堪能できる——という理屈で、小さな栞も一緒に、とどこまでも本気なのが可笑しい。
ひと騒ぎを経て、栞は兄を送り出す。「兄さま、パラオ行ってらっしゃい」——こうして伊織はパスポートを取り戻し、いよいよ次回からは舞台をパラオへ移すことになる。妹の登場という新しい顔ぶれと、相変わらずの変態たちを見送って、物語はついに初の海外編へと踏み出していく。




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