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帝都に到着したエリーを出迎えたのは、到着日を伝えてもいないのに物件選定を終えていた王国時代の「デキる部下」アルノー。屋敷と商館を即決で押さえ、「教育者」と呼ばれる大商人セドリックの商会で猫人族のミーシャを新たな従者に迎える。社交パーティーでは新作の口紅を会員制の仕掛けとともに売り込み、貴婦人たちの心を掌握。一方その頃、エリザベートを失った王国は早くも傾き始めていた。締めの一言は「王国の最後を特別席でご覧に入れますわ」。




帝都到着と「デキる部下」アルノー
ティーダとの別れと、「安宿は舐められる」の教え
ルノアの乗馬練習を眺めつつ旅は終盤へ。「あれがこの国の中心、帝都よ」と、一行はついにユーティア帝国の帝都に到着する。ここでティーダは一旦お別れ。「エリーさんがお店を開いたら、ぜひ寄らせてもらうっす」「慎ましくするっす」と爽やかに去っていくが、この宣言がのちに早速裏切られるのはお約束である。
宿では、遠慮して「私はもっと安宿で大丈夫です」と言うルノアに、エリーの商人教育が入る。これから帝都で商売をする以上、どこに誰の目や耳があるか分からない。「安宿に泊まっていると舐められてしまうわ」「これも勉強、慣れなさい」。信用は見た目から作るという、実に商人らしい教えだ。視聴者からも「良い教え方をしている」と好評だった。
到着日を伝えていないのに、物件選定済み
宿を訪ねてきたのは、王国時代にエリーの下で商館の管理を任されていたというアルノー。「ご無沙汰しておりました、エリザベート様…いえ、エリー様」という挨拶からして忠義が滲む。しかも驚くべきことに、住まいとなる屋敷と商館用の物件の選定を既に完了し、内見の手筈まで整えていた。「私たちの到着日は伝えていなかったのに」「相変わらず仕事が早いわね」「それが私めの仕事ですから」。公式が「デキる部下」と紹介するだけのことはある。
内見でも「これほどの物件、次はいつ出会えるか分からないもの。決めました、こちらで契約しますわ」と予算オーバーの商館を即決し、屋敷も即決。仲介人が「若いながら腹の据わった方だ」と唸る豪快な買いっぷりで、改装は「あなたに一任しますわ、アルノー」と丸ごと委任。決めるところは即断、任せるところは全部任せる。経営者エリーの型がよく見える場面だ。
セドリック商会と、猫人族のミーシャ
使用人探しと、目を背けられない現実
午後はミレイの進言で人材探しへ。事業拡大でミレイが商会業務に回るため、エリー様付きの侍女が必要になるという。ただし、エリーは王国からの亡命者。素性を探られる危険を考えると普通の雇用は不安が残る。そこで浮上するのが、主人を裏切れない契約魔法で縛られた奴隷という選択肢だ。奴隷には犯罪奴隷と借金奴隷の二種類がある、という世界観の説明も挟まれる。
最初に訪れた店は「多少の傷はありますが、まあ潰れても買い換えれば良い話です」と平然と言い放つ典型的な安売り商会。エリーは「少し検討させていただくわ」と静かに退店する。顔色を失うルノアへの言葉がいい。「こういうことに慣れろとは言わないわ。だけど、これもまた現実よ。それは知っておいてね」。感傷でも正義でもなく、現実を見せた上で連れて歩く。この距離感がエリーの教育方針なのだろう。
「教育者」セドリックの理念と、ミーシャとの契約
次に訪れたセドリック商会は雰囲気からして別格だった。エリーの解説によれば、帝国の財界を支配し国政にすら影響力を持つ帝国商業ギルド評議会は7人の大商人で構成され、その一人が宮廷にまで人材を提供する奴隷商人、通称「教育者」。それがこの商会の主セドリックその人である。しかも初対面で「トレートル商会のエリー・レイス様」と名前を言い当ててみせ、エリーは内心「辺境の一商会に帝都の大商人が興味を持つとは思えない。おそらく私の出自を知っている」と警戒を強める。
商会の中では奴隷たちが算術の授業を受けており、教えているのも算術の才を買われた借金奴隷。学問・武術・料理・裁縫と適性に合わせた教育を施し、健康状態も良好に保つ。「道具として使うだけが奴隷の価値ではありません。それぞれに合った教育を施し健康を保ち、本人が存分にその能力を生かすことこそに価値がある」という理念は、直前の安売り商会と鮮烈な対比になっている。
そこで紹介されたのが、猫人族の少女ミーシャ・テイル。面接は初めてで緊張気味ながら訓練成績は優秀、身体能力が高く長旅にも耐え、自衛程度なら戦える。エリーはその場で契約を決め、契約魔法で所有権が委譲された。「ミーシャ、しっかりとエリー会長にお仕えしなさい」「君の幸運を祈っていますよ」と送り出すセドリックも含め、後味の良い出会いだった。
口紅と会員制、そしてイカサマ神官
メラニー夫人の社交パーティーで仕掛ける
それから数日、ミーシャは早くも秘書業務をこなし始める。来て2日で屋敷の仕事をほとんど理解する優秀ぶりに、エリーは「もう少し肩の力を抜きなさい」と苦笑気味だ。そして帝都で最初に売り出す商品として用意されたのが新作の口紅。そこへメラニー夫人から社交パーティーの誘いが届き、「ちょうどいいタイミングね」と出陣が決まる。
パーティーでは、夫人が「私が使っている化粧品を作っていらっしゃるの」とエリーを紹介。「メラニー夫人が以前にも増して美しくなられた理由はこちらでしたのね」と貴婦人たちは食いつき、購入希望が相次ぐ。ここでエリーは、生産力の都合と称して会員制を宣言し、夫人の紹介者には優先的に会員権を出すと約束する。実際には生産力は十分。狙いは会員権をステータス化することと、会員権を得た人々が間に立った夫人に借りを感じる構図を作り、それ自体を宣伝してくれた夫人への報酬にすることだ。仕上げに新作の試供品まで配って「手応えは上々のようね」。武力ではなく経済と人脈で外堀を埋めていく報復劇、この頭脳戦パートが本作の醍醐味だと思う。
夜道で再会、イカサマ神官ティーダ
帰り道、夜風の中を歩くエリーとミレイの前で、ガラの悪い男たちが誰かを取り囲んでいた。「イカサマしたのは分かってんだよ。金を返してもらおうか」。囲まれていたのはまさかのティーダである。エリーの魔法が男たちを蹴散らすと、当人はけろりと「エリーさん、感謝っす」。
事情を聞けば「酒場で神の愛を説いていて」「私が神の愛によりカードの絵柄を揃えてみせたら、彼らがお布施としてお金を」。「それはギャンブルじゃない」「そうとも言うっすね」の応酬に脱力する。慎ましくするんじゃなかったのかと問われれば、神は「まあ飲め、まあ遊べ」と仰った、この前は「まあ飲め」だけだったのに、と教義が日々増えていく始末。都合が悪くなると「おや、悩める民が助けを求める声が聞こえる」と小芝居で退散し、「この件はどうか神殿には内緒にしてほしいっす」と言い残していった。欲望に忠実すぎるイカれ聖職者、完全にレギュラーの風格である。
「新たな仲間と社交パーティー」まとめと考察
傾き始めた王国と、静観する帝国
Bパートでは舞台が王国へ移る。政策の立案・実行が滞り、内政は著しく混乱。王国の重鎮らしき人物は、外交に専念するため内政の立て直し役として一人の令嬢を呼び出す。「すべてを切り盛りしていたエリザベートがいなくなってしまいましたものね」と口にした彼女へ「あれは反逆者だ。軽々の発言は慎んでもらおうか」と釘を刺すあたり、王国の空気は変わっていない。だが令嬢は内心で「ここまで滞らせたものだわ、ボンクラの王子様は」と切り捨て、こう見抜く。「甘いわね。あのエリザベートが本当に反逆者になったのなら、この程度で済ますはずはない」。敵側に置かれた人物がエリザベートの本質を一番理解しているという、不穏で美味しい配置だ。
一方の帝都ではルーカスとのコーヒータイム。「何を企んでいるのかな」「いやですわ、まだ何もしておりません」「まだ、ね」というやり取りが軽妙で、視聴者からも「彼の戸惑いと怯えがすごい」と癒し枠扱いされていた。ルーカスは皇帝陛下に謁見済みで、エリーの行動は帝国に利益をもたらすものとして「とりあえずは静観」との言質も取れた。献上した化粧品セットは皇妃様や皇女様にも大好評。そして「ここからどうやって王国に報復するのか」との問いに、エリーは笑って答える。「これもまた布石の一つにすぎませんわ。帝国に利益をもたらしつつ、王国を叩き潰す。ルーカス様、王国の最後を特別席でご覧に入れますわ」。
考察、「まだ何もしていない」のに王国が沈んでいく
今話は徹底した準備回だが、構成の妙はエリーが王国に一切手を出していないことにある。帝都で拠点を買い、従者を雇い、口紅を売る。やっているのはそれだけなのに、Bパートの王国は勝手に傾いていく。エリザベートという屋台骨を自ら追放した時点で崩壊は始まっており、彼女はただ、その崩壊が最大化するように外側から布石を積んでいるだけだ。「まだ何もしておりません」が誇張でも韜晦でもなく事実として恐ろしい、という作りが見事である。
そして新キャラの厚みも良い。忠義のアルノー、理念の人セドリック、優秀すぎる新入りミーシャ、そして敵地で登場した切れ者の令嬢。特に後者は、フリードの無能を見抜きエリザベートの実力を正しく恐れる数少ない人物で、今後報復編の最初の障害になり得る存在だ。亡命編が一段落し、地盤・人材・販路・宮廷への伝手まで揃った。次回、いよいよ「特別席」の幕が上がるのを楽しみに待ちたい。
















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