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レイドクエストの功績でE級冒険者へ昇格したエルマ。重騎士の完成形獣騎士への鍵となる最重要スキルブック燻り狂う牙を求めて闇店・破れた魔導書堂へたどり着くが、提示された値段はまさかの5000万ゴルド。金策を考え込むエルマの前で、路地裏では一人の少女が理不尽に追放されようとしていた。第5話「燻り狂う牙」を振り返る。




E級昇格と、売買禁止の壁
次の目標は、重騎士の完成形「獣騎士」
レイドクエストの功績が認められ、エルマはついにE級冒険者へ昇格。前話でゴウタンという後ろ盾を得た流れそのままの、気持ちのいい滑り出しである。冒頭では、見知らぬ少女に頭を下げて勧誘するエルマの姿もチラリと流れ、思わせぶりに本編へ入っていく。
目指す先も明確になった。「獣害の誓い」と「燻り狂う牙」…この二つのスキルが噛み合って初めて完成する獣騎士こそ、重騎士の完成形。もはや防御特化ではなく、攻撃特化と呼んでもまだ語弊がある、その姿はまさに人間兵器。エルマに言わせれば「重騎士は燻り狂う牙を手に入れるまでがチュートリアルのようなもの」なのだ。
スキルブックは売買禁止という誤算
まずは道具屋で情報収集。ヒールポーション三つで72,000ゴルドという、ゲーム時代より随分割高な買い物をしつつスキルブックの売り場を尋ねると、驚きの答えが返ってくる。スキルブックの売買は禁止…手に入れた本人が使うのは認められるが、それ以外は冒険者ギルドが買い取り、貴族や教会へ流す決まりだという。
スキルブックはとんでもない低確率ドロップで、本来は取引前提の仕様。しかもこの都市で徴収された分は、よりにもよって実家エドヴァン家が独占している可能性が高い。「俺は、どんな世間知らずになっていたようだ」…前世の記憶がなければ自分もその側にいたと噛みしめるエルマに、店員は「ヒールポーションのおまけってことで」と、剥ぎ屋の品を扱う闇店の場所をこっそり教えてくれた。役人も見て見ぬふりの、暗黙の了解の世界である。
闇店「破れた魔導書堂」
危険料込みの相場と、豪傑の店主
たどり着いた破れた魔導書堂で待っていたのは、「あんたみたいな新人が来るところじゃないよ」と突き放す店主だった。棚には魔法力上昇やエレメンタルガードなど、なかなかレアな品揃え。ただし値段が問題で、初級の基礎スキルツリーですら市場価値200万ゴルドのところ、店頭では300万ゴルド。「こっちだって危ない橋を渡ってるんさ」…バレれば最悪打ち首という危険料込みの、闇市場価格である。
用心棒も置かずに高額アイテムを並べる度胸を訝しむエルマに、店主は「私が弱いと思うなら試してみるかい。この前は5人叩き出したよ」と不敵に笑う。貴族の独占でスキルブックの価値が跳ね上がっているという世界の歪みが、この店一つに凝縮されていた。
最後の一冊、5000万ゴルド
そして棚の最後の一冊に、探し求めた燻り狂う牙があった。「これさえ手に入ればこっちのものだ」…喜びも束の間、店主の提示額は5000万ゴルド。ニヤけた顔でそんな品を欲しがるエルマを、店主は「変わったやつさね」と面白がる。
即金など到底無理。エルマは「売りに出さないでおいてくれないか。絶対に5000万ゴルドを用意して戻ってくる」と取り置きを頼み込む。「私に何の得があるんだい」と突き放しつつ、「あんたみたいなガキは嫌いじゃないよ」と受けてくれる店主。ただし500万ゴルド上乗せでね…と、商魂たくましすぎる条件付き。目標額は合計5500万ゴルドとなった。
金策会議と、路地裏の追放劇
5500万ゴルドへの遠い道のり
5500万ゴルドは、今回のレイドクエスト約60周分の金額。上級冒険者と、それを相手取る連中の金銭感覚は完全に壊れている。しかも燻り狂う牙を欲しがるのは獣騎士か、破滅願望のある生粋の戦闘狂くらいのはずで、需要が薄いのにこの値段なのだから、分かりやすく強いスキルブックは桁外れに高いことになる。
金策の選択肢も渋い。ダンジョンでレアドロップの一攫千金を狙うには、今の重騎士には安定してダメージを出すスキルがなさすぎる。障壁返しで雑魚狩りをこつこつ続けるか、別のスキルブックで育成するか…いや、どうせ燻り狂う牙を取れば使わなくなるスキルにポイントを割くのはもったいない。残る手は…仲間を作るか。
血まみれの剣と、10万ゴルドの手切れ金
そこへ路地裏から言い争いが聞こえてくる。何度もダンジョンに潜ってやっと出た市場価値200万ゴルドの血まみれの剣を巡る、パーティ内の分配争いだ。自分の幸運スキルのおかげだと控えめに主張する少女へ、男は「本当にお前のスキルのおかげか、怪しいもんだ」「役に立ってないだろお前」と取りつく島もない。
結末は「おらよ、10万ゴールド」「さっさと拾ってどっか行けや」…はした金を投げ渡しての、一方的な追放だった。仲間も同調し、少女の居場所はあっさり消える。「金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ」と、エルマは冷ややかに観察する。
彼女は、ぶっ壊れスキルツリーの持ち主
エルマの見立てはこうだ。この世界のスキルポイント制度は残酷で、自分と同格か格上の魔物を狩り続けなければまともにレベルは上げられない。スキルの組み合わせを誤れば同格にも苦戦し、レベル上げ自体が手詰まりになる…先ほどの少女は、まさにその状態に見える。
だが話を聞くうちに、エルマは確信する。「いや、あのスキル持ちを追い出す奴がいるか」…「俺の予想が当たっていれば、彼女はぶっ壊れスキルツリーの持ち主だ」。冒頭に流れた、少女へ頭を下げるあの場面がここにつながるのだろう。スカウトの行方は次回へ持ち越しである。
「燻り狂う牙」まとめと考察
経済で語る異世界と、ヒロインの気配
第5話は戦闘ゼロの経済回だった。貴族の独占が物価を歪め、闇店には危険料が乗り、レアスキルの値段は需要と供給で決まる。仲間内の相性を考えて振ったスキルが、事情が変われば無意味になる…ネットでも「MMORPGあるあるが面白い」と、この生々しさを楽しむ声が上がっていた。
一方で「展開が遅すぎる」「一言一句丁寧に振り返りすぎ」という辛口も目立つ回ではある。全26話の2クール構成と分かって、腰を据えた作りに納得する声もあり、ここは評価が割れどころだろう。
そして何より、ようやくのヒロイン登場である。ネットの歓声は「ピエロ女子キタァァァ!」…追放された少女ルーチェは道化師とみられるクラスの持ち主で、鍵になるのは高い幸運。理不尽な追放劇が、そのままエルマとの出会いの前フリになっている構図がうまい。5500万ゴルドの金策と勧誘の返事、次回は二つの答えが動き出しそうだ。




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