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ジェフリーは兄エドワードと、伯父バーナードの65歳の誕生会へ。そこで再会したのは、伯父が雇った有能すぎるメイド、元工作員のビクトリアだった。一晩で文献を翻訳し、気難しい伯父まで骨抜きにする彼女に、ジェフリーはノンナも交えた三人でのピクニックを持ちかける。スパイ時代には得られなかった“本物の楽しい”を少しずつ知っていくビクトリア。だがCパートでは、元上司ランコムが彼女の生存を疑い始める不穏な影が差していた。




兄弟の会話と、ヨラナ家の離れ
「かわいそうな被害者扱いはやめて」——ジェフリーとエドワード
第2話は、ジェフリーが兄エドワードと交わす会話から。珍しく洒落た格好で女性と出かけた弟を、エドワードは嬉しそうに冷やかす。ジェフリーは「この国に来たばかりの外国人女性と、彼女が保護した6歳の少女との三人で楽しく食事をした」と打ち明けつつ、「いつまでも私をかわいそうな被害者みたいに扱うのはやめてくれ」と、過去の傷に触れる兄を静かに制する。
誠実な人柄で知られる第二騎士団長ジェフリーだが、その胸には愛を遠ざけてきた過去がある。美しい兄弟のやり取りの端々に、彼が抱える翳りがのぞく。ネットでも「ジェフリーの過去が気になる」と話題を呼んだ場面だ。
ひったくりの縁で、ヨラナが貸した離れ
時を少し遡る。先代ヘインズ伯爵未亡人ヨラナは、ひったくりを捕まえてくれた礼と、身寄りのないノンナを保護していることへの感謝から、ビクトリアに屋敷の離れ(台所・浴室付き)を破格の家賃で貸す。所作の優雅さと、隅々まで完璧に整えられた契約書に、ヨラナはすっかり彼女を気に入ってしまう。
こうしてビクトリアは、ノンナと共にヨラナの離れで暮らしながら、歴史学者バーナードのもとで“女中兼ハウスメイド”として働き始める。好条件の住まいと仕事を、元工作員の器用さで着実に手に入れていく。まさに「タイトルに偽りなし」の“手札の多さ”だ。
バーナードの誕生会——再会と紹介
一晩で翻訳、子羊のロースト——伯父を骨抜きにする有能さ
ビクトリアの有能ぶりは規格外だ。預かった文献を一晩で翻訳し(四カ国語に堪能)、埃まみれだった書斎を学者らしく生まれ変わらせ、頼まれれば子羊のローストまで完璧にこなす。あの尊大で気難しいバーナードが「実によくわかっている」と唸り、妻を亡くして以来の楽しい食事だと目を細めるほど。姪のエヴァは「3人分は働いている、4倍の給料でもいい」と絶賛する。
ちなみにビクトリアは、バーナードが延長料金を払おうとしても「ノンナに私以外の人との食事の経験をさせてもらうので」と頑として受け取らない。損得ではなくノンナのために動くその姿に、視聴者からも「オールワークスメイド!?」「まじ有能」と驚きの声が上がった。
誕生会でエドワードに“食事の相手”を紹介される
そのバーナードこそ、ジェフリーとエドワードの伯父。65歳の誕生会で甥のジェフリーはビクトリアと再会し、二人が例のひったくりの一件で知り合った“食事の相手”同士だと、エドワードにも知られることになる。ビクトリアがノンナをおんぶしたまま足払いでひったくりを取り押さえた武勇伝には、エドワードも「怖いもの知らずだ」と舌を巻く。
誠実でありながら、どこか押しの強さものぞかせるジェフリー。演じる阿座上洋平さん、兄エドワード役の小野大輔さんの掛け合いも含め、この兄弟のシーンは繊細な魅力にあふれていた。
三人のピクニック——取り戻していく「楽しい」
また食事を、そしてピクニックへの誘い
誕生会のあと、ジェフリーは残ってビクトリアに切り出す。「前回の三人での夕食が楽しかったから、また一緒に食事をしたい」。「貴族の方と親しくできる人間ではない」と一歩引くビクトリアに、ジェフリーは「俺は次男で家を継がない。身分を難しく考える必要はない」と食い下がる。
「今はノンナを育てるのが一番の目標」という彼女に、ジェフリーが返した提案が「それなら三人でピクニックに行かないか」。ノンナが目を輝かせてしまい、ビクトリアも「お弁当を持って行きましょう」と応じる。押しの強さの奥に不器用な優しさをにじませる団長の姿に、もう少し深みが見たいという声も含め、期待が高まる。
的当て・木登り・サンドイッチと、ジェフリーの心境
そして迎えたピクニックが、この第2話の白眉だ。ノンナは的当てを全部命中させ、木登りに挑戦し、ビクトリアお手製のサンドイッチをほおばる。「おてんばな子供だったもので」と、貧しい家に生まれ料理人としても働いた過去をのぞかせるビクトリア。「危ないことを全部遠ざけていたら、守られるだけの女になってしまう」という彼女の言葉に、ジェフリーは「そんなことを言う女性は初めてだ」と驚く。
ジェフリーの内心も丁寧に描かれる。「工作員時代なら情報のために笑ってみせる場面だが、今の自分はどんな顔をしていただろう」。誰かを好きになったことも、本物のピクニックもできなかった。欠けている部分を埋めていくのも、新たな手札を増やすのも面白い。スパイ時代には得られなかった“等身大の楽しい”を、二人は確かに取り戻していた。
王家の夜会と、忍び寄る影
「かわいそうじゃないのよ」ノンナとビクトリア
さらにジェフリーは、王家主催の夜会へビクトリアを誘う。ドレスも装飾品も用意するから、隣で親しげにしてほしい。しつこく縁談を持ち込む上司を諦めさせる“虫除け役”だという。ヨラナが「一晩ならノンナを預かる」と背中を押し、話はマナーのレッスンへと進んでいく。
その夜、寝つけないノンナが漏らした本音が、この回で最も胸を打つ。「ビッキーがかわいそうって言われたのが嫌だった」。ノンナは自分のためではなく、ビクトリアがそう言われたことに傷ついていたのだ。ビクトリアは優しく返す。「私はノンナと暮らすのが楽しいの。ちっともかわいそうじゃないのよ」。互いを思いやる二人の絆が、さりげなく、しかし確かに描かれた名場面だった。
虫除け役の依頼と、ランコムの疑い(Cパート)
穏やかな日々の裏で、物語は不穏さも忘れない。Cパートでは、かつてビクトリアを工作員クロエとして育てた元上司ランコムが、彼女の“死”に疑いを抱き始める。「死体は見つからず……君はもしかして、生きているんじゃないか」。
隠し事を抱えたまま新天地で生活基盤を築くビクトリアにとって、安寧はまだ遠い。「波乱の気配はいらない」という声が出るほど心地よい日常だからこそ、この影がいっそう際立つ。等身大の幸福と、前世ならぬ“前職”の亡霊。その両輪で進むこの作品の魅力が、しっかりと立ち上がった第2話だった。




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