『正反対な君と僕 第2期』第21話「過去と今」感想|過去はブレーキにならなかった

『正反対な君と僕 第2期』第21話「過去と今」感想|過去はブレーキにならなかった ラブコメ

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第21話の副題は「過去と今」。平への想いを自覚した東が、浮き立つ気持ちを抑えながら過ごす回である。ところが過去を持ち出すのは東と平の二人とも同じで、使い道もそろって「今の気持ちを止めるため」だった。東は冷静になろうとして平の中学の卒業アルバムを開き、平は自信のなさの根拠に昔振られた記憶を持ち出す。そして二つとも失敗する。東のブレーキは逆向きに効き、平のブレーキは本人の口から偽物だと暴かれてしまう

アニ
2期21話、副題は「過去と今」でござる!
ラン
東さんが平くんへの気持ちを自覚しちゃった回なのね!
キャロ
はい。冷静になろうとして中学の卒業アルバムを開くのですが、逆効果でした。
アニ
平くんのほうは振られた過去を言い訳に使って、自分でバラすでござる!

「なんだ、東か」だけで全部が吹き飛ぶ

マイナスを消したのは、何でもない一言だった

冒頭は東の独白から始まる。「ちょっとしたことで勝手に落ち込んだり」「勝手にムカついたり」「マイナスな気持ちになることが多いのに」と自分の状態を並べたところへ、平の「なんだ、東か」が入る。それだけで「ちょっとしたことで全部吹き飛んで」となり、答えが置かれる。「好きだからだ」

この作りが上手い。落ち込む材料も苛立つ材料も、全部平がらみで積み上がっていた。それを打ち消したのが告白でもやさしい言葉でもなく、名前を確認しただけの一言である。効きすぎているから、自覚するしかなかったという順番になっている。

結論だけ出て、行き先が空っぽ

ところが自覚の直後に続くのが「好きだと自覚してしまったものの」「何が変わるわけでもなく」「別にどうするわけでもない」「どうしたいとかもない」だ。理由は「だって受験生だし」「そんなこと考えてる場合じゃないし」。恋の話をしていたはずが、いつの間にか受験の話に着地している。

それでも体のほうは言うことを聞かない。「思ったより全然世界キラキラしないな」「それでも気持ちがふわふわして落ち着かん」と言い、さらに「ていうか今更だけど、二人で並んで歩いてるのって人からどう見えるんだろう」と気にしはじめて、自分で「マジで今更」と突っ込む。ずっと隣を歩いてきた相手なのに、今日から見え方が変わってしまっている。

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TVアニメ『正反対な君と僕』
第21話「過去と今」ご視聴ありがとうございました!
東の決意とピュアな涙が胸を打つ21話でした…✨
#正反対な君と僕 #阿賀沢紅茶 #ラパントラック

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避けるために選んでいた車両を、一人のために変えていた

空いている車両に詳しすぎた

帰りの電車で、二人は空いている車両へ移る。人が乗ってこないのを不思議がる東に、平は乗り換えの改札から遠いからだと説明する。感心した東が「詳しいな」と言うと、平の口から出てしまうのが「もともとこっちの車両乗ってたから」だった。

この一言で全部が割れる。平の通学は、北改札からホームの端を歩いて一番後ろの車両に乗る形で、理由は知り合いに会わないためだった。第16話でわざわざ描かれていた設定である。人を避けるために選んでいた車両を、彼はいつの間にか降りていた

バレたのは好意ではなく、合わせていたこと

平が慌てて「避けてたことバレる」と焦り、東は「私に合わせて車両変えてたってこと?」と受け取る。ここで露見したのは好きだという気持ちではない。誰にも会いたくなかった人間が、一人のためだけに毎日の乗る場所を変えていたという事実のほうだ。

告白より重い情報が、雑談のついでに落ちている。しかも本人はそれを意図して明かしたわけではなく、空いている理由を親切に説明した結果である。この回でいちばん雄弁だったのは、二人の台詞ではなくどの車両に乗るかという毎日の選択だった。

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#正反対な君と僕 21話
ポニテ西さん可愛い!
そしてタイラズマ!お互いもう確信しつつまだ次回続くのか〜でも尊いー!!

#アニメ好きと繋がりたい

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冷静になるために開いた卒アルが、逆に効く

「受験生って恋愛してる暇あると思う?」から始まる相談

東は自分の勢いに参っている。「自覚しないよう今まで変に蓋をしてたせいなのか」「認めた途端勢いが止まらん」と言い、とうとう「助けて」まで出る。友人に何かあったのかと聞かれた瞬間の「聞いて」の食いつきの早さも良い。

切り出しが「受験生って恋愛してる暇あると思う?」で、返ってくるのが「ないと思う」。あまりの即答に固まってから、名前は伏せたまま相手の説明が始まる。その中身が「あんまり私に興味関心なさげなくせに」「なんかこうたまに私にだけ心開いてるって思う瞬間があったりして」「わーってなるんよー」だ。自分がいちばん好きな部分を挙げているはずなのに、聞かされた側の感想は「付き合ったら苦労しそう」になる。名前を出さずに説明すると、平はそういう男に聞こえてしまう

自分で言った「片思い」に、自分で驚く

この場面の白眉が次だ。誤解を解こうとした東が「全然そんな段階じゃない」「私の片思いだし」と言い、その直後に自分で「片思い?」と驚く。「なんで自分でびっくりしてんだよ」と突っ込まれて返すのが「いや、なんかそういうスタート新鮮で」である。

第19話で、東は自分の恋愛をこう振り返っていた。今まではもう最初から始まっている感じで、近づかれている時点でそういう空気で、なんならその最初の空気感が一番楽しいくらいだった、と。いつも好かれる側から始まっていた人が、初めて自分の側から始めている。片思いという言葉が本人にとって新鮮なのは、それが本当に初めてだからだ。恋の自覚を描く回で、いちばん驚いているのが本人だという作りになっている。

ところが相談は着地しない。告白という選択肢が出たところで「やっぱ保留」「自己解決すまん」と自分で引き取ってしまう。助けを求めた側が、助けが届く前に一人で片づけてしまうのがこの人の癖だ。第19話でも、考えても答えが出ないからと考えるのをやめるところまで行っていた。今回は結論のほうが先に出ているぶん、先送りの居心地が前より悪い。

過去の写真は、ブレーキにならなかった

そこで東が打った手が面白い。「今なら後戻りできるはず」と考え、「中学の卒アルを見て一旦冷静になろう」と決める。今の平がかっこよく見えるなら、まだ垢抜けていない頃の平を見れば熱が下がるはずだ、という理屈である。

結果は正反対だった。顔が丸いだの、一人だけ背景も光の当たり方も違って別撮りだっただの、さんざん突っ込んだ末に出るのが「全然かわいい」で、締めが「終わった」である。冷ますために持ち出した過去が、火に油になっている。副題の「過去と今」は、まずこの形で顔を出す。

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#正反対な君と僕 21話

恋に目覚めて浮かれる東が可愛い
頑張って冷静になろうとしてるの面白い

平も東のことは意識しつつ、まだ劣等感の壁を越えられない。わかるー!
(あの人が自分のこと、好き…?)って相手が高嶺の花だと自信持てないよねぇ

甘酸っぱい良きものを見せてもらいました☺️

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最後の文化祭に、ビックリマークはついていない

副題二十一本を並べて分かること

場面は高校最後の文化祭に移る。文化祭が話の中心に来るのは二度目で、前回は第6話の「文化祭!」だった。公式サイトに並ぶ副題を第1話から二十一本そのまま数えると、この作品の作りが一目で分かる。

感嘆符がつくのは「初デート!」「文化祭!」「サプライズ!」「修学旅行!前編」「修学旅行!後編」の五本で、いずれも第11話までに集まっている。第12話から今回までの十本には、感嘆符が一つもない。同じ文化祭を扱いながら、今回の題は「過去と今」だ。行事の名前で呼べた頃と、時間の名前でしか呼べなくなった今が、副題の並びだけで分かれている。

抜け出してきて、写真を一枚

文化祭の東の行動が分かりやすい。当番中の平のところまで来て「なんとなく、ちょっと抜け出してきた」と言い、「あのさ、一緒に写真撮らん」と切り出す。理由が「だって、平、ずっと誰かと一緒にいたし」で、ずっと見ていたことを自分でばらしている。

撮り直しになって「かがんで」と言われる背の差も、平の「文化祭っぽさあんまないけど、いいんか?」という気遣いも、東の「いいのいいの! ありがとう」も、どれも恋人の会話ではない。友達のままできる範囲を、ぎりぎりまで使い切っているのがこの回の東である。

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正反対な君と僕
第21話観てましたか。
@seihantai_x
#正反対な君と僕

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卒業後の話が、隣にいた二人を別々に沈める

公式あらすじが名指ししているのは谷の表情

同じ文化祭の場で、鈴木が嬉しそうに先の話をする。「志望校の場所が近くなって嬉しいな」「もしお互い本命受かったら大学近いし」「卒業後もいっぱい会えるね」「それまで頑張ろう」。返る言葉は短く、公式あらすじはここを「谷はどこか浮かない表情をしていて」と書いている。

前回の谷は、決めていた道が本当に自分で選んだものか分からなくなったところで話が止まっていた。近くなったのは志望校の場所であって、迷いが晴れたわけではない。鈴木の「それまで頑張ろう!」は、目標が決まっている人にしか効かない励ましでもある。

同じ一言が、もう一人にも刺さっている

面白いのは、この台詞がもう一度使われることだ。文化祭が終わったあと、平の頭の中で「もしお互い本命受かったら、大学近いし、卒業後もいっぱい会えるね」がそのまま鳴る。自分とは無関係な、他人のカップルの予定である。

つまりひとつの明るい報告が、その場にいた二人の男を別々の理由で沈めている。谷は自分の進路が理由で、平は東との縁が切れる予感が理由で。公式あらすじが谷の表情しか書いていないぶん、平のほうは視聴者が気づく作りになっている。

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一度“好き”って認めたら、気持ちが止めどなく溢れちゃうのも、好きな人の位置を常に意識するのも、実は自分に心を許してるんじゃないかとすぐ深読みしちゃうのも、一見欠点に見えるところがすべて愛おしくなるのも…

全部全部、初恋を思い出して胸が苦しい

#正反対な君と僕 21話

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材料は全部、他人の口から出た言葉だった

三つ並べて、一つの結論に行き着く

平が「東が自分を好きかもしれない」にたどり着く場面は、引用の並べ方でできている。鈴木の「卒業後もいっぱい会えるね」、友人たちの「平のこと好きな子、普通にいそうよな」、そして東の「だって、平、ずっと誰かと一緒にいたし」「ありがとう」。この四つが順に鳴って、結論が出る。

ここで効いているのは、材料が一つも自分の観測ではないことだ。しかも最初の一つは自分の話ですらない。自己評価の低い人間が自分を好かれていると思うには、他人の言葉をこれだけ積まないと足りない。直後の「そんなことありえるか?」「いや、勘違いじゃね?」という打ち消しも含めて、順番が丁寧である。

嬉しいのに泣きたくなる、が二度出る

そのあと平の中で反芻されるのが、東の何でもない台詞だ。「当たり前のように言われたことが、ただ嬉しかった」と言い、続けて「苦しいでも、感動してるでもないのに、なぜか泣きたくなって」と自分でも説明できないでいる。感情に名前がつかないところを描くのは、第19話で東がやったことと同じ形だ。

二度目は夏の夜の空気で来る。「夏の夜って、なんかテンション上がらん?」という東の一言と、それに同意した自分の返事を思い出して、「分かるのに」「なぜかやっぱり、泣きたくなる」。この作品はかつて第4話の副題で、その感覚に「夏の夜のバイブス」と名前をつけていた。名前がついていた頃の会話を思い出して泣きそうになるのだから、これも過去と今の話である。着地は「ただ、このままでいい」「このままがいい」「と、思ってしまう」だった。

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#正反対な君と僕 21話

これでもか!!ってぐらいタイラズマ回。好きが止まらない東にとうとう平が…!?
史上1番卑屈な”アイツ、俺のこと好きなんじゃね?”からの恥ずかしさが隠せない平、可愛い
「とことん待つしかない」
「隠し通してやる」
これはもうピュアじゃんね……

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言い訳に使った過去を、自分でばらしてしまう

ブレーキの正体が偽物だった

この回の芯は平の長い独白にある。「このまま避け続けても、変な感じになるだけだ」と認めたうえで、「好きか嫌いか二択だったら、そりゃもちろん」と気持ちの側は片づける。問題はその先で、彼が出すのが「俺は、付き合える自信がない」という結論だった。

ところが本人が即座に否定する。「違う」「これは言い訳だ」「また後付けで過去を持ってきてるだけで」「かわいそうな自分でいるために」「都合よくトリミングした言い訳用の記憶だ」止めるために出した過去が、自分の手で偽物だと暴かれる。東の卒アルが逆向きに効いたのと、失敗の仕方がちょうど裏返しになっている。

振られたときに何がショックだったのか

暴いた先が容赦ない。「アプローチされてた時は、あんなによく見えたのに」「振られた途端」「俺は縁が切れたことじゃなくて」「自分ががっかりされたことにショックを受けていた」。相手を失ったことではなく、自分の評価が下がったことに傷ついていた、という自己診断である。

そして今の気持ちにも同じ疑いを向ける。東の優しさを心地よく感じていることまで含めて「どれも全部」「恋愛じゃなくて」「自己愛だ」と切り捨てる。行き着く先は「歩み寄ること」「自己開示」「人が普通にできてることが、自分にはできる気がしない」で、結論が「付き合える自信がないんじゃない」「問題なのはもっとそれ以前」だ。恋愛の手前で詰まっていると分かってしまったぶん、この回の平は前より苦しい場所にいる。

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#正反対な君と僕 21話

お互い好きだから付き合う
とか、そんな単純じゃねぇんだよ!

と言わんばかりのモノローグ合戦。
恋に恋してない東
可能性を感じつつもトラウマに縛られる平

迂闊な一手で関係崩壊するくらいなら現状維持という“守り”も、互いが互いを大切に思ってる形の一つか?
と。

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まとめ、二度目の車両変更と、声になった一行

逃げても終わると分かって、逃げている

終盤、久しぶりに電車が重なった東が「平、乗る車両また変えた?」と聞く。答えは「早めに学校行って勉強してた」で、嘘ではないが答えでもない。合わせるために変えた車両を、今度は離れるために変えているわけだ。

本人はそれで解決しないことも分かっている。「関係を変えたくない」「踏み込んでも逃げても、繋がりが終わるだけ」「どうしたらいいのか」「自分がどうしたいのか」「答えが出せん」。分かったうえで逃げているところまで書くので、この主人公たちは救いがない代わりに嘘がない。

心の中だった一行が、本人に向かって出る

締めは東の誘いだ。「受験終わったらどっか行かん?」と切り出して、言った直後に自分でうろたえ、「みんなで遠出してみたくない?」と人数を増やしてしまう。理由として並べるのが「みんな進学先バラバラだし」「平も遠くの大学行っちゃうなら、会う機会減るじゃん?」である。

この回の冒頭、あらすじ代わりに流れる回想の中に「会う理由なくなるじゃん」という東の心の声が入っていた。同じ回の始めに独り言だったものが、終わりでは本人に向かって声になっている。二人で行こうと言えなかった代わりに、いなくなるのが怖いという理由のほうは口に出せている。

受け取った平の結論は「もしかして、最近距離近く感じたのって、ただ卒業まであとちょっとだから、思い出作り的なやつで」となり、「東が俺を」「ありえねえだろ」で終わる。安心した顔を見た東の側も「露骨に安心しやがって」と読み違えて、二人そろって相手にその気はないと結論する

それでも東は引かない。「相手にその気がないなら、もう、とことん待つしかない」「今までみたいにまあいいかで終わらせたくない」と決めて、最後に置くのが「今自分にとって一番嫌なのは、この縁が切れることだ」だ。平が過去を語るときに使った「縁が切れた」という言葉が、今度は東の口から今の話として出てくる。同じ一語で過去と今が並ぶのだから、副題の仕事はこれで終わっている。動いていないのは関係だけで、二人の中身は今回でかなり進んだ。

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#正反対な君と僕 21話
東こんだけ美人なんだし自己評価の低い平が「東が自分に気があるかも」って可能性に気付いても、否定しちゃうのも無理ないかも
そんな平を東はハシビロコウよろしく待ち続けるみたい
両片思いはまだまだ続きそうだね

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アニ
21話、二人とも過去を持ち出して二つとも失敗したでござるな!
ラン
東さんの「とことん待つしかない」が効いたのね!
キャロ
平くんの「問題なのはもっとそれ以前」も痛かったですね。
アニ
合わせるために変えた車両を、今度は離れるために変えるでござる!

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