この記事の作品:
メタモンをゲットしてライジングボルテッカーズの仲間入りを果たしたナヴィ。アプリは仲間の証と歓迎される中、ただ一人「俺様はまだ認めちゃいねえ」と背を向けるのがウルトだ。リコの提案で二人きりのおつかいに出れば、注文はめちゃくちゃ、喧嘩は止まらず、挙げ句にナヴィは町で迷子に。それでも、初めてのポケモンバトルで手を出さずに見守ると決めたウルトの助言が、新入りと相棒の絆を一気に深めていく。第144話「ナヴィの小さな大冒険!」を振り返る。




ブレイブアサギ号へようこそ、新入りナヴィ
アプリは仲間の証、ウルトだけが「認めちゃいねえ」
前話「ドリームボールをキミに!」でメタモンをゲットし、ミアレシティから旅立ったナヴィ。今回はその続き、ブレイブアサギ号での新生活初日である。まず渡されたのは仲間と連絡を取り合うためのアプリで、いわく「そう、アプリは仲間の証」。これで晴れてライジングボルテッカーズの一員…かと思いきや、ただ一人「俺様はまだ認めちゃいねえけどな」と水を差すのがウルトだ。ナヴィも「ウルトに認められなくたっていいもん。ナヴィはキャップのお墨付き」と一歩も引かない。あてがわれた自室が、全然帰ってこないフリードの部屋を片付けたものだというのも笑ってしまった。途中加入の新入りと、少し前まで新入りだった少年。この初日のぎこちない距離感が、今回のお話の起点になる。
船内ツアーと雑巾メタモン
続いては船内ツアーだ。スイーツは世界一と評判のマードックが腕を振るうキッチン、「相棒の体調管理はトレーナーの務めだからね」とメタモンのことも診てくれる医務室、そして石炭を燃やして生まれたエネルギーで空を飛ぶ「船にとっての心臓」機関室。大事な仕事だから楽しい、という働く大人の言葉に触れて、ナヴィの中で「お仕事」への憧れが動き出す。「何がしてみたいの?」に「なんでも!」と答えた新入りへ最初に任されたのは、みんなでの船のお掃除。ここでメタモンが雑巾に変身して床を磨く姿が、早速ネットの心を掴んでいた。ぷるぷるのコンニャク呼ばわりには笑うしかない。
リコの提案で始まる二人きりのおつかい
「一人で行けるもん」と押しつけ合いの同行
マードックから「誰か町まで食材の買い出しに行ってくれないか?」の声が上がり、医務室からは傷薬の補充も頼まれる。真っ先に手を挙げたのはナヴィ。「一人で行けるもん」と張り切るものの、さすがに一人では心配だ。そこで白羽の矢が立ったのがウルトで、「仕方ないからナヴィのおつかいに連れてってあげる」「逆だろ、このお子ちゃまが」と、出発前から早くも一触即発である。見送る側の「あの二人、大丈夫かな?」という心配に、リコはこう明かす。「うん、だからお願いしてみたの」「きっとお互いよく知らないだけ。それにヤミラミとメタモンはすごく仲良し。ポケモンと一緒なら大丈夫」…公式あらすじにある「リコの提案」の正体はこれだ。喧嘩の種になると承知の上で二人の背中を押すあたり、リコの人を見る目はもう立派なお姉さんのそれである。
注文めちゃくちゃ、喧嘩からの迷子
案の定、町でのおつかいは大荒れだ。屋台の試食が気に入ったナヴィは「美味しかったからこれください!」と頼まれてもいない品を連呼し、ウルトに「待って、頼まれたのはそれじゃねえ」と止められる。かと思えば今度は頼まれた数をど忘れして「えーい、五十個ずつくれ」とやけっぱちの注文が飛び出し、「いい加減なんだから。ちゃんとマードックの話聞いてた?」の叱責に「うるせえ!」…もはやどっちが子供か分からない。言い合いの末にナヴィは「ナヴィたちはお薬屋さん行こう」と単独行動へ。そして案内を頼りに歩くうち、知らない町なかで迷子になってしまう。一方のウルトは「あいつが勝手にどっか行ったんだから」とぼやきつつ、道行く人にナヴィの行方を尋ね、傷薬の買い物まで一人で済ませていた。そのうえで、ぽつりと漏れるのが「もしあいつに何かあったら」の本音である。口の悪さと裏腹の責任感こそ、この回のウルトの芯だ。
初めてのポケモンバトル、見守るウルト
「相棒の気持ちに応えないでどうする」
迷子の果てに、ナヴィはラッタと一触即発の場面に行き当たってしまう。ようやく追いついたウルトが取った行動は、意外にも「俺様は手を出さねえよ」。「見てみな」と促した先には、ナヴィを守ろうと身構えるメタモンの姿があった。「お前のために戦おうとやる気だぜ」。バトルなんてしたことがないと尻込みするナヴィに、ウルトは言い切る。「ナヴィ。お前はポケモンをゲットしたポケモントレーナーだろ。相棒の気持ちに応えないでどうする」「安心しろ、俺様がアドバイスしてやる」。助けてしまうのではなく、初陣を任せて隣に立つ。この線引きができる時点で、ウルトはもう十分に先輩なのだ。
変身ラッタ、そしてまさかのカイリュー
初バトルは、さながら実況型の授業になった。「メタモン、変身」でラッタそっくりに化ければ「ラッタの技が出せるはずだ」。以降も「慌てんな、相手をよく見ろ」「周りを見ろ! 使えるもん全部使って戦うんだ」「いつだって相棒を意識しろ。メタモンが頼れるのはお前だけだ」と、ウルトの助言は具体的で的確だ。そして公式の予告ツイートが「再び」と紹介した通り、メタモンはカイリューにもへんしんして応戦。レベルが足りず、たつまきの代わりにかぜおこしになってしまうあたりの芸の細かさは、ネットでも話題になっていた。決着は…ラッタに勝ったような、勝っていないような。それでも「メタモンはまだ諦めてない。ナヴィだって」と食らいついた初陣は、終わってから「さっきはごめんね」と頭を下げる律儀さまで含めて、ナヴィらしさが詰まっていた。欠けてしまったラッタの歯も自然に生えてくるそうで、ひと安心である。
「俺様は先輩だからな」、そして荷物は街に
バトルの後、「ナヴィたちのバトルどうだった?」と聞かれたウルトの答えは「ま、初めてにしては上出来じゃねえか」。先は遠いけどな、と照れ隠しを挟みつつ、極めつけはこれだ。「俺様は先輩だからな。新人をサポートするのは当然だ」…冒頭の「認めちゃいねえ」からの見事な手のひら返しである。ただし、この回はオチも忘れない。船に戻れば「ところで二人とも、買い出しの荷物は?」…「やっべえ、街に忘れてきた」。再び言い合いが始まるものの、その騒がしさはもう、出発前のトゲトゲしさとは別物だ。
「ナヴィの小さな大冒険!」まとめと考察
ナヴィ主役回と見せかけた、ウルト先輩回
第144話「ナヴィの小さな大冒険!」は、タイトル通りナヴィのお披露目回でありながら、ネットの見立てでは「ナヴィ主役回と見せかけたウルト主役回」。途中加入の自由人コンビが収拾のつかないおつかいを繰り広げ、最後はウルトがこれまで学んだことを活かして新入りを支える…彼が船内で「先輩」になったことを示す構成だった、という読みだ。タロの教えがきちんと活かされている、という指摘にも唸らされた。
そしてもう一人、株を上げたのがリコである。ボールをなくして、仲良くなったメタモンと一時離れ離れになる流れは最初のリコを思わせる、という声の通り、かつて「分からない」だらけで旅立った少女が、今は誰かの背中を押す側に立っている。好きなポケモンが定まらないナヴィにドットが共感していた、という反応も含めて、リコもドットもすっかりお姉さんなのだ。ナヴィの「自由だけど、何をしていいか分からない」は、きっとこの先の旅の命題になっていく。
ミニコーナーのお題も今回の相手役ラッタで、まるまるとした体のバランスはヒゲで取っている、触ると怒って噛みつかれるぞ、という豆知識付き。本編との連動が心憎い。次回は第145話「驚愕!メガレックウザと神秘の地!?」で、8月14日放送。ポケモンジャーナリスト・ソーダヨの招きで向かう神秘の地エリア・デルタに、あのメガレックウザが待つという。初バトルを終えたばかりの新入りの目に、伝説のポケモンはどう映るのだろうか。




関連作品:













コメント