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初主催のお茶会で、セラフィーナから「ユリウス様の忘れ物」として手渡されたカフスボタン。2週間言い出せなかった品が戻って安堵するユリウスは、当のエルサがまるで気にしていないことに「恋愛対象として全く認識していないのでは」ともやもやを募らせる。翌日、忘れた書類を届けにラルト城を訪れたエルサを待っていたのは、セラフィーナの兄ヤルモの意味深な言葉と、王太子夫妻も巻き込んだキャロットケーキ作戦の種明かしだった。




初主催のお茶会と、通じないマウント
野菜スイーツのおもてなし、天然の防御力
今話はエルサが旦那様の許可を得て初めて主催するお茶会から始まる。振る舞うのは自家栽培の野菜を使ったスイーツとフレッシュハーブティーで、招待客からは「お野菜だと思えないお味」と大好評。そこへ招かれていたセラフィーナが仕掛けてくる。髪飾りを褒めつつ「ユリウス様は女性と接するのに慣れている方ですから」「私も色々と素敵なものをいただきましたし」と、実に丁寧なマウントである。
ところがエルサは、オルゴールをリベルム国まで直しに行ってくれた話を嬉しそうに披露した挙げ句、「よろしければ直ったオルゴールもご覧になりますか?」とニコニコ返す始末。「いいえ、結構ですわ」と引くしかないセラフィーナに、視聴者からは「煽りがきかねぇ」「手札が少なそう」と笑いが飛んだ。悪意が天然に敗北する構図、本作の様式美だと思う。
「二人でお会いした時に」、カフスボタンの返還
帰り際、セラフィーナは本題を切り出す。「ユリウス様の忘れ物のカフスボタンなのですが」「以前ユリウス様と二人でお会いした時にお忘れになっていきましたの」。エルサが誕生日に贈った、あのカフスボタンである。二人きりを匂わせる引っかかる言い回しだが、エルサは深読みせず預かって帰る。
その夜。実は紛失から2週間、言い出せずにいたユリウスは「今日こそは言わなければ」と切り出そうとして、先にエルサからカフスボタンを差し出される。「式典の日のあの時か。彼女と話した後で落としてしまったみたいだ」「見つかってよかった。探していたんだ」。内心では「まさかセラフィーナが持っていたとは」と驚きつつ、大切な品はようやく手元に戻った。打ち明ける前に解決してしまうあたり、この夫婦のすれ違いは徹底して平和である。
すれ違う夜、悩める次期公爵
「恋愛対象として全く認識していないのでは」
問題はエルサの反応だった。なんでもない様子でセラフィーナの話をするし、カフスボタンの件も気にしていない。当のエルサはといえば「社交界の男性は本当にキラキラしていますね」「これからも家族として一緒に過ごすのですから」と、どこまでも家族目線で「とりあえず、寝ましょう」。残されたユリウスは悶々と考え込む。「彼女は俺のこと、恋愛対象として全く認識していないのでは」。そして出した結論が「とりあえず、寝よう」。夫婦そろって同じ逃げ方をするのがおかしくて、切ない。一度「きみを愛する気はない」と突き放した側が、愛されているか不安になる。タイトル回収が進行形で効いてくる場面だ。
書類を忘れる夫、庭に見とれる妻
翌朝、「今日も仕事が遅くなりそうだ」と出勤したユリウスは、今日使うと言っていた大事な書類ケースを屋敷に忘れていた。エルサが届け役を買って出て、初めてラルト城の奥へ。ところが道中で美しい庭に目を奪われ、「近くで見てもよいでしょうか」と寄り道してしまい、届け物の存在をしばし忘れる。重要書類を忘れる夫に、届ける目的を忘れる妻。視聴者が「ポンコツとポンコツのおしどり夫婦」と評した通りの、平和な役者が揃った。
ラルト城の出会い、ヤルモの微笑み
「俺なら、あなたにそんな戸惑った表情なんてさせないのに」
その庭で声をかけてきたのが、セラフィーナの兄ヤルモ・パルニラだった。ユリウスとは王立学校の同窓だという彼は、物腰柔らかに、しかし核心を突いてくる。「私が知る限り、ユリウスとあなたは接点がなかったと思うのですが、一体どのような経緯でご結婚されたのですか」。形だけの結婚を悟られてはいけない、という約束を思い出してしどろもどろになるエルサへ、さらに畳みかける。「彼は浮いた話が多いので、あなたが情を移して傷ついてしまうのではないかと」「俺なら、あなたにそんな戸惑った表情なんてさせないのに」。
そこへ、城で文官見習いとして働く弟ハンネスが登場して場は解散。だが去り際のヤルモは「またお会いできるといいですね」と微笑み、帰るエルサを眺めて「あれがユカライネン公爵家のご令嬢か」と笑う。ハンネスの忠告が重い。「没落貴族って言っても、亡きユカライネン王家の末裔なんだから、要人と付き合うときは注意しなくちゃダメだよ」「さっきの姉さん、キツネに食べられそうなウサギみたいだったよ」。本人だけが「迷子だと思って声をかけてくださったんですよ」と暢気なのが、また怖い。
稟議書類と、ユリウス目当ての令嬢たち
執務室前で書類を渡すと、文官は「今日中に稟議に回さなければならないもので、ユリウス様が持ち帰ったことを後悔なさっていたところなのです」と大感謝。エルサは焼き菓子の差し入れまで置いて、名を聞かれて「妻のエルサです」と名乗る。一方その傍らでは「ユリウス様いらっしゃるんでしょ、呼んでくださる?」「私の方が先よ」と、彼を目当てにした令嬢たちが言い争っており、ヤルモの言う「浮いた話が多い」を裏付けるような光景が広がっていた。エルサは挨拶も遠慮して「お仕事の邪魔はしたくないですし」と静かに帰ろうとする。その廊下で、当のユリウスと鉢合わせるのだった。
「微笑みの裏側」まとめと考察
キャロットケーキ作戦と、言えた「ありがとう」
ユリウスと一緒にいたのはアレクシス王太子夫妻。「なんだか可愛い奴らだな」と歓迎され、エルサは差し入れのキャロットケーキを披露する。人参と聞いて固まる野菜嫌いのユリウスだが、夫妻が「すごく美味しいです」と頬張るのを見て「俺の分を残しておくように」。殿下の「休憩を取って奥方へお茶くらい出しなさい」という強引な計らいで、二人のお茶の時間が生まれる。
そこでエルサが明かした種がふるっている。「実はもう何度か、旦那様はこのキャロットケーキを召し上がったことがあるのですよ。こっそりと朝食のスコーンと一緒に並べておりました。朝の旦那様は少々ぼんやりしていらっしゃるので。お野菜を食べていただく作戦です」。人参の匂いを抑えたレシピまで工夫済み。ユリウスは「俺の好き嫌いをずっと気にかけてくれていたのか」「どうして彼女は、当たり前みたいに寄り添ってくれるんだろう」と、素直に美味しいと口にする。
それを扉の陰から盗み聞きしていた王太子夫妻たちは、ユリウスの「何やってんですか、あなたたち」に見つかり、「ごちそうさまでした」「お幸せにな、ユリウス」「野菜は食べたほうが健康にいいぞ」と三者三様の捨て台詞で退散。そして最後にユリウスは、ちゃんと言えたのだ。「エルサ。伝えるのが遅れたが、書類を届けてくれてありがとう」。素直な感謝を口にできた小さな一歩に、視聴者からも「美味しいとありがとうが言えるの大事」と拍手が送られた。
考察、三つの「微笑みの裏側」
サブタイトルの「微笑み」は一つではない。丁寧な物腰の裏で探りを入れるヤルモの微笑み、マウントが空振りし続けるセラフィーナの微笑み、そして悪意にまるで気づかないエルサの天然の微笑み。同じ笑顔でも裏側の中身がまるで違う三者を一話に並べた構成が見事だった。パルニラ兄妹が何を狙っているのかはまだ見えないが、ハンネスの言う「亡き王家の末裔」というエルサの血筋が絡んでくるなら、ただの恋の横槍では済まないはずだ。
そして幕切れがまた不穏である。エルサは「あ…ヤルモ様にご挨拶したこと、ユリウス様に伝え忘れてしまいました」。カフスボタンの2週間といい、この夫婦のすれ違いは小さな「言いそびれ」から生まれる。次はその言いそびれを、ヤルモがどう突いてくるのか。ほのぼのの裏に張られた糸を楽しみに、次回を待ちたい。























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