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動物と話せる忍びの末裔・我妻弐郎が拾ったのは、「黒き凶星」と呼ばれた伝説の物ノ怪・羅睺だった。「俺に関わるな」と突き放す黒猫と、それでも放っておけない少年。追っ手との死闘の果てに交わされた「俺の命、てめえにくれてやる」──公儀隠密局も動き出す第1話「未来は俺等の手の中」を振り返る。




「普通じゃないってのは素敵なこと」弐郎の日常
動物と話せる忍びの末裔
幼い弐郎は「動物と喋るとか普通じゃない、気持ち悪い」とからかわれては喧嘩ばかりしていた。そんな彼に優しい声が語りかける。「普通じゃないってのは素敵なことなんだよ。だってそれは、ジローにしかできないことがあるってことでしょ」「いつかわかるよ、きっと」。この言葉が、第1話全体を貫く芯になっている。
時は現代。高校生になった我妻弐郎は、動物たちのたまり場を荒らすチンピラを空蝉の術でまとめて叩きのめし、「いやー助かったよ。ありがとよジロー」と動物たちに感謝される日々。口は悪いが、頼まれれば断れない。祖父の寿正には「お前に忍の体術を仕込んだのはそんなことのためではないぞ」と雷を落とされ、江戸時代に将軍から賜ったという家宝の忍刀を自慢される。「どうせなまくらの骨董品だろ」と軽口を叩けば、身をもって思い知らされるのがお約束だ。
傷だらけの黒猫、その名は羅睺
カラスの知らせ
夜、カラスが「裏の林に猫が」と知らせに来る。弐郎が見つけたのは、傷だらけで倒れた黒猫。手当ての甲斐あって目覚めた猫と、当たり前のように会話が成立してしまい、驚いたのはむしろ猫の方だった。「会話できる人間なんて初めて」「妖気は感じねえ。人間なのは間違いねえ。とすれば、まさか」。
警戒して出てこない相手を「据え膳食わぬは男の恥って言うだろうが」と餌で釣り、「猫が一丁前に男を語ってんじゃねえよ」と返され──まんまと餌に釣られた黒猫は名乗る。「俺は猫じゃねえよ。俺の名は羅睺。悠久の時を生きる物ノ怪だ」。
眠りから叩き起こされた「黒き凶星」
羅睺の回想は不穏だ。「羅睺よ、黒き凶星よ。長き眠りから覚め、我らに力を貸せ」と勝手に封印を解かれ、「俺は誰にも力なんぞ貸さねえよ」と蹴ったところを寄ってたかって袋叩きにされた。「俺は嫌いなんだよ。他人の力をあてにして、群れて意気がってる奴らがな」。物ノ怪は普段、人間や動物の姿で何食わぬ顔で町に生きているという。
荒唐無稽な話にも、弐郎は動じない。「別に信じられねえってわけじゃねえぜ。動物としゃべる人間がいるんだぜ。物ノ怪がいても不思議じゃねえだろ」「変な野郎だなお前」。似た者同士の凸凹コンビが、早くもここで出来上がっている。
風呂と、ナチの思い出
「私以外にも手を貸してあげてね」
傷の癒えた羅睺を、弐郎は風呂に放り込む。ここが話題の「ガッツリ裸」シーンである。湯船で弐郎が語るのは、昔うちにいた犬・ナチの思い出だ。白くて大きくて、「まるでばあちゃんみたいに優しいやつ」。いじめられて泥まみれで帰った日には「私の汚れと一緒に、嫌な気持ちも洗い流しちゃいな」と風呂をせがみ、こう続けた。「ジローがいてよかった。おかげで好きなときに洗ってもらえるからね。でもせっかくだから、私以外にも手を貸してあげてね。それはきっと、ジローにしかできないことだから」。
冒頭の言葉の主はナチだったのだ。弐郎のお節介の原点がここにある、丁寧な回想だった。
「これ以上俺に関わるな」
すれ違う夜
だが羅睺は、力も戻らぬまま黙って出て行こうとする。変わり身の術で追いついた弐郎と、夜道で口論に。「お前を助けてやったのは俺だろうが」「助けてくれなんて頼んだ覚えはねえよ。だいたい俺は、別にあのまま死んだって構わなかったんだよ」。問い詰める弐郎に、羅睺は牙を剥く。「忘れてたわけじゃねえだろう。俺は物ノ怪、人を食う化け物だ。てめえとは住む世界が違うんだよ。これ以上俺に関わるな」。
その頃、雑木林に残された血痕から羅睺の痕跡を掴んだ組織があった。公儀隠密局。現場の鬼子母神一華が「間違いない、羅睺よ」と報告し、捜索部隊が再編される。少年と物ノ怪の夜に、複数の思惑が迫りつつあった。
「てめえが俺を食え」命の受け渡し
三下に牙は売らない
そこへ、封印を解いた一味の物ノ怪が追いつく。「悪いことは言わねえから一緒に来い。俺たちもお前の封印解くのに結構苦労したんだぜ」「仲間だと? 笑わせんじゃねえよ。てめえらは俺の力が欲しいだけだろうが。そんなに欲しいなら力づくで奪ってみろよ」。決裂した瞬間、割って入ったのは弐郎だった。「てめえが死んだら、俺は助け損になっちまうだろうがタコ」「誰かを助ける理由に、下るも下らねえもねえだろ。お前を助けたのは俺なんだ。それを中途半端に放り出せっか」。
家宝の忍刀と体捌きで食い下がり、「あそこから切り返すとは、さすが忍びの血筋だ」と言わしめる弐郎。だが力の差は歴然で、致命傷を負ってしまう。敵は嗤って羅睺に持ちかけた。「そいつはお前にやるよ。随分と食ってないんだろ」「黙れ。殺すぞ」。
「俺の命、てめえにくれてやる」
羅睺の選択が、この第1話のクライマックスだ。「確かにてめえを食えば、俺の力は回復するだろう。だが俺は食わねえ。あんな三下に従うなんて癪だからな。だから代わりに──てめえが俺を食え。てめえには借りがある。それを今返すぜ」「俺の命、てめえにくれてやる。目ぇ覚ませ、ジロー!」。
羅睺と一つになった弐郎は、圧倒的な力で追っ手を迎え撃つ。「よりにもよって忍びの人間に力を与えるなど」と敵が戦慄する、本作屈指のバトル作画の見せ場だ。「一つになったって何だよ」「今は奴を殺すのが先だろうが」という噛み合わない相棒の掛け合いも既に板についている。
「歴とした、ただの公務員だよ」公儀隠密局
拘束、そして「要」
戦いの後、現場に現れたのは公儀隠密局の面々。組み伏せてくる一華に「なんだ、女?」と軽口を叩けば「動くな。しゃべるな」。「俺たちは物ノ怪じゃない。我々は公儀隠密局、歴とした、ただの公務員だよ」「名も知らぬ少年、現時刻をもって君を拘束する」。抵抗する間もなく、弐郎はツボ押しで昏倒させられてしまう。
「万一にも死なれちゃ困る。何せこいつは要だからな。俺たちにとっても、物ノ怪にとっても」。弐郎の身柄をめぐる不穏な引きで、第1話は幕を閉じた。
反響 「お手本のような第1話」
SNSでは、丁寧な導入と序盤からフルスロットルのバトル作画への称賛が目立った。作者が放送当日に公開した約10年前の第1話ラフも話題に。一方で既視感を指摘する辛口の声もあり、掴みの評価は分かれ気味。そんな中で異様な存在感を放っていたのが、戦闘員・一華の太ももとお尻に関する言及の多さである。今後の「太もも戦闘」に期待が集まっているようだ。




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