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第11話は、三組それぞれの想いが揺れる回。ジンランがかなでに「好き」とまっすぐ告白して二人の関係が動き出す一方、恋人になったぼたんはいぶきとの香水デートで「私といて楽しい?」と焦燥を募らせる。あかねとのシーシャバーでは、音楽に「焦がれたい」という想いが語られる。順風満帆とはいかない“半熟”の百合を、観念的な映像で描いた一話である。




かなでとジンラン、成立の夜
待つ時間さえ、楽しくて
第11話、居酒屋で待ち合わせるのはかなでとジンラン。二十分遅れても気づかないほど、ジンランは「待ってるのが楽しくて」とほほ笑む。同じお酒(新政)を頼み、カサヴェテスからドライブ・マイ・カーまで、映画談義に花が咲く。
エドワード・ヤンやホウ・シャオシェンといった台湾の監督作まで観てきたジンラン。それは「あなたに興味を持っている」という、かなでへの静かなメッセージだった。
相手の世界に歩み寄るために、その国の映画を観る。ジンランのまっすぐな想いの寄せ方が、二人の距離をぐっと縮めていく。
“好き”と、“好きにする”
そしてジンランは、唐突に、けれどまっすぐに告げる。郡上(かなで)の「次、何飲む?」に対して、ジンランの答えは——「好き」。
顔を赤らめ、台湾監督の作品を観たことを持ち出して婉曲に応えるかなで。「好きにしたら」「好きにする」——この二人らしいやり取りで、関係はそっと前へ進む。ようやく安心して見ていられる二人になってくれて、と多くのファンが胸をなでおろした。
遠回りな会話の中に、確かな相思相愛がにじむ。傷ついたかなでが、もう一度誰かを信じてみようとする瞬間が、静かに祝福されていた。
ぼたんといぶきの、香水デート
この香りをまとって、そばに
恋人になったぼたんといぶきは、買い物デートへ。化粧品にステーショナリー、冬物と巡り、たどり着いた香水店で、いぶきは自分の愛用の香りを語る。マルジェラの一本に、特別な日のエルメス——香りの話は、そのまま二人の距離の話でもあった。
ぼたんは一本の香水を選ぶ。「この香りをまとって、あなたのそばにいたいと思う」——。いぶきは手首や耳の裏に、そっとその香りをつけてあげる。甘やかな時間が流れる。
私といて、楽しい?
けれど、ぼたんの胸には小さな不安がよぎる。「いぶきは、お酒があればいつだって楽しそう。じゃあ、お酒がないときは?」。「私といて、いぶきは楽しい? お酒がなくても」——と。
恋人になったからこそ生まれる、相手の心への問い。自分は楽しいけれど、相手はどうなのだろうと考えてしまうのは、紛れもなく恋をしている証拠だった。
噛み合わない“好き”と、焦燥
恋人になっても、順風満帆とはいかない
想いが通じ合ったはずなのに、二人の“好き”は、どこか噛み合わない。落ち着かない背景、すれ違う会話——そして、結局はお酒に行きつく。恋人になっても、順風満帆とはいかないもどかしさが、静かに滲む。
「私たちは前に進んでる? A世界線か、B世界線か」。答えの出ない問いを抱え、ぼたんの焦燥はふくらんでいく。
価値観を、部分的に共有できれば
すべてがフィットするのは、結局は自分自身だけ。だからこそ、価値観を部分的に共有できれば、それでいい——この回は、そんな大人の距離感を、観念的な映像とともにそっと差し出す。
分かり合えなさを抱えたまま、それでも隣にいたいと願う。甘いだけではない恋の手触りを、丁寧にすくい取っていた。
あかねとぼたんの、シーシャバー
水タバコと、秩父ビール
ぼたんはあかねと、シーシャバーへ。煙を水でろ過して吸う水タバコに、ニコチンフリーもあるという大人の空間。秩父ビールの花熊・雪熊を傾けながら、落ち着いた夜がゆっくりと流れていく。
「この場所、日々の悩みなんて忘れちゃいそう」。紫煙のたゆたう店で、二人はそれぞれの胸のうちを打ち明けはじめる。
音楽に、焦がれたい
あかねが抱えていたのは、音楽の悩み。「何があっても好きでいられる自信はない。でも、もっと愛せるとも思う」。夢と現実のあいだで、バランスが崩れそうな不安を、あかねはぽつりと吐き出す。
ぼたんはあかねを応援し、そして自分の恋の想いも重ねる。「焦がれたい、今すぐに」——夢を追う人も、恋に焦がれる人も、何かに焦がれるその姿は、どうしようもなく美しい。
まとめ——半熟の、百合と酒
観念的な背景と、不穏な演出
第11話は、映像の質感も大きく変わった。水彩のような背景、画面分割、螺旋階段や兎のモチーフ——内面を表面化させる観念的な演出が、キャラクターたちの落ち着かない心を映し出す。
これまでの写実的な画面から一転した、不穏さをはらむ実験的な一話。その居心地の悪さすらも、恋の“半熟”な手触りとして表現されていた。
三組それぞれの、すり合わせ
ジンランとかなで、ぼたんといぶき、あかねとやえか。三組のカップルが出そろい、めでたしめでたし——と思いきや、どこもかしこも、それぞれに抱えるものがある。
完全には分かり合えなくても、隣で杯を交わす。その不器用な愛おしさを描いて、物語はいよいよ最終回へと向かっていく。




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