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シルバーの仮面を外した瞬間を、よりによってフィーネに見られてしまう。厳重に守ってきたはずの秘密はあっさり崩れ、しかも事態は、危険視したはずの令嬢に丸め込まれる方向へ転がっていく。第四勢力、送り込まれた交渉役、そして「帝都でデート?」。今回アルノルトが本当に手を焼いた相手は




バレた秘密——仮面を外した、その瞬間
厳重に守ってきたものが、あっさり見られる
第2話は、シルバーが部屋に戻って仮面を外すところから始まる。そこにたまたま居合わせてしまったのが、フィーネだった。
これまで厳重に、何よりも優先して守ってきた秘密である。それがこんなにもあっさりと、事故のような形で見られてしまう。気落ちするアルノルトの様子が、妙に人間くさくて可笑しい。
しかもフィーネは聡い。シルバーとアルノルトが同一人物だと分かった途端、これまでのやりとりの意味を遡って全部把握してしまう。隠していた前提が崩れると、過去の会話まで一気に読み解かれてしまうわけだ。
危険視したはずが、なぜか丸め込まれている
当然、アルノルトは秘密を知ったフィーネを危険視する。暗躍で生きている男にとって、秘密を握った相手は真っ先に処理すべき問題だ。
ところが、である。フィーネは天然のお人よしで、悪意というものがまるでない。気づけばアルノルトのほうが、なにやら丸め込まれてしまっている。
帝国中を欺いてきた策士が、ひとりの令嬢の善意に押し切られる。この第2話でいちばん最初に起きた敗北が、これだ。
第四勢力と、差し出された令嬢
クライネルト公爵家が、レオナルトの後ろ盾に
アルノルトの暗躍と根回しが実を結び、クライネルト公爵家はレオナルトの後ろ盾につくことになる。第四勢力の誕生である。
そして公爵は、第四勢力の人手についてアルノルトへ提案を持ちかける。アルノルトのほうも、信頼できる人間が必要だと考えていたところだった。
ところが公爵が差し出してきたのは、実の娘であるフィーネだった。困惑するアルノルト。話が早いにも程がある。
血が流れる、と念を押しても
馬車で出立する道中、アルノルトはフィーネに念を押す。これは血が流れる事案だ、と。物見遊山ではないし、覚悟のない人間が関わっていい話でもない。
それでもフィーネは自信ありげだった。この揺るがなさが強みなのか、それとも危うさなのか。現時点ではまだ分からない。
帝位争いの地図と、寝返った男爵
「シルバーと知り合いなのか、兄さん」
合流したレオナルトは、兄がシルバーと知り合いだと知って驚く。あの伝説の覆面冒険者に、会ってみたいと言い出す始末だ。
対するアルノルトの返答は、警戒しろ、である。自分自身のことを警戒しろと弟に諭す羽目になっている。この兄弟のねじれ具合が、そのまま作品の面白さになっている。
三つの勢力と、いない第一皇子
アルノルトはレオナルトにフィーネを紹介する。役割は交渉役だ。
そのフィーネが、レオナルトに帝国の内情を尋ねる。返ってきたのは、第二皇子、第三皇子、第二皇女がそれぞれ勢力を広げ、帝位を狙っているという構図だった。
第一皇子さえいれば帝位は問題なかった。だが、今はいない。だからこそ、レオナルトに帝位についてもらうのが最善である——というのが、この陣営の出発点になる。
そこへ侍女がレオナルトに手紙を持ってくる。ゴルマン男爵が、ゴードン兄さんに引き抜かれたという知らせだった。話し合っている間にも、盤面は動いている。
帝都でデート?——すべてセバスチャンの差し金
逃げ道を、ひとつずつ塞がれる
二日後、フィーネがアルノルトに帝都を案内しろとせがみ始める。アルノルトの返事は、目立たないようにしたら考える、という体のいい先送りだった。
ところが次の瞬間、フィーネはあっさり目立たない格好で現れる。セバスチャンの差し金である。
ならばと、アルノルトは護衛がいないことを理由に断ろうとする。するとフィーネは言う。アルノルト様が一緒なら大丈夫だと、セバスチャンが。
助けを求めていつもの場所を見ても、セバスチャンはいない。完璧に逃げられている。逃げ道を一つずつ潰されたアルノルトは、ついに折れる。暗躍の天才が、自分の執事の策には一度も勝てていない。
アル様、と呼ばれる
こうして始まった帝都散策。歩いているうちに、フィーネからの呼び名が自然と「アル様」になっていく。この距離の詰まり方が、実に彼女らしい。
ベンチに並んで二人で食事をとり、広場で遊ぶ子供たちを眺める。かつては自分もああして遊んでいた——という記憶がよぎるが、アルノルトにとってそれは、どこか苦い。楽しいはずの街歩きの合間に、こういう影が一瞬だけ差し込まれる。
水しぶきと、洋服店
その広場で遊んでいた子供たちが、はずみでフィーネに水をかけてしまう。濡れた服が透け、二人そろって赤面する羽目になる。
慌てて駆け込んだ洋服店で、フィーネは着替えることになるのだが、出てきた姿がまた眩しい。ついでに店主から「デート」と言い当てられ、二人してどぎまぎする。
暗躍だの帝位争いだの言っていた男が、洋服店の店主に翻弄されている。サブタイトルの「帝都でデート?」は、疑問形なのに完全に肯定形だ。
ホルツヴァート侯爵家のドラ息子
嫌味、罵詈雑言、そして杖
日が暮れ始め、そろそろ帰ろうという頃。フィーネが小物店を見たいと言うので、アルノルトはそれを許す。
そこで声をかけてきたのが、ホルツヴァート侯爵の息子、ギード・フォン・ホルツヴァートだった。見るからに貴族のドラ息子という風貌で、御付きの二人まで同じ髪型という念の入れようである。
ギードはアルノルトに嫌味を浴びせ、見下し、罵詈雑言を並べ、あげく杖で殴りつけてくる。出涸らし皇子と侮られるというのが、具体的にどういう扱いを受けることなのか。ここで初めて、暴力として画面に出てくる。
フィーネが名乗った瞬間、縮み上がる
見かねて割って入ったのはフィーネだった。ギードは彼女を従者か何かだと思い、まとめて見下しにかかる。
ところがフィーネが名乗った途端、ギードは急に小さくなる。クライネルト公爵家の令嬢、蒼鴎姫である。格が違いすぎた。
さらにフィーネは機転を利かせ、この方はレオナルト様だと言ってのける。レオナルトと知るなりギードはすっかりしおらしくなり、そそくさと退散していった。
つまりこの場を収めたのは、アルノルトではなくフィーネである。皇子を助けたのは、皇子の暗躍ではなく、令嬢の咄嗟の一手だった。
暗躍しづらくなるので、やめてほしい
騒ぎが去ったあと、アルノルトはフィーネを諭す。ああいうことはやめてほしい、暗躍しづらくなるから、と。出涸らしと侮られている状態こそが彼の隠れ蓑なのだから、庇われては困るのだ。
それでも、気遣ってくれたこと自体には礼を言う。叱ってから礼を言うこの順番に、この男の不器用さが出ている。
そして、今度は二人とも変装して出かけよう、と続く。断り続けていたはずが、次の約束をしているあたり、もう完全に丸め込まれている。
数日後、珍しくレオナルトと一緒に、アルノルトが会議に出席する。そして王座の間へ足を踏み入れたところで、第2話は幕を閉じる。ここまでが助走で、争いは次回からということだ。




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