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口裂け女に敗れて廃品置き場に転がっていたお市を拾ったのは、人形の気持ちがわかる少女ユイ。おままごとの日々に、ユイが拾ってきた一匹の黒猫が割り込んでくる。その正体は、この子を食う気満々の化け猫。一番の遊び相手の座と少女の命を懸けた攻防に、依頼を受けたカムイさんが参上する。第5話「化け猫」を振り返る。




拾われたお市と、おままごとの日々
姉さんと慕われて
口裂け女に敗れ、廃品置き場で身動きが取れなくなっていたお市は、通りすがりの少女ユイに拾われていた。冒頭はいきなり「あなた、お帰りなさい。ご飯できてますよ」のおままごとから。人形のジョアンナやクマのぬいぐるみのアンドリューら、おもちゃたちのいさかいを止め、遊び相手を務める毎日である。アンドリューからは「姉さん」と慕われる始末で、「100年以上人間に恐れられてきたうちが、まさか今さら子供のおもりをする羽目になるとは」とぼやきつつ、その声はどこか楽しげだ。
「遊ばれてるうちが花なんや」
「ユイちゃんももうじき人形遊びから卒業する年頃なので…」と寂しがるアンドリューに、お市はこう返す。「寂しいこと言うもんじゃないで。うちらはな、遊ばれてるうちが花なんや」「確かに別れはいつか来る。でも、だからこそ、うちらが必要とされている間は全力で楽しませてあげんとな」…しまわれ、忘れられ、捨てられての百年を生きた付喪神の言葉だからこそ、この哲学は重くて温かい。
黒猫の正体は化け猫
一番の座をめぐる火花
そこへ、ユイが拾ってきた一匹の黒猫が新たな遊び相手として加わる。だが家の空気は次第に不穏に…母は「またなの? 今日だけで3回目よ」「なんだかちょっと気味悪いわね。そのお人形、やっぱりお祓いとかに…」と眉をひそめ始める。「やりすぎた? どうせ、もううちの居場所は…」と諦めかけたお市を救ったのは、ユイの一言だった。「そんなことないもん!」「ユイね、お人形さんの気持ちがわかるんだもん」…「ほんまに面白い子やな。そんな風に言われたら、ほっぽり出すわけにはいかへんよね」。
「ほんまはこの子を食う気やったんや」
黒猫の正体は化け猫…年老いた猫や死んだ猫が変化した怪異で、性格は残忍。人間を祟るとも、さらって食べるとも伝えられる代物だ。お市は「猫かぶって可愛いフリして、ほんまはこの子を食う気やったんや」と看破するが、返ってきたのは「猫が猫かぶって何が悪いのさ」の開き直り。「あんたもあやかしのくせに人間の味方をするつもり? 平和ボケのあやかしなんか、ちゃっちゃと壊しちゃおうか」と、ついに実力行使へ…仲良くしようと近づいたアンドリューがズタボロにされたことは、演じた声優の出演報告ツイートでも(涙ながらに)明かされている。
カムイさん参上
「黒猫と市松人形」の相談
絶体絶命かと思いきや、そこに現れたのがカムイさんとシヅカ。「この家で心霊現象があると相談の電話があってな。それも黒猫と市松人形だと」…ユイの母の依頼が、最高のタイミングで旧知の凄腕を呼び込んだのだ。お市の「カムイさん!」という声の弾みようが、前回までの因縁を思えば感慨深い。
化け猫にはまず極上の油
カムイさんの手口は今回も理屈が通っている。「化け猫といえば油だろ。古来より化け猫・猫股の類は、行灯などの油を盗み舐めると言われている」…取り出したのは極上の国産菜種油。「あっさりとした中にほのかな甘みと重厚なコク。舌と喉をさらりと流れて、魂もとろけさせる」の口上に、化け猫は「これに比べたら今まで私が舐めてきた油はカスよカス」と陥落し、「食レポかい」とツッコミが飛ぶ。すやすや眠るユイの傍らで繰り広げられる例の除霊(ネットいわく「獣人化」「ここ取れるんだ!」)はさすがに詳細を割愛するが、「よく眠っているな。引き上げるぞ」まで含めて仕事は完璧である。
「遊びに来てね」…お別れ
騒動が済めば、お別れの時間だ。人形の気持ちがわかるユイは、お市の帰りたい気持ちも察していた。「おじさんやお姉ちゃんと一緒に行きたいって」と自分から送り出し、「ユイね、お人形さんの気持ちがわかるんだよ」「みたいだな」のやり取りを経て、最後は「遊びに来てね」。事務所への帰り道、お市の「この街の感じ、なんもかんも懐かしいわ」がしみる。遊ばれてるうちが花…その花の時間を、ユイはちゃんとお市にくれたのだ。
「化け猫」まとめと考察
魂は9つ、悪霊退散は7回
ただし化け猫は往生際が悪かった。「あんなことで終わらないよ。化け猫は魂を9つ持っとるんや。お前たちには何度でも何度でも何度でもつきまとってやる」…この捨て台詞に「それは、やりがいがある」と不敵に返すのがカムイさんである。宣言通り事務所へ乗り込んできた化け猫は、「悪霊退散」連打の除霊で今度こそ成仏。ネットでは「準レギュラーか?と思ったら即除霊w」の声に加え、「悪霊退散は7回しか言ってない。1+7=8…魂が1つ足りない…妙だな…」と名探偵ごっこまで始まっていた。
全体としては、1話2本立てが基本の本作では珍しい1エピソード構成で、「めちゃくちゃ禍々しいトイ・ストーリー」「しょうもないのにちょっといい話風」と評された通りのハートフル回。3話で「しまわれ忘れられ捨てられての百年か」と嘆いたお市が、「必要とされている間は全力で楽しませてあげんとな」と言えるようになった変化こそ、この回の見どころだろう。ユイとの日々は、お市の未練を少しだけ晴らしたのかもしれない。
そして幕切れは、またもユイの母からの依頼。「今度は犬神か。誰か台所からバターを持ってこい。それで動きを止める」…油の次はバターである。何でも拾ってくるユイの将来と、あの家の怪異密度を心配する声はネットでも多数。お市とアンドリューの心労は、まだまだ続きそうだ。




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