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第5話のサブタイトルは「光芒 -Damocles-」。七煌星団、北狼軍、東の暁旅団の同盟軍が、空中要塞ダモクレスの迎撃に総力を挙げる。4つあるフロートのうち3つを壊すという作戦の裏で、ロゼはダモクレスを手に入れる計画も抱えていた。そして戦えないヒーローに存在価値はないと言い残した男が、戦況をひっくり返す。




協力者は常に用意しておくものさ
ダモクレスの札幌到着予定時間18時
開幕は敵側の通信からだった。ナラ・ヴォーンにプライベート回線が繋がれ、「本来であれば私ではなく、黒のクイーンであるあなたが指揮を取るべきなのですが」と詫びが入る。ナラは「案ずるな。ノーランド様のご指示だ。我が隊は敵地上部隊の制圧に専念する」と応じ、札幌ゲットーの殲滅は自分に任せろと請け合う。
こちら側の作戦会議も同時進行だ。ロゼが持ち込んだ情報は「ダモクレスの札幌到着予定時間18時」、敵の出動はナラ・ヴォーンとディボックの2部隊。「2部隊でも俺たちより全然上かよ」という声に、「ネオ・ブリタニアの全軍を相手にするよりマシだろ」と返るのが実情を物語っていた。
「どうやってこの情報を」と聞かれたロゼの答えが「協力者は常に用意しておくものさ」。実際、輸送業者を装った男が現れて合言葉でやりとりする場面が続き、アッシュが「彼も協力者の一人か」「こんなところまで仕掛けているのか。すごいなお前」と素直に感心していた。ダモクレスの護衛はディボック、対地上戦はナラという割り当てに対して、アッシュは「ナラの相手は俺がしよう。奴は強い」と申し出るが、ロゼは「兄さんにはもっと大事なミッションがある」と別の役目を渡す。この一言が最後に効いてくる。
フレイヤは残り3発で間違いないんだね
もうひとつの確認がフレイヤの残弾だった。ロゼの「フレイヤは残り3発で間違いないんだね」という問いに、ニーナが根拠を並べる。「特殊な設備がないと製造できない」「私たちが作ったものは、当時シュナイゼル殿下が全て持っていったわ」。
そのうえで「何度も当時の記録を検証して再確認もした。3発より少ないことはあっても、多いことはないと思う」と締める。上限は保証するが下限は保証しないという言い方が、科学者らしくて良かった。ロゼはサカイを通して黒戸たちへ「予定通りに行く」と伝え、「ネオ・ブリタニアの魔の手から日本人を救い出し、英雄になろう」と部隊を送り出す。
ご意見は拝聴しました。では
無辜の民に犠牲が出れば、国際社会から批判の的にされます
今回のサクラの出番は短い。しかしその一場面が、この回でいちばん苦い。皇帝としてノーランドを呼び出し、「札幌ゲットーを壊滅させるなど無意味です。今すぐ中止させなさい」と命じる。返ってきたのは「それが私を呼び出した要件ですか」という気のない確認だった。
サクラは感情ではなく理屈で押す。「テロリストを潰すためといえば名分は立つでしょう。ですが、無辜の民に犠牲が出れば、国際社会から批判の的にされます。そうなれば、この国の未来は」。第101代皇帝として、まっとうに国益を語っている。
それに対する答えが「ご意見は拝聴しました。では」で、話は最後まで言わせてもらえない。玉座に据えられた者の言葉が、据えた者にまったく届かない。影武者として生き延びるために皇帝になったのに、その皇帝の権限で人ひとり救えないことが、この短いやりとりで確定してしまった。
テロリストどもね。きれいさっぱり駆除してやる
ダモクレスの外部カメラが札幌ゲットーを捉え、熱源反応多数を確認する。「テロリストどもね。きれいさっぱり駆除してやる」という一言で攻撃が始まり、同盟軍も撃ち返す。ブレイズルミナスを部分解除して撃つ、撃ち返される、再展開して閉じる。その繰り返しが会戦の呼吸を作っていた。
見どころは黒戸の指揮だった。「チャーリー砲台車、出動」「モノベ隊、そのままベルターポイントへ追い込め」「ムネモリ隊はアルファポイントへ追い込め」と、地名と隊名だけで盤面が動いていく。主人公が指揮を執らない回なのに、指揮の場面がいちばん面白いというネットの指摘はまったくその通りで、敵側も「うろたえるな。後方部隊を支援に回せ。合流後、前線を押し返す」ときちんと立て直してくるので、読み合いとして成立していた。
4つあるフロートのうち3つは壊さないと
近づいたところで何ができるか?
北狼軍が地上部隊を引きつけ、その隙に本丸へ攻め込む。「近づいたところで何ができるか?」という敵の余裕に対して、こちらの答えが「黒の騎士団は新型のフレイヤエリミネーターを完成させた。ブレイズルミナスへの対策も同様」だった。
実際、「ブレイズルミナス一部消失。再展開まで2秒」というわずかな隙に部隊がシールドの内側へ滑り込む。難攻不落だったはずの守りが、時間の計測対象になった時点で終わっている。ディボックが「ナイトメアフレームを出せ。侵入者を排除しろ。私も出る」と自ら出るのは、それだけ想定外だったということだろう。
これで内部からダモクレスを手に入れる方法は?
ロゼの作戦は明快だった。「4つあるフロートのうち3つは壊さないと、高高度に逃げられてお手上げになる」。落とすのではなく、まず逃げられなくする。爆弾の設置を各隊に振り、ハルカには内部突入のフォローと援護を頼む。
同時に、内部でも動きがあった。「強制コマンドを解除しろ。降下に支障が出る」と咎められた者が「これ以上高度を上げないためです」と返し、「そのような命令は出ていない」「私が受けた命令は絶対です」と押し問答になる。そこへ「不審な動きをする者は味方といえどすぐに殺せ。手を止める者は射殺しろ。ノーランド様の言葉だ」という命令が飛ぶ。
直後の「これで内部からダモクレスを手に入れる方法は?」「あ、消えた」という短い会話で、ロゼがもう一つ抱えていた計画が潰れたことが分かる。味方の粛清で自軍の内通経路ごと消してしまうのだから、ノーランドのやり方は敵にとってもたちが悪い。
戦えねえヒーローに、存在価値なんてねえんだ
遠見さんからのシグナル、途絶えました
フレイヤの一撃で戦線が崩れる。しかも撃った側は「最大の効果を得られませんが」という報告に「構わん、撃て」と返していて、効率より脅しを取っていた。解析データからは「石狩川を越えて発射されると被害率70%を超えます」という数字が出る。
翼の破壊は3つ目まで進んだが、4番だけが残った。そこで手を挙げたのが遠見だった。「俺は戦力外か」「いや、まだやれる」と食い下がり、「無茶だ」と止められても引かない。「無茶は承知。だがな、戦えねえヒーローに、存在価値なんてねえんだ」。
ブレイズルミナスを展開しようにも「現在、飛行にエナジーを回しているので展開できません」「間に合いません」。そして「4番、爆破確認」の直後に「遠見さんからのシグナル、途絶えました」。ロゼの返事は「そうか」だけだった。ここで長く言わせないのが、この作品の距離感なのだと思う。第4話でロゼが掲げた英雄という言葉を、いちばん早く実行したのが同盟相手の長だったのが効いている。
これ以上の戦闘には意味がない
4番が落ちて「フロート左翼、機能停止。航行スピード25%まで落ちました。ブレイズルミナス発生装置、反応せず」となり、形勢が入れ替わる。ロゼは「ダモクレスは破壊でいいんだな」「うん。手に入れるプランは捨てた」と方針を切り替え、アッシュも合流を決める。
ここで面白かったのがナラだった。「寄せ集めの部隊にしてはよくやる」と評価したうえで、自分の役目を果たせと迫られると「作戦は失敗した。これ以上の戦闘には意味がない。フレイヤも使えない瀕死のダモクレスに、我が隊を捧げろとでも」と拒否し、部隊を引く。
敵地上部隊の撤退を見て「勝った」「これ勝ちましたよ、黒戸さん」と沸く味方に、黒戸だけが「すぐにそう判断するのは早計だ」と釘を刺す。この一言があるおかげで、次の展開が唐突にならない。自軍の被害を数えて引ける指揮官がいる一方で、そう考えない指揮官もいるという対比が、そのまま次の場面になる。
「光芒 -Damocles-」まとめと考察
コントロールは兄さんに任せる
引かなかったのがディボックだった。「このままでは私は敗戦の責を問われる。ノーランド様は部下の失敗を許しはしない」と言い残し、フレイヤを抱えたナイトメアで突っ込んでくる。「撃ち落としますか」「ダメです。フレイヤは臨界に達しています」で打つ手が消える。
そこでロゼが出したのが、温存していた札だった。「兄さん、あれを止めよう。アポロとアルテミスならまだ間に合う」。アッシュの「そうか、オルテギアなら。だがフレイヤエリミネーターが」に、ロゼは「大丈夫、持ってきた」と即答する。そして「コントロールは兄さんに任せる」「ああ、任せろ」から「エンゲージ」で合体し、フレイヤを消し去った。
冒頭でアッシュに別の役目を振ったのは、この一手のためだったことになる。ナラと殴り合わせていたら、ここに間に合わなかった。兄を最強の駒として温存しておくのがロゼの戦い方で、その相手が父の仇であることを思うと、この信頼の描き方はずっと歪んだままだ。
ダモクレスが、俺たちの上に落ちて
勝ったはずの直後に、最悪の形で落ちがつく。「奴らの墓標にしては、いささか派手すぎるが」「冥土の土産だ、持ってけ」という言葉とともに、瀕死のダモクレスがそのまま投棄される。「状況って、やばくね」「ダモクレスが、俺たちの上に落ちて」「逃げる」で、この回は終わる。
兵器として使えなくなった瞬間に、質量そのものを兵器として落としてくる。黒戸の「早計だ」がここまで早く回収されるとは思わなかった。ナラが「意味がない」と引き、ディボックが「責を問われる」と突っ込み、上層部は落として帳尻を合わせる。同じ敗北を前にした三通りの反応が、そのまま組織の描写になっていた。
今回は指揮と数の物語で、ギアスがほとんど出てこないのも印象的だった。ロゼは情報と協力者と作戦だけで戦い、サクラは皇帝の権限を使っても何ひとつ通せない。力を持っているはずの二人が、どちらも普通の手段で押し切ろうとして、片方は勝ちかけ、片方は一顧だにされなかった。サブタイトルの光芒という言葉が、遠見の最後にも、落ちてくる要塞にも重なって見える回だった。




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