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十三冠を前にした面接で「魔界をどう統べたいか」と問われ、レイヂとラズベリィが持ち味全開の答えを返すなか、入間の口から転がり出たのは「僕、魔王になろうかな」。だが大人たちが本当に見ていたのは答えではなく、糧を喰らう瞬間の素顔だった。後半は一転、二年生への進級を控えた入間軍のかっこいい先輩練習で大はしゃぎ。第18話「若葉には大いなる糧を/こもれびまたいで」を振り返る。




面接の答えと「僕、魔王になろうかな」
三者三様の魔界像
前回に引き続き、舞台は十三冠のそろうサーティーン・ディナー。次期魔王候補への面接は「もし魔王となったなら、魔界をどう統べたいのか」の核心へ進む。飛び出した答えのひとつは「強い奴が上に立って、弱い奴が砂利を食う。バカでもわかる楽しい魔界にします」…いかにも悪魔らしい、力の論理の魔界像だ。孫可愛さのあまりベリアールが「面接中のお小遣いはお控えに」とたしなめられる場面には笑ったが、当の入間はというと大真面目に悩んだ末、「今の魔界のままでもいいかな、と思うのですが」。この不安定な魔界のままでいいのか、少々世情に疎いようだ、と突っ込まれてしまう。バビルスの外をあまり知らない入間の、率直すぎる等身大の答えである。
「僕、魔王になろうかな」
それでも入間は言葉を探す。「いや…バビルスみたいな魔界にしたいってことなのかもしれないです」。それならサリバンが魔王でよいのでは、と茶々が入ると、「それも楽しそうですけど…僕、魔王になろうかな」…! 会場が微妙な空気に包まれる中、面接は「意見は承知した。3名、共にその志を胸に競い合い、高め合ってもらいたい」で幕となった。ディナーの席では、失踪中のベヘモルト捜索が続いている話も差し挟まれ、弓の師匠バチ子との再会も。「師匠、十三冠候補おめでとうございます」に「おめでとうはまだ早いだろ、アホ弟子」と返され、すかさずサリバンが「バチ子ちゃん、今イルマ君にアホって言ったの」と目を光らせるのがじじバカである。さらにレイヂからは「いろいろと勘違いがあったようで面目ない」と詫びとともに、ウォルターパークの騒動もロイヤルワンの解放も君だろう、と実績を言い当てられ、「私はお前たちには負けん」の宣戦布告。極めつけは3人での記念撮影「三孫ポーズ」で、三傑の祖父母たちが「僕にも貸して、イルマ君をもっと撮りたい」「絶対自分の孫は贔屓するじゃろ」とカメラを奪い合う大騒ぎになった。
若葉には大いなる糧を…面接より雄弁な食事
「魔王って道も作っておいてあげたい」
帰り道、サリバンは上機嫌だ。「3孫の中でもやっぱりイルマ君が一番可愛かった。おじいちゃんは鼻が高いよ」…写真はオペラに頼んでタペストリーとポスターとクッションに、と暴走が止まらない。そこで入間が切り出す。「おじいちゃんは、僕を魔王にしたいの?」。答えは意外なほど穏やかだった。「僕はね、イルマ君が将来道を選ぶ時のために、魔王って道も作っておいてあげたいんだよ」「もちろん君が魔王を選ばないならそれでもいいよ。要するにいつものおじいちゃんのおせっかいさ」。質問にうまく答えられず場違いだったかも、と肩を落とす入間に返ってきたのは、「あーいいのいいの。あんな質問、意味なんかないし」…え? この一言が、前半サブタイトルの種明かしにつながっていく。
「糧を喰らう瞬間にこそ素が出る」
十三冠が本当に見ていたのは、答えではなく食べ方だった。レイヂは見た目に反して豪快で、マナーを指摘すれば「私のルールではこれが正当な食べ方ですので」…ぶれない大胆不敵。ラズベリィは食器の使い方こそめちゃくちゃなのに、その実一番綺麗に食べていて、嫌いなものはレイヂの皿にこっそり移す小賢しさ付き。そして曰く、「やはり悪魔は食事…糧を喰らう瞬間にこそ素が出る。だからこそ我々はディナーで話し合いをするのだ」…欲があらわになる場でこそ本性を見る、というわけだ。では入間はどうだったか。「おいしいです、おいしいです」と幸せそうに頬張り、サーティーン・ディナーでおかわりを要求した初めての客になった。胃袋だけならベヘモルトと張れる、つまりは底なしの欲…「ゾッとするぜ、もしあれが魔王になっちまったらよ」。無自覚の大器がいちばん恐ろしいという、実に悪魔らしい評価である。
こもれびまたいで…かっこいい先輩への道
二年生の準備と後輩パニック
後半は学校パートだ。母からディナーの件を聞いたアスモデウスが「これはもう次期魔王といっても過言ではありません」と燃え上がり、入間が「おじいちゃんの付き添いで行っただけだし」となだめる通常運転から始まる。折しも、短い三学期が終われば二年生。アブノーマルクラスにクラス替えはないから3人はまた一緒だが、進級すれば演習も覚える魔術も教科も増える。そして何より…新しい一年生=後輩ができるのだ。慕われる先輩を妄想したのも束の間、「早くパン買ってこいよ、パイセン」となめられる最悪の未来まで浮かんでしまい、「そのような不届き者は私が燃やします」とアスモデウスが物騒に燃える。かくして「私たちが後輩やるから、イルマチはかっこいい先輩ね」の練習が始まった。
アズは硬直、クララ大先輩が一番まとも
まずは挨拶から、の入間は「よっ、よぞっし」と噛んでガチガチ。「後輩に敬語は必要ありませんよ」と言われても慣れない。ならばとお手本役を振られたアスモデウスは、後輩役の入間に騒がれても「しかしイルマ様を叱るなんて…」「イルマ様にタメ口など、親友の私でもさすがに」と微動だにしない。その直後、同じく騒ぐクララには「やかましいぞ。つつくな。座れ。おとなしく宿題をしろ」と流れるような説教で、「私にはめっちゃ喋るじゃん、先輩」の抗議がおかしい。初対面の再現までしても、着地は結局「参りました、イルマ様」で「今とあまり変わりませんね」。ところが意外な伏兵がいた。「よい子の諸君、クララ大先輩がいろいろ教えてあげるから」…廊下は走らない、ティッシュとハンカチとアメ玉の装備は鉄板、挨拶はきちんと、イタズラはこっそりと。入間の「なんか、意外と一番ちゃんとしてる気がする」に全視聴者がうなずいたはずだ。最後は威厳を求めて貴族番長スタイルなる珍装束が爆誕し、コンセプトはぐちゃぐちゃになった。
「三人一緒なら楽しい一年になるよね」
さんざん遊び倒した果てに、入間がぽつりと言う。「でもさ、どんな後輩が来ても、二年生になっても、きっとまた三人一緒なら楽しい一年になるよね」。「もちろんですとも!」と即答するアスモデウスに、クララも全力同意。勉強も特訓も一緒に、と誓い合い、アスモデウスの「眼鏡で優しげで変な口調の悪魔が襲ってきても、絶対に守ります」という妙に具体的な忠誠宣言まで飛び出した。はしゃぎ疲れてぐでぐでになった3人には「貴様ら、二年生になる自覚があるのか!」と雷が落ち、翌朝の校内新聞のネタになってしまうオチまで含めて、木漏れ日のように柔らかな後半だった。
「若葉には大いなる糧を/こもれびまたいで」まとめと考察
大人の観察眼と、子供の背伸びの二本立て
第18話「若葉には大いなる糧を/こもれびまたいで」は、二本立ての妙が光る回だった。前半は、質問ではなく食事で人を見る大人たちの観察眼。「若葉には大いなる糧を」というサブタイトルが、若い候補たちに糧=食事を与えてその素を見る、という仕掛けそのものを指しているのが美しい。入間の器が本人の自覚のないまま「底なしの欲」として大人たちを震わせる一方、当の本人の願いは「三人一緒なら楽しい一年」という等身大…この落差こそ、この作品の入間像である。
後半の先輩練習は、公式の「たとえ進級しても入間軍は変わらず一緒!」の言葉通り、3人の関係性をじっくり楽しむご褒美パート。アスモデウスの忠誠が先輩ごっこすら不可能にする様子と、クララが実は一番まともな先輩指南をする逆転が、キャラクター理解の深さで笑わせてくれる。Cパートでは、入間を人間と疑うアメリの父が「アメリにも釘を刺しておかねば。交際など言語道断。目が黒いうちは絶対に許さん」と過保護を炸裂させており、こちらも今後の火種として楽しみだ。
次回はいよいよ「アクドル大武闘会(だいうんどうかい)」が開幕。予告では「な、なぜアクドルに混じってアメリが!?」と早くも波乱の気配である。放送はNHK ONEで1週間の見逃し配信、8月3日からは各種配信サービスでも順次配信予定とのことなので、二年生編へ向かう節目のこの回、ぜひ見届けてほしい。




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