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ローゼマイン考案の新しい衣装をまとったブリギッテがあまりに美しく、ダームエルは人が恋に落ちる瞬間を目撃されるほどの一目惚れ。さらに待望の印刷機がついに完成し、試し刷りも大成功を収める。前神殿長宛てに届いたラブレターの人からの手紙にひやりとしつつ、春の終わりには城へ移り、エーレンフェストの礎に魔力を注ぐ領主の子として初めてのお勤めが始まる。第16話「新しい衣装と印刷機」を振り返る。




新しい衣装と、恋に落ちる瞬間
忌憚のない意見は「良いと思う」
完成した新しい衣装の試着に、ブリギッテが袖を通す。本人の第一声は「覆う布がないので腕を動かしやすい」「いざという時には魔石で覆うこともできます」と、どこまでも実用目線。ローゼマインが内心「実用的かどうかより、素敵なお婿さんを射止められるかどうかを気にしてほしいんだけど…」とずっこけるのがおかしい。そして男性側の意見も聞こうと、ブリギッテの了解を取ってダームエルを招き入れる。理由がまた律儀で、「私の感性がずれているせいで、ブリギッテに恥をかかせるわけにはいかない」からだ。扉が開いた、その直後である。「私、今、人が恋に落ちる瞬間を目撃したようです」…感想を求められたダームエルの精一杯が「良いと思う」。ブリギッテが「他の女性騎士にも勧められる、という意味ですか」と実務に引き取り、「まあ…ええ」で成立する初々しさよ。
対象外の壁と「頑張れダームエル」
当のブリギッテも「ダームエルは分かりやすいですね」「男性にあのような目で見られたのは初めてですので、少し面映ゆいです」とまんざらでもない。ローゼマインが水を向けると、答えは「悪くないと思っています。魔力の差が大きいので対象外ですけれど」…この世界では子供の魔力は母親の影響を色濃く受け、魔力的に釣り合いが取れなければ子供は望めない。「恋に落ちた瞬間に対象外確定なんて…不憫すぎるよ、ダームエル」と同情したローゼマインだが、ここで思い出す。祝福を受けたダームエルの魔力は、成長期を過ぎてもなお鍛えればわずかずつ伸びている。「魔力問題をクリアすれば道は開くぞ! 頑張れダームエル!」…恋の行方が、そのまま設定の伏線と噛み合う気持ちのいい導入だ。
ついに完成、待望の印刷機
「一番に触ってみたいです!」
ルッツとギルから、待ちに待った報告が届く。「新しい印刷機が完成しました。インクの発注も終わっています。原稿があれば、すぐにでも印刷に取り掛かれます」。ローゼマインは「早速私が工房に赴いて扱い方を教えます」と即答し、側近が止めるのも聞かず「ずっと印刷機を作るのが目標だったのですもの。一番に触ってみたいです!」…ルッツの「一通りやれば落ち着くだろ」という見立ては、後で見事に外れることになる。試運転用の原稿として早速騎士物語を書き上げ、「挿絵は神官長をモデルにお願いします」。お叱りを心配する周囲へは「この物語は虚構の作り話であり、登場する団体・人物などは全て架空のものです、ときちんと本に書きますから」…どこかで聞いた定型文で押し切るのだから恐れ入る。
試し刷り成功、次はもう一台
工房では組版を済ませ、いよいよ試し刷り。新しい印刷機なら、これまでできなかった見開きページも組めるようになる。「ちゃんと印刷できてる」の安堵に、「これが印刷か、すごいな」の感嘆が重なった。ローゼマインはインゴ・ザック・ヨハンの三人の職人へ「力を合わせたおかげで、印刷機は素晴らしいものが仕上がりました」とねぎらい、返す刀で「この調子でもう一台お願いしますね。ハッセにも印刷機を入れたいので」、さらにザックへ新たな発注まで。「一通りやれば落ち着くって言ってなかったか」「止まらなくなったな」と苦笑が漏れるのも当然である。仕事の合間に書き進めている新しい物語が「トゥーリの誕生日プレゼント。夏が来る前に完成させるんだ」というのも、じんわり温かい。
春の終わり、城へ移るまで
ベンノとの本音の作戦会議
ギルベルタ商会との面談は、今回も名物の腹芸だ。「ローゼマイン様のお引き立てにより、貴族の方々との取引が大幅に増えました。心より感謝いたします」を、ローゼマインは即座に「クソ忙しいってことだね」と翻訳。「遠回しだと分からないので、本音を伺ってよいですか?」から「仕事を回しましょうか」と気を回せば、ベンノに「余計な気を回すな! うちを窮地に陥れたいのか」と叱られ、「滅相もございません!」…「お二人とも、もう少し取り繕ってください」と側近が頭を抱える。相談の本題は、木材が豊富で林業の盛んなイルクナーの視察。貴族の前に出せる人手が足りないため、兵士を辞めてギルベルタ商会入りしたオットーを仕込むことになり、教育係には元神官長付きの側仕えザームを充てる。人材の輪が、また一つ広がった。
ラブレターの人からの手紙と、フーゴの転職
そこへ届いたのが、前神殿長宛ての手紙である。「ハッセ以外にも、亡くなったことを知らないところがあるのかしら」と開いてみれば、「ん? この筆跡…ラブレターの人だ」。内容は「どうしてもお願いしたいことがございます」「頼れるのはあなただけ」と切実で、ひとまず返信用の紙に「亡くなりました」と書いて送ったのだが…後から、あれは魔術具の手紙だったと判明。「大変なことをしでかしてしまったかも」と青くなって確認すると、フェルディナンドいわく、緘口令が敷かれているのは領主の母の幽閉の件だけで、前神殿長の死は「特にない」。心の中で「セーフ」と胸をなで下ろす一連は、後々に効いてきそうな不穏さも残す。
続くフーゴとの面談は、エラの新作菓子ラングドシャのお披露目から。かつての師匠に成長を見せつける一皿に、フーゴの「くっそ、成長してやがる」が漏れる。宮廷料理人になりたいという相談かと思いきや、その理由は「以前の恋人がご近所さんと付き合い始め、毎日仲のいい姿を見せつけられているため」で、本人は「俺はもう、料理に生きるんです」…家を離れたいだけならばと、ローゼマインは「私の専属料理人として住み込みで雇うこともできますけれど?」と逆スカウト。エラ一人だった厨房に、頼れる腕が加わった。
魔力供給の間で、領主の子として初めてのお勤め
そして春の終わり、ローゼマインは城へ移る。領主夫妻が領主会議で留守にする間、ビルフリートとともに城を守るのが「領主の子の責務」だからだ。ジルヴェスターに連れられ、魔力を登録して入ったのは「エーレンフェストの礎に魔力を注ぐための魔力供給の間」。礎の魔術そのものに立ち入れるのは領主のみで、一族はこの部屋の魔石を通じて魔力を注ぐ。「本来は子供にさせる仕事ではないのだが」という大役を前に、「我は世界を創り給いし神々に祈りと感謝を捧げる者なり」…闇と光の夫婦神、そして水の女神フリュートレーネ、火の神ライデンシャフト、風の女神シュツェーリア、土の女神ゲドゥルリーヒ、命の神エーヴィリーベと、五柱の大神へ祈りを捧げながらの魔力供給が始まる。終わってみれば、ビルフリートは母フロレンツィアに気遣われながら「平気です、母上」と強がる消耗ぶり。一方のローゼマインはけろりとして、「虚弱なそなたが一番に倒れるかと思ったぞ」と驚くジルヴェスターに「神殿でいつもしていますから」…祈念式で鍛えた供給慣れが、ここで効いてくるのが面白い。
「新しい衣装と印刷機」まとめと考察
二本柱の充実回、そして本作りは独立へ
第16話「新しい衣装と印刷機」は、サブタイトルの二本柱がそのまま見どころだった。衣装の側はダームエルの恋という新しい軸を生み、印刷機の側は本作りを次の段階へ進める。ネットでも「彼の魔力は上がるのだろうか?」と恋の応援が早速始まっており、祝福による魔力成長という既出の設定が恋物語の希望として回収される構図は、本作らしい丁寧さである。
そして幕引きで動いたのがベンノだ。教材の売り上げ増が大店の旦那方にやっかまれている…「ギルベルタ商会は服飾の店だろうと」。そこで打った手が「ギルベルタ商会から本作りを独立させる」。ローゼマインが夏まで城で留守番と知り、マルクに面会の約束を急がせるあたり、商人の腰の軽さが頼もしい。印刷機の完成と同時に事業の器を作り替えるこの動きは、次回以降の大きな布石だろう。
Cパートは衣装の下のお話。あの衣装の下には魔石で作る騎士の鎧の基本が仕込まれており、いつでも戦えるのが騎士のたしなみで、荒れた領地では文官や側仕えもまとうという。「貴族院に入ればローゼマイン様も習いますよ」に「えっ、私も鎧を」と及び腰になった末の結論が「私は一生ブリギッテに守られたいですが」…総作画監督・中嶋敦子さんの美麗な作画を称える声も多く、エンドカードは椎名咲月さん。衣装も印刷も恋も動いた、密度の高い一話だった。




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