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定期テストという大災害が黒美女子学院を襲う第4話。勉強したくなさすぎて泣く美緒の回想で明かされるのは、ノートPCを金庫に封じた母とのぶっ飛んだ二択と繰り上げ合格の真相。対戦会は「真夜中の勉強会」へと看板を掛け替え、吐くほど嫌いな勉強に挑みます。そしてラストには、4人の新しい目標になるエボジャパンが飛び出します。




定期テストの襲来と、泣く白百合さま
アバンで描かれた「強すぎた深月さん」
冒頭はいきなり過去の回想から。中学時代の綾は「この置き攻め、ハメだろ!」と文句を言われながら友人たちを完封し続け、「いつでもかかってきなよ。こっちは365日対戦受け付け中だからさ」と目を輝かせる。だが返ってきたのは「やっぱミツキには勝てんな」「今日はもうええやろ」という苦笑いだった。強すぎて対戦相手がいなくなっていく、綾の原点である。アバンの描写が漫画版より細かくなっていたという指摘もあり、この場面が最終盤への長い前フリになっている。
場面は現在の対戦会へ。3先のうち1本を取って「リーサル判断がうまかったです」と褒められ、素直に喜ぶ珠樹がかわいい。そして夕は綾をこう評する。「毎晩全身から殺意をほとばしらせて現れて、負けると憑き物が落ちたみたいになって、すがすがしい顔して帰っていくのよね。まるで負けることが嬉しいみたいに」。アバンを見た後だと、この一言の解像度が跳ね上がる。
「テスト勉強したくないから泣いている」
そんな日常に「来週からテスト週間」の告知が突き刺さる。その夜、綾が見つけたのは声を殺して泣く美緒だった。「中身がアレだと頭では分かっていても、美少女が泣いているとつい優しく接してしまう」という綾の内心が笑わせにくる。事情はシンプルの極みで、綾いわく「この女は、テスト勉強したくないから泣いている。それがすべてなんですよ」。赤ちゃんじゃないんですよ、というツッコミも入る始末だ。
そして綾は、かねての疑問をぶつける。校内にアケコンを持ち込むほど大脳を格ゲーに侵食されたゲー廃のあんたが、どうしてゲーム禁止の黒美女子学院に入学したのか。ここから美緒の回想が始まる。
回想、ママとのPC戦争
勉強ガン無視を貫いた中学時代
美緒にとって中学は「とんでもない地獄」だった。小学校より5分も長い50分授業が、月曜から金曜まで毎日6時間目まで埋まっている凶器。さらに最悪なのが定期テストで、本来ゲーム時間であるはずの放課後や夜、休みの日までも勉強にサクリファイスすることを要求してくる。結論、「耐えがたい精神的苦痛。国家による人権侵害。この国は狂っている」。
だから美緒は決めた。勉強をガン無視しようと。1年1学期の期末テストから、教師にどれほど呼び出されようがなじられようが、確固たる意志で勉強しない。義務教育を拷問と受け取る感性はさておき、貫く方向を完全に間違えた行動力には呆れを通り越して少し感心してしまう。
金庫のノートPCと二つの条件
3年の夏休みに入る頃、事件は起きる。帰宅すると愛用のノートPCが消えており、ママがにっこり告げた。「パソコンならこの金庫の中よ」。返してほしければ、これから出す条件のうち一つでもクリアすること。一つはママの指定する高校に合格すること。そしてもう一つは、今ここでママを倒すこと。美緒にとって選択肢は一つしかなかった。つまり実力行使である。
ママは空手の経験者で、美緒も1年ちょっとだけ習って筋が良かったという因縁付き。ヴァイオリンもバレエも続かなかった娘に押し付けるのをやめ、自分でやりたいことを見つけてほしいと願っていたこと。そのゲーミングノートPC自体が「最初の中間テストで全教科平均点以上」という約束を達成して買い与えられたものだったこと。回想の端々に愛情は確かに見えるのだが、「このままじゃミオちゃんはゲームしかできない大人になる」の解決手段が親子の実力行使になるのがこの家のヤバさだ。結果、美緒は利き腕を負傷してゲームを封じられ、受験勉強に転向。最終的に繰り上げ合格で黒美に合格した。全寮制でゲーム禁止だと知ったのは、その数日後のことだった。
DV判定と「真夜中の勉強会」の発足
回想を聞き終えた3人の反応が三者三様で楽しい。珠樹は「話の展開についていくのがやっと」と及び腰、綾は「私はシンプルにDVだなって」と一刀両断。戦闘を選んだのは美緒自身では、という珠樹の擁護にも「選択肢を与えれば娘の利き腕を破壊してもいいとはなりませんよ。受験勉強と戦闘の二択なら、戦闘を選ぶ娘だと分かっていたはずですし」と理屈が通っている。あんなに頑張ったのにどうしてまだ勉強しないといけないのかと、無実を訴える現行犯のような主張を続ける美緒に返ってきたのは、「そっか。じゃあ、留年だね」の静かな一言だった。
赤点を取れば、まだゲームをしているとママに疑われ、闇討ちの矛先がゲーム仲間へ向きかねない。かくして発足したのが「対戦会改め、真夜中の勉強会」である。ここで発覚するのが、実は珠樹も勉強が得意ではないという事実。夕に「もしよければ私に物理と数学と英語を教えていただいても」とお願いする委員長へ、美緒がすかさず「たまてゃ?」。「次にその名前で呼んだら無視しますね」と返されつつ、この呼び名は視聴者にも大好評だった。
吐くほど嫌でも、やればできる
異変、そして「ミオにはミオのペースがあるよ」
勉強会は意外にも順調に滑り出す。演習問題で全問正解し「白百合氏、やるじゃん」と言われる美緒に、綾は「ミオはやればできる子なんだよね」。「そう、私はただ勉強が嫌いなだけなので」と返す本人に嘘はない。ところがテストまであと数日という頃、異変は肉体に現れた。尋常ではない震え、机に向かうと襲ってくる吐き気。ついには吐いてしまう。
綾は美緒を抱きしめて謝る。「ごめん、ミオ。正直、吐くほど苦しんでるとまでは思わなかった。きっとミオには、ミオのペースがあるよ」。それは奇しくも、回想の中でママが自分へ言い聞かせ続け、最後に手放した言葉だ。だが美緒は勉強会をやめない。受験勉強でも週に一度は吐いていたという大丈夫じゃない実績を添えて、「みんなで無限に対戦できる、こんなに夢見た幸せな環境を簡単に手放すわけにはいかないんです」。補正切り狙いでいきます、と結局は格ゲーの言葉で宣言するのが美緒らしい。胃酸で食道がボロボロなのではと心配されつつ、この意地には素直にぐっとくる。
テスト突破、そしてエボジャパンへ
結果発表の日。美緒が突き出した答案は見事の一言だった。「見て。頑張りました」からの「私が本気出したらこんなもんですよ」。お礼より先にどや顔が出るあたり、だいぶ終わってると夕に評されつつ、白百合さまはテストという難関をきっちり突破してみせた。
久しぶりの対戦会で、話は先へ進む。カウンター確認が安定してきた(実戦では一切成功しない)珠樹に、美緒が初めて尋ねた。どうして強くなりたいのか。答えは意外なほど真っすぐだった。「追いつきたい人がいるんです。その人に私を見てほしいから、格ゲーをしています」。明確に結果の出る場所で少しでも勝ちたくてランクマッチに潜り、闇に飲まれたのが例の一件らしい。そして飛び出す固有名詞、エボジャパン。世界最大の格闘ゲーム大会エボの日本版で、今年は東京開催。言い出した珠樹本人が、テストで手一杯だったせいで宿も大会エントリーも未手配という緩さも良い。
圧巻は締めの一幕だ。「お日柄もよく」と挨拶を探してしどろもどろになりながらの提案が飛び出す。ここでずっと対戦会を無限に続けるのも好きだけれど、みんなに強くなりたい理由があって、せっかくの機会だから。「大会まで、みんなで練習して」「一緒にエボジャパン、出るぞ」。強すぎて対戦相手に去られる過去のアバンで始まった今話が、みんなで同じ大会を目指す宣言で終わる。この構成が実にうまい。
「真夜中の勉強会」まとめと考察
対戦会が消えた一週間が繋いだもの
第4話「真夜中の勉強会」は、第3話「真夜中の対戦会」と対になるサブタイトルどおり、格ゲーを一度取り上げることで4人の関係を一段深めた回だった。泣いて吐いて、それでも仲間と対戦できる環境を守るために勉強した美緒。「ミオにはミオのペースがあるよ」と、ママと同じ言葉へ辿り着いてしまった綾。勉強が苦手だと発覚した珠樹と、さらりと先生役をこなす夕。ギャグの密度に紛れているが、やっていることは丁寧な関係性の積み上げである。
美緒ママについては、選ばせておいて利き腕を折りにいくリアルファイトの絵面に度肝を抜かれた視聴者が多数。綾の言うとおりDV判定やむなしだが、「押し付けをやめて任せたい」という理屈と実力行使が同居しているのがこの母の怖さで、人を追い詰めすぎることへの警鐘と受け取った感想も見られた。そして珠樹の「追いつきたい人」が誰なのかは、今話では明かされない。因縁の相手の存在をにおわせつつ、物語は次回からエボジャパン編へ。大会という明確な目標を得て、日常系の空気から一段ギアが上がりそうだ。


















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