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魔界の英傑「十三冠」が集う至高の晩餐会、サーティーン・ディナー。その議題は、デルキラが去って以来ずっと空席だった次代の魔王を、誰にするのか。招かれたイルマが見たのは、三傑の孫であるレヴィアタン・レイヂとベリアール・ベリィ・ラズベリィが、どちらが魔王にふさわしいかで火花を散らす光景だった。新章の幕開けを告げる第17話を振り返る。




十三冠の集い、サーティーン・ディナー
空席の魔王と、失踪する悪魔たち
魔界某所バベルの665階で開かれるのは、魔界の英傑「十三冠」が集う至高の晩餐会、サーティーン・ディナー。今宵も欠席者は多いが、そこへ絶望の羽食い・アンデッドアーチャーの異名を持つバルバトス・バチ子が新たに加わる。
議題のひとつは、魔界で頻発する有力悪魔たちの失踪だ。食王ベヘモルトが行方不明となり、その捜索のために十三冠の座にも空きが出ている。中枢に空席が続けば、緊急時の混乱は避けられない。そんな緊張感の中、サリバンの孫としてイルマもこの席に招かれていた。
名前と異名を聞くだけでワクワクする、いかにも「上位組織」然とした十三冠の登場に胸が高鳴る。物々しい晩餐会に人間のイルマがぽつんと紛れ込む構図も可笑しく、これから始まる大きな物語の予感に満ちた導入だ。
三傑、魔王を決めると切り出す
場を動かしたのは、十三冠の頂点に立つ三傑。すなわちサリバン、レディ・レヴィ、ベリアールだ。「そろそろ魔王を決めようか」という一言に、一同はどよめく。魔王の座は、かのデルキラが去って以来ずっと空位のままだったのだ。
だが三傑は、筆頭候補と目される自分たちの中から選ぶつもりはないという。代わりに掲げられたのは「未来を開く若き悪魔」。次期魔王候補として、三傑それぞれの孫にあたる三名の若き悪魔が推挙される。
大御所同士が権力を争うのかと思いきや、あえて次世代へ託すという切り出し方が意外で面白い。魔界の頂点人事という重々しい議題を、コミカルな空気を保ったまま転がしていくバランス感覚はさすがだ。
どっちが魔王っぽい? 孫たちの口論
総司令レイヂの、傍若無人
推挙された孫のうち二人、レヴィアタン・レイヂとベリアール・ベリィ・ラズベリィが、さっそく「どちらが魔王にふさわしいか」で口論を始める。喧嘩が気になって部屋に入ってしまったイルマは、なぜか二人の“ジャッジ役”に任命されてしまう。
まずはレイヂ。彼が通うのは、祖母レディ・レヴィが学長を務める規律重視の名門・レヴィアロン。だが入学式では新入生代表が2時間遅刻したうえ、悪びれもせず挨拶を始めた。「私は私の規律で動く。よく知らん生徒より、自分の睡眠のほうが大事だ」。今や「総司令」と呼ばれ、「気分じゃないから帰る」と業務を放り出す傍若無人ぶりである。
規律の学園から、規律を一切無視する怪物が育つという皮肉が最高に可笑しい。「誰の言うことも聞かん」と言い切るレイヂのふてぶてしさは、悪魔らしい魅力に満ちていて、登場一発で強烈な印象を残す。
最年少マスタープール、ラズベリィ
対するラズベリィの母校は、祖父ベリアールが学長を務める地底学院ジャカポ。マグマ川に囲まれた66階建てのバトルタワーで、勝負に勝った者だけが上階へ進める無法地帯だ。頂点に君臨する六人は「マスタープール」と呼ばれる。
そのラズベリィ、入学式で「入学したら全員ぶっ潰して、最上層は全部俺が使う。引っ越しの準備よろしく」と宣言して逃走。実際にマスタープールを叩きのめし、史上最年少でその座に就いた、部下1200名を抱えるギャングスターだ。「野蛮と下品を煮込んだような男」と評するレイヂに、「よっ、褒め上手」と返す始末である。
予告どおりに頂点を実力でもぎ取ってしまう有言実行っぷりが痛快。「ウミムシ」「クソ虫」と罵り合う二人の応酬もテンポがよく、タイプの違う問題児が火花を散らす様子は、見ているだけで楽しい。
イルマという“スパイス”
変な子と、低ランクの孫
「どっちが魔王っぽい?」と意見を迫られたイルマは、あろうことか自分のバビルスでの実績を語り始め、「さては変な子だな」とツッコまれてしまう。その天然ぶりが、二人の熱を少しだけ冷ましていく。
そこへ、イルマもまた三傑サリバンの孫であり、魔王候補の一人だと明かされる。だが自分たちより低ランクの少年を「新しいボス」と示された悪魔たちは、当然のように反発。「そんなの納得できねえ」という声が上がる。
殺伐とした魔王争いに、イルマの空気を読まないマイペースさが絶妙な緩衝材として効いている。強者たちの中でおろおろしつつ、いつのまにか場をかき回してしまうのが彼らしく、思わず頬がゆるむ。
三傑の真意=魔王を“育てる”
反発を受け、サリバンが真意を語る。「本来なら優秀な十三冠の中から魔王を選ぶのが順当。だが優秀だからこそ、互いに削り合っては損だ」。今の不安定な魔界に必要なのは、デルキラのような唯一無二の魔王。ならば十三冠から選ぶのではなく、十三冠が総がかりで魔王を育てればいい、と。
「これは教育という名の、未来への希望だ」。この提案に他の悪魔たちも乗り、「うちの部下にも生きのいいのがいる」と我先に候補を推薦し始める。晩餐の締めは、候補者を吟味する十三冠直々の“面接”。禁忌の呪文が飛び出す危険な一幕もあったが、イルマは「久々に魔界の恐ろしさを思い出した」と胸をなでおろすのだった。
「選ぶ」のではなく「育てる」という発想の転換が鮮やかで、物語に一気に大きな枠組みが生まれた。最高幹部である三傑にサリバンが名を連ねていた設定が、ここでぐっと効いてくる構成の妙にも唸らされる。
「英才教育で魔王」まとめと考察
濃すぎる新キャラと、世界の広がり
第17話は、十三冠という魔界の中枢と、その孫である新キャラたちを一気に投入した設定開示の回だった。総司令レイヂ、ギャングスターのラズベリィ。どちらも自己紹介からして濃く、悪魔らしい自由さに満ちている。
有力悪魔の失踪という不穏な伏線も差し込まれ、物語のスケールは確実に一段上がった。歴戦の英傑たちが顔を揃える画の豪華さも含め、新章の始まりにふさわしい見応えだった。
イルマは、魔王になるのか
「十三冠が魔王を育てる」という前代未聞の枠組みの中に、人間であるイルマが候補として放り込まれた。目立たず生きたい彼にとっては最大級の難題だが、行く先々で大活躍してしまう彼のこと、きっとただでは済むまい。
「イルマ様が魔王なら、私は大魔王に」と暴走妄想を膨らませるアリスの姿も微笑ましい。個性豊かな候補たちが競い合う新章が、これからどう転がっていくのか。次回も目が離せない。




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