『無職転生Ⅲ』第9話「慟哭」感想|倒れる日は八年前から数え始めていた

『無職転生Ⅲ』第9話「慟哭」感想|倒れる日は八年前から数え始めていた ファンタジー

ナナホシが倒れた原因は、七千年前に根絶したはずのドライン病だった。魔力を持たない体が、魔力の満ちた世界に八年いたことで起きる病である。そして慟哭の場面で彼女がルーデウスに投げつけたのは、助けを求める言葉ではなくうらやましいという嫉妬だった。ペルギウスに怒鳴ったのは誰か、そして魔大陸でロキシーの何が効いているのか。第9話「慟哭」を読み解く。

アニ
今週も始まるわね!第9話「慟哭」、前回ナナホシが吐血したところで終わったから心配だわね!
ラン
倒れた原因はまだ分からないのよね?お医者さんも魔術もある世界なのに、どうして治せないのかしら!
キャロ
うんうん、そこがまさに今回の中心ですよ。病の仕組みが分かった瞬間に、この回の主題も見えてきます。
アニ
そうよね!後半は魔大陸にも行くみたいだし、しっかり見届けるわね!

副題「慟哭」は、原作の話タイトルをそのまま持ってきている

第9話の副題は「慟哭」である。公式アカウントの放送告知に加えて、アニメージュプラス・電撃オンライン・PASH! PLUS・GAME Watch・アニメイトタイムズの先行カット記事がそろって同じ表記を出しているので、ここは確定と見てよい。

原作三話ぶんが、一本に畳まれている

対応する原作は、Web版の第百四十七話「慟哭」・第百四十八話「再び魔大陸へ」・第百四十九話「キシリカを探して」の三話である。アニメの副題「慟哭」は、このうち一話目のタイトルをそのまま採ったものだった。三話ぶんを一本にまとめておきながら、題としては最初の一話だけを名乗っている。

この配分は、そのまま今回の重心を示している。前半のナナホシの独白が長く、後半の魔大陸はテンポよく進む。二話ぶんの移動と聞き込みを後半に押し込んでまで、慟哭の場面に尺を割いたということだ。

▼ ネットの反応

「 #無職転生Ⅲ」第9話
TOKYO MX、BS11にて
ご視聴ありがとうございました!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
続いて
25:30~サンテレビ/24:45~KBS京都にて
第9話「慟哭」放送!!

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「空中城塞」に続いて、二回連続で原作の題を使っている

前回の第8話「空中城塞」も、原作Web版第百四十四話のタイトルと同じだった。ケイオスブレイカー編に入ってから、二回続けて原作の話タイトルがそのまま副題になっていることになる。

それ以前は必ずしもそうではない。第4話「水王級魔術師」は原作の第百三十八話「水王級」から一語伸ばした形で、第5話「お祝い」に至っては原作三話ぶんをまとめた独自の題である。章が変わったところで、題の付け方まで原作寄りに切り替わったように見える。

彼女を殺しかけているのは、魔力がないことではない

病名はドライン病と告げられる。この回でいちばん怖いのは、その仕組みのほうだった。

七千年前に根絶した病が、いま一人だけに出ている

説明はこうだ。太古の昔、人の魔力が今よりもずっと少なかった頃の病で、体内に入る魔力を中和できなかった者は例外なく命を落とした。そして七千年ほど前、人の魔力が強くなったことで根絶した。治療法は文献に残っていない。

つまりこの病は、魔力を持たない体が、魔力の満ちた世界に置かれ続けることで起きる。ナナホシが弱いから発症したのではなく、彼女がこの世界にいるから発症した。ちなみに原作では、体内に魔力を溜め込むのに十年ほどかかると書かれている。彼女がこの世界に来て八年である。倒れる日は、召喚された朝から数え始めていたことになる。

▼ ネットの反応

無職転生 9話(バレ有り)

ナナホシが倒れ、ルディは治療方法を知ってる可能性のある魔界大帝(魔眼をくれた魔王)を探す旅へ

ペルギウスの助力で魔大陸に、そこはリカリスの町で懐かしい馬の人と再会し…

ナナホシの慟哭が

「行け、ザノバロボこじ開けろ!」は笑った

⬇️既視感

#無職転生

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ルーデウスが思い出したのは、映画だった

診断が出る前、彼は前世の映画を思い出している。「昔見た映画にあったな」と前置きして挙げるのが、地球に来た宇宙人が、地球の当たり前の病気で全滅する話だった。そして「あいつ死ぬんだろうか」と続く。

診断の前に、この回の答えが独白で先に出ている。よそから来た者を殺すのは、その土地では誰も気に留めない当たり前のほうだ、と。魔術が当たり前にある世界で、魔術を使えない人間が一人だけいる。八年ぶんの日常が、そのまま毒として積み上がっていた。

ペルギウスに怒鳴ったのは、ルーデウスではない

今回いちばん誤解されやすいのが、ペルギウスとの衝突の場面だと思う。声を荒らげているのはルーデウスではなく、クリフのほうである。

ぶつかっているのは、ミリス教とラプラス討伐である

ペルギウスの立場は最初から一貫している。「我とナナホシはただの取引相手だ」「客人である以上、最低限助けはする。だが最大限は助けぬ」。理由も明かされる。彼はいずれ復活するラプラスを見つけて倒すことだけを目的に生きているので、そこに借りを作る余地がない。

これに「弱者を助けるのは力を持つ者の義務だ」とぶつけたのがクリフで、返ってきたのが「ミリス教の忌々しい教義を押し付けるな」だった。個人の冷たさの話ではなく、信仰と使命がそのまま噛み合わないという形で書かれている。原作でもこの場面で怒鳴っているのはクリフであり、ルーデウスは直接ぶつかっていない。止めに入るのが彼の妻で、口にするのが「こんなことであなたを失いたくはありませんの」であることも、誰が前に出ていたかを示している。

▼ ネットの反応

【#無職転生3期 9話】

1分1秒すら無駄がない…
ナナホシのあんな絶望した姿、初めて見た。ルディ何としても助けてあげて
わずかな可能性を頼りに、物語は再び魔大陸へ。
かつての仲間たちの面影が浮かぶ演出も最高だった。

キシリカなら何か知ってるのかな…?
クリフが功労者?
#無職転生

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突き放した言葉が、そのまま次の行動になる

ペルギウスは最後にこう言う。「文句があるなら自分で動いたらどうだ」。突き放しの一言だが、この回はここで折り返す。ルーデウスが「俺も動きます」と申し出て、返答が「動くか、貴様が」「よかろう」だった。

断られたのではない。断りの言葉のほうが、そのまま行動の指示になっている。しかも彼は時間を停滞させる使い魔の力でナナホシの進行を止め、その間に地上の者に探させると最初から言っていた。探す係が最初から空席で、そこにルーデウスが手を挙げた、という順序である。

気休めを言わない、という選び方

意識を取り戻したナナホシに、周囲がどう接するか。ここの書き分けが、この回の質を決めている。

励ましに、まっすぐ反対の言葉が返る

「気を落としてはいけません」という励ましは、たしかに一度出る。だがそれに続くのは同意ではなく、「本当に辛い奴にとって、気休めの言葉ほど聞きたくないものはないだろ」という否定だった。励ましの言葉が、その場で一度否定される。作り手が、安易な慰めを画面に置かないと決めている合図である。

▼ ネットの反応

#無職転生Ⅲ 9話
憔悴したナナホシの描写にCV.若山詩音さんの迫真の演技と挿入歌..不老だが不死ではない苦悩!両親への思いと望郷の念!.. 本当に辛いシーンでした!
気休めの言葉を一切言わないエリナリーゼとルーデウスは絶望を理解しているな!
舞台は移り魔大陸!キシリカ登場の次はアトーフェ回ですね!

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「かける言葉がありませんわ」と言えること

そのあとに置かれるのが「かける言葉がありませんわ」である。長く生きて多くを見送ってきた人物が、何も言えないと認める。沈黙が、この場面でいちばん誠実な返答として扱われている。慰めの台詞を一つも書かないという判断が、ここまで徹底されている回はそう多くない。

▼ ネットの反応

こんな意味わからん異世界で死にたくない
若山詩音さん名演技すぎて泣くわ
一人の女の子だし、元の世界で帰りたいわな

#無職転生

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見ている側にも、この選択はきちんと届いている。「一人の女の子だし、元の世界で帰りたいわな」という受け取り方は、彼女を研究者としてではなく、帰れなくなった一人の人間として見た結果だろう。今回はそこが剥き出しになった。

「うらやましいわよ、あなたが」

慟哭の中身は、死の恐怖だけではなかった。むしろ刺さるのは、目の前にいる相手へ向けた一言のほうである。

八年前から止まっている体

「私、8年前から何も変わってない」「背も伸びないし髪もそのまんま」。腹は減るし食事もするのに、爪すら伸びない。成長が止まっているのに、病だけは進む。不老の体に見えて、不死ではなかったということだ。この矛盾が、彼女の八年をそのまま言い当てている。

▼ ネットの反応

#無職転生Ⅲ 9話

ナナホシの

「死にたくない」

って言葉が、2期6話『死にたくない』でルーデウスがジュリに対して思った

「生きたいじゃなくていい
死にたくないで、とりあえずいい」

って言葉を思い出させたなって

その思いがルーデウスの動く力になったのかなと思うとグッとくる

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父の死も母の病も並べたうえで、「だから何よ」

この場面が容赦ないのは、彼女がルーデウスの不幸を知ったうえで言い放つところだ。「お父さんが死んだって、お母さんが病気で大変だって、だから何よ」。そして「うらやましいわよ、あなたが」「毎日楽しそうで」と続く。

残酷な言い分に聞こえるが、彼女の側には理屈がある。ルーデウスの不幸は、会える相手が起こした不幸である。彼女のほうは「私が死んでも、お母さんはそれを知ることすらできない」。悲しむ人がいるかどうか以前に、知られないまま消える。だから「会いたい」「家族に会いたい」だけが残る。

三期の日常回が、ここで効いている

受け止めたルーデウスの独白が、今回の芯だと思う。「この世界に来た当初の俺には、きっと刺さらなかっただろう」。家族との日常がどれだけ大切か、それを失うことがどれだけ恐ろしいかを、今の彼は知ってしまっているから刺さるという言い方をしている。

▼ ネットの反応

ルーデウスにとっての現実は彼女にとっては非現実のままで…魔力のある異世界への転生の怖さを描く作品がかつてあっただろうか。

ここまで3期で描かれた平和な日常の積み重ねがここに効いてくる。ナナホシの悲痛な叫び、若山詩音さんの名演に涙。

『無職転生Ⅲ』9話
#無職転生 #mushokutensei

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この三期は、第3話「帰ってきた日常」、第5話「お祝い」と、事件らしい事件の起きない回を丁寧に積んできた。娘が生まれ、遅れた誕生会を開き、家族がそろっていく過程である。その積み重ねが、彼を「刺さる側」に作り替えるための助走だったことが、この回で分かる。同じ台詞を一期のルーデウスにぶつけても、たぶん何も起きなかった。

帰りたい気持ちを、それぞれが自分の言葉に翻訳している

後半の魔大陸は、笑いの多い場面が続く。ただし話している中身は、前半とつながっている。

ザノバは、人形に置き換えて理解する

聞き込みの合間、ザノバがルーデウスにこう言う。「ナナホシ殿のことで責任を感じる必要はないのですからな」。そのうえで「近頃になって故郷の風景を懐かしく思えてきたのも事実ですゆえ」と続ける。彼もまた、故郷を離れて暮らしている一人である。

「きっと故郷に大切なものを残してきたのでしょうな」に対して、ルーデウスの答えは「好きな奴と家族って聞いたけどな」。ザノバはそれが今ひとつ分からないと返し、ルーデウスが「お前にとっての人形だよ」と言い換えると、「なるほど。それは確かに大切ですな」と腑に落ちる。帰りたいという気持ちは、そのままでは伝わらず、相手の大事なものに翻訳して初めて通じる。魔神語の通訳をしている道中で、感情のほうも訳し直されているのが面白い。

▼ ネットの反応

【#無職転生Ⅲ 第9話】
開幕から涙出た
演技が凄まじすぎて心に響いた
治療法を知ってるかもしれないキシリカを探して魔大陸へ
最初の街懐かしいなぁ
この広い世界でもう一度ウマに会う確率ってどのくらいよ
キシリカ、なんかあっさり会えたような記憶あったんだよね
会えたわ

#アニメ感想 #アニメ好きと繋がりたい

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連れて行けなかったロキシーが、魔大陸では効いている

見落としやすいが、この道中はロキシーの遺したもので進んでいる。魔大陸で言葉が通じるのはルーデウスだけで、ザノバが「申し訳ございません師匠、我らも魔神語を話せれば」と詫びる場面がある。その魔神語を、原作の第十七話「言語学習」では、ロキシーが手紙に同封した直筆の教科書兼辞典で覚えたことになっている。

さらに街で声をかけてきた相手が、ロキシーの昔のパーティー仲間だった。ここが効いてくる。前回の第8話で、ロキシー本人は魔族であることを理由に空中城塞へ入れてもらえなかった。同行できなかった当人が、渡した言葉と昔の仲間という形で、いちばん役に立つ場所に先回りしている。

まとめ|作品自身が「なんかデジャヴ」と言った

後半は、見覚えのあるものが次々に戻ってくる。そして最後に、作品のほうから種明かしをする。

嫌な思い出の残る街に、もう一度立つ

降り立った先について、ルーデウスは「かつてエリス、ルイジェルドと来た」「俺にとっては少し嫌な思い出の残る場所」と言う。懐かしいではなく、嫌な思い出だと先に言い切るのがこの作品らしい。今度の同行者はザノバとクリフとエリナリーゼで、面子はまるごと入れ替わっている。

▼ ネットの反応

#無職転生 Ⅲ 9話(臨時閑話)
魔界大帝キシリカ・キシリス様 降臨。
…待て待てw ちょっとまてーいw
(相席食堂の千鳥のお二人画像略)
1期12話のデータを使い回しているのかw
魔法少女の変身バンクじゃあるまいし
間違い探しに見えるがコピペではないw
(上は1期12話で下は3期9話の登場シーン)

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見ている側は、一期と並べて確かめていた

物乞いに食べ物を渡したことで相手が正体を明かす、という流れが始まったところで、ルーデウスは「なんかデジャヴ」と独白する。既視感を、登場人物のほうが先に口にしてしまう。同じことが前にもあったと作品が認めた直後に、視聴者が一期の該当場面と並べて見比べていたのが面白い。

▼ ネットの反応

キシリカ様のこのノリこの演出もはやすべてが懐かしい #mushokutensei #無職転生

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探す相手を決めたのは、年代の計算だった

相手選びが勘ではないところも、今回はきちんと書かれている。ルーデウスは最初に龍神オルステッドの名を出すが、「奴が現れたのは約100年前」「七千年前の病のことまでは知るまい」と退けられる。そこで「ん、七千年前?」と引っかかり、魔界大帝キシリカ・キシリスに行き着く。歴史書によれば、彼女は七千年前の神魔大戦の中心人物だという。百年では足りず、七千年前を見ている人物が要る。その引き算で行き先が決まっている。彼にとっては、かつて魔眼を与えてくれた相手でもある。

▼ ネットの反応

魔界大帝 ! w

「 #無職転生Ⅲ」第9話

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担当も見ておくと、この回は脚本が谷内直人、絵コンテが頂真司、演出が山下悟、総作画監督が嶋田聡史である。絵コンテと演出は、どちらも三期でこの回が初担当だった。前半をほぼ一人芝居で持たせ、後半で笑いに振るという落差の大きい構成を、新しい二人が受け持っている。脚本の谷内直人は三期で三本目で、うち第6話「修羅場再び?」もやはり昔の知り合いと再会する回だった。

今回はっきりしたのは、探しに行く理由が同情ではないということだ。ナナホシが投げつけたのは助けを求める言葉ではなく、「うらやましい」という嫉妬だった。それを浴びたうえで、家族と別れる段取りをつけ、娘の世話を頼み、「また腕とかなくさないでね」に「善処します」と答えて出ていく。転移魔法陣のおかげで移動時間はほぼゼロなので、今度は何日かに一度は帰ってこられる。帰れる人間が、帰れない人間のために出かける回だった。次はいよいよ、目の前に立った相手から話を聞くことになる。

アニ
9話、見終わったわね!ナナホシの慟哭、うらやましいって言葉が一番刺さっただわね!
ラン
助けてじゃなくて嫉妬なのね!しかもルディのお父さんが亡くなったことまで知ったうえで言ってるんだもの!
キャロ
うんうん、それを受け止められたのは今のルディだからですね。三期の日常回がここで効いてきました。
アニ
そうよね!魔大陸ではロキシーさんの昔の仲間にも会えたし、次はキシリカさんから話が聞けそうだわね!

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