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第8話「合コン round2」は、夏休み明けの大学に嘘発見器が持ち込まれる回だ。ところがこの装置、本編が途中で「これは嘘を発見する機械ではない」と自分で認めてしまう。測っているのは血圧と心拍数だけで、息を止めれば本当のことも嘘判定にできる。そのうえで前半は男たちが自分から乗り、後半は相手に差し出す。同じ機械の向きが百八十度変わるところと、通らなかった一言を追う。




「これは嘘を発見する機械ではない」と、本編が自分で言っている
測っているのは血圧と心拍数だけ
発端は、証明できない自慢話の応酬だ。持ち出された武勇伝に「他人の昨日見た夢の話なんて世界一どうでもいいだろ」と返され、「誰が夢の話をしてると言った」と言い返す。ところが対抗して出てくる話も「同じような奴がいたら証明できるんだがな」で、どちらも証人が今ここにいないことを前提にして喋っている。誰も検証されるつもりがない。
夏休み明けの大学で、男たちの大言壮語を裁くために持ち込まれるのが嘘発見器だ。「これ、ただのおもちゃじゃないですか」と言われた側の反論が「これのメカニズムは知っているか?」で、続けて「対象の血圧、心拍数を測定し、それらの変化を読み取ることで、嘘を発見する」と説明される。この時点ですでに、測っているのは嘘ではなく体だと明かされている。
そのうえで「でも、こいつら相手じゃ無理ですよ」と言われると、「そんなことは承知の上だ」「そこで、工学部の知恵を用いる」と来る。追加されるのは検出力ではなく「嘘に対する精神的負荷を増大させる」ための罰で、視聴者の反応が口をそろえて挙げているとおり、これが以前語りぐさになったシャルピー衝撃試験の再登場になっている。
「真実を嘘と偽ることも可能ということだ!」
中盤で、わざわざ整理が入る。「これは嘘を発見する機械…ではない」「あくまで血圧と心拍数を測定するものだ」「嘘をつくプレッシャー以外にも反応する」と積み上げたうえで、結論が「真実を嘘と偽ることも可能ということだ!」だ。
そして本当に実演される。息を止めて脈を上げれば、本当のことを言っても針は振れる。落ちが「教授これ欠陥品ですね」「息止めた脈拍にも反応しちゃって」「本当のことも嘘って言い張れちゃいます」で、この回の道具は最初から真実を暴く装置ではなく、体の反応を暴く装置として置かれている。後半の合コンが効くのは、この確認が先に済んでいるからだ。
動作試験の一言が、そのまま人物紹介になっている
「適当な嘘を」と言われて出てきた一文
装置を持ち込んだ側が「念のため、動作試験をしておくか」と言い、「よし、山本。何か適当な嘘を」と振る。「何でもいいんだぞ」と促されて出てきたのが「んな、いきなり言われても」「俺、今まで嘘ついたことねえし」だ。
結果は「ふん。動作異常なし」。適当な嘘を言えと頼まれて、本人は嘘のつもりでない一文を出してしまい、それがそのまま動作確認になるという組み方で、装置の説明と人物紹介が一回で終わる。続く「俺の数多い美点の一つが正直者だし」に「もう嘘はいいぞ」「反応が鳴り止まないだろ」が返るのも同じ形だ。
褒め言葉が「破壊力も申し分ない」
動作試験を見た感想が「相変わらず素晴らしい実験機だ」で、そのあとに「破壊力も申し分ない」が足される。測定器の評価として出てくる語ではない。
この一行で、装置の目的が判定ではなく執行のほうにあることが確定する。以降の場面はどれも、誰が嘘をついたかを知るためではなく、誰にどの順番で当てるかを決めるために回っていく。「じゃ、まず分かりきってる嘘から」「だな」という段取りの相談まで入るのがその証拠だ。
虚勢が真実だったときのほうが、始末が悪い
質問を重ねても、判定が変わらない
武勇伝の一つに「俺は中学時代モテすぎてファンクラブがあった」がある。「なら、それが真実だと証明してみせろ!」と装置にかけられ、「あなたは、中学時代、本当にモテましたか?」から始まる質問が続く。ところが判定は覆らない。
「もっと詳しく聞いてみろ!告白は何度もされましたか?」「はい」、「次、本当にあなたのファンクラブはありましたか?」「はい」と重ねても同じで、返ってくるのが「バカな真実だったのか」だ。虚勢を暴くつもりで始めた検証が、虚勢でなかったと判明して行き場を失うという、この作品らしい詰まり方をする。
一問足すだけで、全部が崩れる
諦めかけたところで北原伊織が「では…」と割り込み、足すのが「人間の女性でしたか」の一問だけだ。針が振れ、周りが「おい、見とれ!」「どんな相手にモテてたんだ!」と沸く。
ここが前半でいちばん効く一手で、嘘をついていない相手でも、質問を一つ足せば必ず崩れることを示している。装置は何も間違えていない。間違えていたのは、質問が足りていると思っていた側のほうだった。
「素晴らしい友情だ」の内訳が、直後の一行で割れる
「5時間ほど拷問を受けたがな」
後半の合コンは、「というわけで北原が合コンを組んでくれたんだ」という紹介から始まる。「素晴らしい友情だ」「ブラボー」と持ち上げられた直後に、当人の「5時間ほど拷問を受けたがな」が入る。
きっかけは「明日提出の課題を写させてくれ」という電話一本だ。「お前まだやってなかったのかよ」「来週だと勘違いしてたのかよ」と呆れられても、相手は「とにかく今お前の家に着くからレポートを」と押しかけてくる。断る隙が最初から用意されていない。そこから五時間で合コンの約束まで持っていかれる。
友情として語られている出来事の実態が、次の一行でひっくり返るのがこの作品の型で、公式のあらすじも「なんやかんやで伊織は脅され」と書いている。組んだ側に善意はない。それでも席には集まるし、集まれば全員が全力で自滅していく。
「少しの間お邪魔します」の続き
集めたのは奈々華で、そこに梓が呼ばれ、愛菜が声をかけた相手も加わる。新しく来た一人の挨拶が「こんばんは」「少しの間お邪魔します」で、聞き返されて答えるのが「獲物が罠にかかるまで」だ。
最初の自己紹介で宣戦布告が済んでいる。一方の男側は「今夜の俺は狼になるぞ」「泣かせるような真似はしない」「一生一途に走り続ける」と気合いを入れ、そのすぐあとに一途の対象が三方向へ散る。「お前の一途って三方向か」という突っ込みまで用意されていて、宣言から実行までの間隔が短すぎる。
同じ機械が、後半では向きを変えて置かれる
質問が「この中に好みの人はいますか」になる
会話が続かなくなった席に持ち出されるのが、同じ装置だ。「これで遊びましょう」「どういう仕組みなの」「針がここまで行くと嘘判定になって電流が流れる」と説明され、質問が「合コンの定番」として「この中に好みの人はいますか」に決まる。
前半でこの装置は、男たちが自分の主張を証明するために自分から乗る道具だった。後半では相手の本心を引き出すために差し出す道具に変わっている。機械は同じで、向きだけが百八十度変わった。「グッジョブ北原」「素晴らしい質問だ」「お前と親友でよかった」という賛辞の温度がそのまま怪しい。
男が答える番だけ、電圧が上がる
女性側が一巡したところで、伊織が「耕平そろそろあいつらやっちまおうぜ」と切り出す。理屈が「確かに俺は奴らに合コンを開くという約束はした」「だが生かして返すとは約束していない」で、「なるほど一理ある」「ないと思う」が同時に返る。
そのうえで告げられるのが「ちなみに盛り上げるために野郎どもが嘘ついたら200倍の電流が流れます」だ。同じ質問、同じ機械で、答える人によって条件だけが差し替えられている。前半の「破壊力も申し分ない」がここで回収され、以降は誰も真面目に答えられなくなる。
千紗の「いるわけないでしょ」が、通らない
第7話の「素直に言う」から、一週間で戻っている
古手川千紗の番で、質問を繰り返されての答えが「この中に好みの相手ね」「いるわけないでしょ」だ。針は振れ、「おいおい嘘かよ」「本当は好みの人がいるのね」と返される。
パラオ編の最後、千紗は「素直に言う」と前置きしてから「伊織がいてくれてよかった」と本人に向かって言っていた。大学に戻った最初の回で、いちばん素直でない答えを選び直している。しかも本人の意思とは別に、体のほうは正直に反応してしまう。前半で確認された「血圧と心拍数しか測っていない」が、ここでいちばん残酷に働く。
「このおもちゃ壊れてるんじゃない」
言い逃れが「このおもちゃ壊れてるんじゃない」で、機械のほうを疑う。周囲はそれを採用せず、「いやでも初めて会った学祭で今村にアプローチしてたし」「好みの相手ではあったんだろ」と別方向の根拠を持ち出し、当人の「何の話だ」も混ざって場が散らかる。
それでも結論は「やはりこの機械は信頼できる」だ。前半で欠陥品だと全員で確認したはずの装置が、後半では誰も疑わない基準として通っている。同じ回の中で、都合のいいほうに判定の権威が移っているのがこの回の設計になっている。
まとめ|機械は通しても、人間は通してくれない
「何人かいます」は、嘘にならない答えの作り方
男側を片づけた伊織は、そのまま席を畳もうとする。「じゃあ今日はどうもありがとうございました」「このゴミはこちらで始末しておきますので」だ。ところが「もう終わり?」と引き止められ、理由が「そうじゃなくてこれ」「まだ全員やってないでしょ」で、仕掛けた本人がいちばん最後に残る。
しかも回ってきた自分の番には、後付けの条件がつく。「答えが分かりきっててつまんないんでしょ」「だったらあの二人以外の中で答えなさいよ」だ。本人の計算が「しかしいないと答えるのは簡単だが」「だがいると答えたら?」で、どちらを選んでも詰むところまで見えている。
そこで出した答えが「俺の好みの相手はこの中に何人かいます」で、装置は通る。続く「いやーやっぱりみんないいところがあるっていうか」「まあ一人には絞れないですよね」まで含めて、嘘を真実として押し通したのではなく、嘘にならない範囲まで答えを広げている。第7話でクレームの中身を変えずに向きだけ組み直したのと同じ技で、この人物の必殺技はずっと言い換えだ。
通した先に待っているのが人間だった
ところが逃げ切れない。「じゃあ次は耕平の番ってことで」と話を送ろうとしたところに「それはちさちゃん以外にも好きな子がいるのか?」「好きな子がいるってこと?」が飛んでくる。針は振れなかったのに、席のほうが判定をやり直している。
締めの会話も「あの二人置いてきてよかったの?」「考えちゃだめ」「今はただ奴が生き延びることを祈ってやれ」で、聞き返された「何の話?」への答えが「家族愛の話」だ。副題の round2 が示すとおり、この面子が同じことをやるのは初めてではない。それでも一人も学習していないところが、この作品の帰ってきた場所ということになる。




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