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公式副題は第7話「セブン」。この作品の副題はどれも実在の映画の題名で、話数と副題の数字が重なるのはこの回だけだ(※1)。闇の指輪のルールは「欲望が大きいほど闇に飲まれる」で、ミーティアは「私に欲望なんて」と言った直後に飲まれる。そして解除条件が欲望の発散であるせいで、本気で戦ってやることがそのまま解呪になる。




副題は毎回、実在の映画の題名になっている
七本を並べてみる
公式サイトの各話ページに並ぶ副題は、「恋人たちの予感」「オズの魔法使い」「ミッドナイトラン」「許されざる者」「から騒ぎ」「パルプ・フィクション」、そして第7話が「セブン」である(※1)。
どれも実在の映画の題名で、この並べ方は第1話から一度も崩れていない。第2話の「オズの魔法使い」がそのまま組織の名前と重なっていたように、題名の選び方には毎回その回の中身が引っかけてある。
この回だけ、数字が話数と重なる
七本のなかで数字が入っているのは第7話の副題だけで、しかもその数字が話数と一致している。偶然そう置ける回は一本しかないので、ここに合わせるために題名を取っておいたと読める。
公式のあらすじも「カフェでひと息つく暇もなく」から始まって、「闇の指輪」「復讐者(アベンジャー)」「罠と死霊魔術」まで一気に並べている(※1)。二文しかないあらすじに、この回で新しく出てくる言葉が三つ詰まっている。
引っかけてあるのは、欲望のほうだった
この回で動いているのは戦闘の勝ち負けではなく、誰が何を欲しがっているかだ。指輪が人を選ぶ基準も、解け方も、決着の付け方も、すべて欲望の大きさで決まる。
副題が指しているのは敵の名前でも技の名前でもなく、登場人物の側にある欲望のほうである。そこを押さえると、この回の場面の並びがきれいにつながる。
「私に欲望なんて」と言った直後に飲まれる
指輪のルールは先に説明されている
倒した魔物が落としたものを拾ったところから始まる。説明はその場で入る。「それは闇の指輪」「人の精神を蝕み、欲望のままに行動させる呪いのアイテムだ」。
念押しまで付く。「気をつけろよ」「欲望が大きいほど闇に飲まれてしまうわよ」。危険の中身が、力の強さではなく本人の中身で決まると先に言われている。
返事が、そのまま引き金になる
ミーティアの返事が「そんな、私に欲望なんて」だ。否定した直後に飲まれる。
順番が逆なら「油断していた」で済むのだが、この回は本人が無いと言い切ったところに入ってくる。つまり指輪が引き当てたのは、本人が自分でも無いことにしていたものだ。
五分前に、言われている
その少し前、カフェの席でミーティアは髪型を変えて出てくる。黒いリボンを見た相手の感想が「黒のリボン似合うな」で、続くのが「悪の手先って感じだね」だった。
褒め言葉として言われ、言われた側も笑って受け取っている。その数分後に、本当に悪の側へ回る。冗談で置いた札が、そのまま次の場面の見出しになっている。
闇堕ちへの正しい対処が、付き合ってやることだった
解除条件が先に示される
対策を相談する場面で、解き方が短く示される。「指輪の呪いの解除方法は?」に返るのが「欲望が全て発散されるか、指輪が破壊されるかだ」。
片方は壊すこと、もう片方は出し切らせることである。壊すほうは相手を止めれば済むが、出し切らせるほうは、相手が望んでいることに最後まで付き合うしかない。
ミーティアの欲望は、殺意ではなかった
向き合った場面で本人が言うのが「私の望みはあなたと決着をつけること」「だから私と本気で戦いたい」だ。闇に飲まれた側の要求が、殺すことではなく本気を出させることになっている。
受ける側の返事が「それがお前の欲望なら、俺が受け止めてやる」。解除条件を知ったうえで、条件のほうを満たしにいっている。その前に「しばらく見ないうちに良い感じになったな」と軽口まで挟んでいる。
だから本気の戦いが、そのまま治療になる
公式のあらすじは同じところを「対する流星は罠と死霊魔術を駆使した魔王の本領発揮で迎え撃つ」と書いている(※1)。本領発揮という言葉だけ見ると反撃に読めるが、解除条件と並べると、これは罰ではなく処方になる。
戦い方も手加減の逆で、罠を先に仕掛け、力を絞ってから一気に解放するという段取りを踏んでいる。相手の望みが本気なのだから、手を抜くことが唯一やってはいけないことになる。
戦いの最中に本人が漏らすのが「だから罠を仕掛けた」という一言だ。勝つことだけが目的なら、仕掛けの存在をその場で言う理由は無い。
先に罠を敷き、魔力をいったん絞ってから一気に解放するという順番も、勝つためだけなら遠回りである。相手に最後まで戦わせることが目的なら、この順番のほうが理屈に合う。
探られていた側が、自分から明かす
第2話とは向きが逆になっている
第2話では、転校生としてやってきた倉石摩那と多岐川眠兎の正体を探るために、流星とミーティアのほうがロッカーに潜入して捕まっていた。第7話では逆に、流星のほうから切り出す。「俺がその魔王だからな」。
続けて出るのが謝罪だ。「魔物の件も次元の扉のことも、全て君たちに任せてしまっていた」「すまない」「詳しい話は後でさせてくれ」。正体を明かす場面が、同時に押し付けていたことの精算になっている。
受け取り方が、二人で違う
返ってくるのが「何か理由があると思ってました」で、もう一人からは「まぁ魔王って言われても信じなかっただろうけどな」「それに男の隠し事は詮索しない。それが良い女ってもんだろ?」だ。
驚きの場面として作られていない。疑っていた側が、明かされた瞬間に受け止める側へ回っている。この回で正体を隠していたことを責める人は、最後まで一人も出てこない。
もっとも、二人の愚痴はその前にひとしきり出ている。カフェの席で並ぶのが「毎日ラブコメしてんだよ」「毎日監視する身にもなれ」「私たちの気持ち分かりますか」で、同じ席から「私は好きだけど」という返事も出ている。不満の中身が任務の危険ではなく、見せられているものの甘さのほうだ。
この回でOZが抱えているもの
冒頭の司令室で並ぶのは、監視対象が増えたという報告だ。先日存在を確認した魔法少女は「我々と敵対するつもりはなさそうだが監視は必要だ」、怪我で入院していたリターナーの小鳥遊は本人の希望で学校へ復帰する、そして鳴神流星と花織ミーティア。
あわせてこれまでに暴走したリターナーが三名いると語られ、「みんなどこか壊れてしまっていたわ」と続く。そのうえで「私も信じたいから。この世界にも勇者が現れるってことをね」と言い添えるところまでが、この回の前置きになっている。
回の頭で片づけた相手も、報告のなかで種類まで確認されている。「今回の相手はヘルハウンド」「カテゴリー来訪者でした」「またも別の世界にモンスターが入り込んだようです」。穴が増えていること自体が、この回の背景として先に置かれているので、落ちていた指輪を拾ってしまう流れにも無理が無い。
作品名の由来が、寝言から掘り起こされる
倒された理由のほうが、先に語られる
打ち合ううちにミーティアが口にするのが「言ったでしょ、私はあなたを倒すために作られたって」で、続くのが「作られた兵器だ。私にはそれしかなかった」だ。
そのうえで「でも、あなたはわざと私に倒された」と言う。第5話で自分の存在意義に悩んでいた人が、闇に飲まれてはじめて、その悩みの中身を口に出している。呪いが引き出したのは怒りではなく、ずっと抱えていた問いのほうだった。
回想は、魔術の説明から始まる
戦いの途中に挟まる回想は、前世の研究室の場面だ。問いは「人は死んだらどうなるの?」で、答えが「肉体は朽ち、魂は霧散すると考えられています」「死霊魔術は、その魂のない肉体を操る魔術です」。
この回で流星が使う魔術の説明を、いちばん近くにいた人がいちばん先に聞いている形になる。
願いのほうが、作品名になっている
そこから話は転生に移る。「転生って聞いたことある?」「今の魂で別の人間に生まれ変わるの」「もしそんな魔法があったら素敵よね」。
続く一文がこうだ。「ここではない場所で、姫じゃない私と、宮廷魔術師じゃないあなたが出会うの」「その時はまた友達になってくれる?」。公式サイトの紹介文も、この作品を「実はここではない世界では魔王をやっていた」という一行で始めている(※2)。ここではない、という言い方が、公式の紹介文と前世の願いで重なっている。
掘り起こしたのは、本人ではない
目を覚ましたあとにミーティアが訊くのが「姫ってどんな人だったの?」で、「なぜそんな話を?」に返るのが「寝言で言ってたから」「何度も」だ。
返ってくる答えは、彼女がある王国の姫であり聖女でもあったこと、たまに研究室へ顔を出していたこと、そして「その時だけは、姫は仮面を外した一人の少女だった」ということだ。締めくくりが「いつも、ここではないどこかを見ていたような感じだった」。ここではない、が三度目に出てくる。
まとめ──絵コンテと演出が同じ名前になるのは、この回が初めて
公式サイトが各話のスタッフを出している
この作品は公式サイトの各話ページにスタッフを載せている(※1)。第1話から第7話まで並べると、脚本は菅原雪絵、絵コンテは山本秀世で全話同じだ。変わるのは演出で、第1話から第6話までは毎回ちがう名前が入っていた。
総作画監督は三人の持ち回りになっていて、第7話は第1話・第4話と同じ奥田陽介である。三話ごとに一周する並びが、第7話でちょうど頭に戻っている。
第7話だけ、演出も絵コンテの人が持っている
第7話の欄に並ぶのは「脚本:菅原雪絵」「絵コンテ:山本秀世」「演出:山本秀世」「総作監:奥田陽介」(※1)。絵コンテと演出が同じ名前になるのは、公開されている七本のなかでこの回が初めてになる。
闇堕ちと本気の決闘という、この作品でいちばん動きの大きい回である。そこで絵コンテを描いた人がそのまま演出に立っているという並びは、公式サイトの表からそのまま読み取れる。
暴かれたのは、殺意ではなかった
回の終わりに流星が言うのは「すまなかった。すべて俺が招いたことだ」「俺がお前を利用して、前世も転生後もお前を苦しめたことだ」で、そのあとに「先生だからな」「お前も生徒たちみんなも守るよ」と続く。
その場面に入る前の並びも合わせておきたい。目を覚ました流星に、ミーティアが「今日は学校休んだでしょ。何かあったのかと思って」と言い、流星が「魔力切れでずっと寝てしまった。ごめんなさい」と返す。ミーティアの側も「私は指輪に取り込まれたせいで、みんなに迷惑をかけちゃった」と謝り、返ってくるのが「気にすんな。お前の方こそ怪我は大丈夫か?」だった。二人が先を争うように謝っている。
闇の指輪が引き出したのは、殺意でも憎しみでもなかった。本気で相手をしてほしい、という言えなかった望みだけである。それを出し切ったところで呪いが解け、残ったのは「ここではない場所で」と願った人の話になっている。




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