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植物園で途切れた匂いの先、アリシアはネズミのような魔獣の姿に変えられ、学年3位アンドリューの瓶の中にいた。黒幕たちは「魂は鏡の中」とうそぶき、その狙いはクレバテスの持つ最後の書。一方、匂いを辿ったクレンはナイエ先生に正体を明かし、「我に従わねば死だ」と情報を搾り取る。そして学園の空へ、黒い塔がそびえ立つ。第4話「黒い塔」を振り返る。




鏡の中の勇者と、アンドリューの地下室
「魂は鏡の中に」…黒幕たちの密談
幕開けは、闇の側の密談から。アリシア・グレンフォールを捕らえたという報告に、「魂は鏡の中にいます。これを開かない限り、出ることはできません」と応じる声。使われたのは、はじまりの町の司教だった一族に伝わる「永遠の書」だ。将軍に出会い、「あなた様」に教わって本来の力を取り戻したのだと言う。「すべては我らの悲願達成のため」…そして命が下る。「そのために書をすべて揃えるのだ。最後の書はクレバテスが持っている。何としても奪い取れ」。
恭しく応じる相手の呼び名は「偉大なる北の王」…北の魔獣王ボーデインである。この地では何人たりとも書の力には逆らえない、たとえ魔獣王であろうとも、という言葉が不気味に響く。「それにしても勇者アリシアが、あのような魔獣になるとは。しかも捕らえたのは…これは見物です」…アリシアの異変を、闇は娯楽のように眺めていた。
ネズミのアリシア、学年3位の標本棚へ
「おかえり、アンドリュー」「ただいま」「また何か捕らえてきたのかい」「うん、ネズミ。今度のは長生きすると思うよ」…アンドリューは魔術で作った地下室に、捕らえた生き物を集めている。同居人めいたレイとメリーメリーという声は「君のその寡黙で熱心なところが好きなんだ」と持ち上げるが、その正体は分からない。
瓶の中のアリシアには、彼らの会話が言葉として聞き取れない。「これは夢か。私は夢を見せられているのか」…何日経ったかも曖昧なまま、ガラスに映る自分の姿を見て確信する。ネズミのような魔獣の姿。それでも思考は止めない。捕らえた「巨人」は人間サイズの誰かで、あの時あの場にいた…「学年3位のあいつだ」。囚われてなお推理を進めるあたり、腐っても勇者である。
1100年前の悪夢と、学園の選別
決着をつけたのはボーデイン…勇者戦争の真実
一方クレンは、ザフティエとの話を「過去のことはだいたいわかった。貴様がクソだということもな」と締めつつ、重大な歴史を聞き出していた。世界がこの形に落ち着く1100年前、多くの犠牲と先代魔獣王たちの死の果てに、200年続いた勇者との戦いに決着をつけたのは、北の魔獣王ボーデインだったという。「最終段階まで進化した勇者の強さは我々以上でした。まさに悪夢」…その悪夢を最も苛烈に戦い、最もよく知るはずのボーデインが、なぜ伝承の復活に加担しているのか。ザフティエは「何としても止めねばなりません」と青ざめる。
対するクレバテスの姿勢は単純明快だ。「奴は我が領域に踏み込み、我に牙を剥いた敵。関わる者も全て敵、それで十分」。ただし「ここは領域の外。ハイデンの時のようにはいきませんよ」という忠告が重い。折しも、この地でただでさえ弱かった魔術の反応が完全に消えた…アリシアとの交信が途絶えたのだ。
失踪は通過儀礼…新任教師バーンズと「目」のガルト
学校では、アリシアの偽名アリッサ・スレイハントが3日連続の欠席扱いに。「授業についていけず、逃げ出すものが」と流すナイエに、クレンは内心「そんなわけなかろう」と一蹴する。ここで新顔が動き出す。歴史の新任教師を名乗るバーンズと、「俺はお前のために飛ぶ。お前は俺のために情報をよこす」という契約で結ばれたガルト…どんなものも見逃さない「目」の持ち主だ。彼らの狙いも、ドレルの秘密である。
調査の成果が興味深い。校舎そのものに隠し部屋はない(隠形の専門家ミケル調べ)。そしてこの学校では、生徒が前触れなく失踪するのが「魔術習得のための通過儀礼」とされ、誰も問題視しない。戻った生徒は魔術の才能を開花させ、才がなければネイサンのように憔悴して退学…「つまり選別だな」。鍵は失踪中のアリッサだと結論づける二人は、彼女が勇者だとは知らないまま、核心に手を掛けつつある。
ナイエ劇場と、クレバテスの正体開示
「逃げよっと」…ナイエ先生の受難
今回の裏の主役は、間違いなくナイエ先生だ。アリシアは「秘密の部屋の正体が分かったかもしれない」と言い残して駆け出し、そのまま失踪。残されたナイエは大慌てである。「私だって探してるんですよ、それ。見つけないと皇帝に殺されるかもしれないんですよ、マジで」「私ってば鉄を操れちゃうから、それを使わない処刑法になる」…被害妄想全開の独り言が止まらない。
協力者の当てを数え上げ、あいつは怖い、生徒は立場が悪くなる、と消していった結論が「今の私にできること…逃げよっと」。その背後に、音もなく立つ影があった。「その話、もっと聞かせろ」…クレンである。逃げ場なしの構図に、視聴者の笑いと同情が集まった。
「我に従わねば死だ」…匂いを辿る魔獣王
クレンは、アリシアの匂いのついた影を追ってナイエに行き着いたという。「匂いで追うって犬ですか!」「犬ではないがな」…狼である。だが本体には辿り着けない。匂いは校舎東の、植物が集められた場所で途切れていた。殺されても匂いは残るのに、何の痕跡も残さず消え、抵抗した気配すらない。だからこそ「話せ、知っていることをすべて。必要ならウヌの脳をかき回して…」と迫り、怯えるナイエに最後の一押しをする。「これで話す気になるか」「この姿を見たからには分かる。我に従わねば死だ」…正体の開示である。
絶叫の末に気絶してもお構いなしに搾り取られた情報は重かった。この学園は伝承をなぞった「はじまりの町」の再現であること。そして選別の正体は結晶の試練…力を屈服させれば魔術の才が手に入り、飲まれれば心まで魔獣と化して狩られる。ナイエの世代では、結晶になじめない者は必ず魔獣の姿になり、元に戻ることはほとんどなかったという。ナイエ自身も当時の記憶がない、と語るのがさりげなく怖い。
狙いは最後の書…黒い塔、そびえ立つ
クレバテスの推理が回り出す。下僕が試練に巻き込まれたなら、魔獣騒ぎか才能の開花があるはず。どちらもないなら、魔獣の姿のままどこかへ幽閉されている。あやつが勇者だと知る何者かの仕業だとしたら…そこで気づく。「狙いはこれか。あやつのいない今なら、領域外の我からこれを奪うのも容易いと踏んだか」。標的は、クレバテスの持つ最後の書。「随分と舐められたものだな」…静かな怒りが漏れる。
その直後、学園の空に黒い塔がそびえ立った。響き渡る声は挑発する。「望むものはここだ。ここにある。取りに来い」。クレンの手元では本が疼き、震える。「最初に見たときから感じていた。あいつで間違いない」…アンドリューだ。1期1話の冒頭に繋がる画の登場に、視聴者もざわめいた。
「黒い塔」まとめと考察
「これは訓練です」…ソルセインの闇
騒然とする生徒たちへ、学長エルロー・ローメインの放送が流れる。「落ち着いて行動してください。これは訓練です」…しかもこの声には逆らえない仕組みらしく、あのナイエですら素直に従ってしまう。裏では「スパイなど何人いようが、この書の前では無力」と言い放ちつつ、「始まりの町である聖地ソルセインに、あのような汚れた遺物が置かれるなど」と塔への苛立ちも覗かせた。学長・ドレル将軍・北の魔獣王ボーデインという闇の連環に対し、黒い塔のアンドリューは独自に動く別枠らしいのが、この回の底知れなさだ。
謎は畳みかけるように積まれた。アリシアを魔獣に変えたのは学長の書か、選別の結晶か。アンドリューは何者で、何が目的か。そして勇者の悪夢を最もよく知るボーデインは、なぜ偽りの勇者伝承の復活に加担するのか。1100年前の歴史開示と学園の選別システムが一本に繋がり、物語は導入から核心へ一気に踏み込んだ。
領域の外で真価を発揮できないクレバテスにとって、この戦いは分が悪い。それでも「取りに来い」と挑発された魔獣王が引くはずもない。囚われの勇者と、怒れる王…次回、黒い塔での対決に期待したい。




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