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第11話の副題は「天福の遺物」。ベント共和国の賭場でイカサマ師を逆に破産させた遼河は、子どもしか入れない墓へ向かう。地底には、催眠にかかったような子どもたちが働く茶畑が広がっていた。遼河は天福の遺物に「お前を買うにはいくら出せばいい」と持ちかけ、金で味方に引き込む。茶畑の主である神農の遺物には、自分ごと焼き尽くす覚悟で火を放つ。




副題「天福の遺物」と、第9話と同じ顔ぶれ
公式あらすじは「取引」で締めくくられている
第11話の副題は「天福の遺物」。公式サイトのあらすじは「ベント共和国で「天福の遺物」を探索する遼河一行。」で始まり、茶畑で子どもたちが働かされていたことに触れて、「遼河はその茶畑を作った「神農の遺物」に取引を持ちかける。」で終わる。遺物を奪う話ではなく、遺物と取引する話として予告されている。
副題に遺物の名前が入ったのは初めて
副題に「遺物」の語が入るのは、第2話「遺物の主になろうとする者」、第7話「遺物の復元」、第9話「遺物を統べる者」、第10話「遺物の呪い」に続いて五回目になる。前の四回はどれも遺物一般を指していたが、今回は「天福」という一つの遺物の名前が付いている。副題が遺物という大きな話から、目の前の一つの遺物へと焦点を絞っている。
絵コンテから作画監督まで、第9話と同じ
公式サイトの担当者は、絵コンテが Woo Seung Wook、KIM C.H、Jo Young Dae、演出が Kang Ill Gu、総作画監督が Lee Hyun Joung、作画監督が Kim Eun Ha、Jeon Jong Min、Jung Dae Woon、Kang Min Ji。四つの欄の顔ぶれが、第9話「遺物を統べる者」とすべて一致している。遺物を統べる回と、遺物と取引する回が、同じ作り手たちの手で作られている。
賭場の「イカサマした分も払うべきだろう」
「幸運の女神の加護を受けた」コイン
物語は賭場から始まる。「何がありえないんだ実力がないだけだろ」とうそぶく相手に、遼河は「ロイヤルストレートフラッシュ」で勝つ。相手が握っていたのは「幸運の女神の加護を受けた」コインで、「人々が幸せを願って投げたコインが遺物化したものだな」「これでいいカードが出るようイカサマしてたんだろ」「だが残念所詮C級」。相手のイカサマを、より格上の遺物で上から塗りつぶしている。
「アイリーンの力で俺たち以外は不幸になるから」
遼河の側の仕掛けは「SS級の遺物の不幸を浴びせてるんだ」「アイリーンの力で俺たち以外は不幸になるから」「当然いいカードは俺の元に来るってわけだ」。そのうえで「イカサマした分も払うべきだろう」「大目に見て一人100万ドル」「ただで許してもらえると思ったのか」「そんなに甘くないぞ」と迫る。イカサマを暴いた側が、もっと大きな遺物の力で勝っているのがこの作品らしい。
「子供たちを集める天福の遺物」
金の代わりに求めたのは情報だった。「金がないなら他のものでもいいが」「俺は心が広いからな」「子供たちを集める天福の遺物」「そいつを出せ」「キイラがここで何を企んでるのか」「洗いざらい吐け」。相手が「天福の遺物もそこにある」と口を割るまで、アイリーンの力は相手の体にも及んでいた。賭けの勝ち負けは、最初から情報を引き出すための入り口だった。
「任務を与えた俺が悪かった」
その直後、アイリーンの姿が消える。遼河は「これは明らかにリスクだ」「遺物の扱いに不慣れな」相手に「任務を与えた俺が悪かった」と自分を責め、「むやみに走り回ってもダメだ」「考えろ」「遺物が放つオーラを見つければいい」と切り替えて「見つけた」。力を使わせた側が、使わせた責任まで引き受けている。
地底の茶畑と、働かされる子どもたち
「まともな入り口から入りましょうよ」
墓は「子供だけが接近できるのか」という場所だった。「さつまいもの遺物を出してくれ」と言う遼河に、仲間は「もう団長いい加減まともな入り口から入りましょうよ」「これじゃ命がいくつあったって足りない」とぼやく。子どもしか入れない墓に、大人が正面以外から押し入っている。
「まるで催眠術にでもかかってるような」
地底に広がっていたのは「地底にこんな大きな茶畑ですよ」「それに子供たち」という光景だった。「さっきあんなに大きな爆発があったのに」「動揺せずに一心に働いてるとは」「まるで催眠術にでもかかってるような」「確かにおかしな光景だ」。爆発にも反応しない子どもたちの静けさが、この茶畑の異常さをいちばんよく伝えている。
「この墓には子供しか入れないという制約があるから」
遼河の読みは「この墓には子供しか入れないという制約があるから」「天福の遺物で子供たちをさらって働かせているんだ」。キイラもこの茶畑を見つけ、「遺物が作り出した茶葉だと知り」「収穫することにしたんだろうが」と続く。墓の制約を利用するために、子どもが道具として集められている。
茶畑を作った「神農の遺物」
「人間の体に牛の頭を持ち」
茶畑の正体について、遼河は「人間の体に牛の頭を持ち」「茶葉と関連する人物といえば」「この茶畑は神農の遺物が作ったものだ」と見立てる。画面には牛頭人身の力が宿った茶畑だという説明も出る。子どもたちが摘んでいたのは、ただの茶葉ではなかった。
「茶葉を噛んで解毒したという説もある」
神農について、遼河は「初めて農具を作り」「農業を教えた人物だ」「あらゆる野草を毒味して」「薬草と毒草を区別し」「毒草による中毒は」「茶葉を噛んで解毒したという説もある」と説明する。人に農業を教えた神の名を持つ遺物が、子どもを働かせる農地の主になっている。
「二つの遺物をいただくとしましょうか」
遼河は「さあ早速ですが」「二つの遺物をいただくとしましょうか」と宣言する。天福の遺物と神農の遺物を、両方とも持ち帰るつもりだ。一つを探しに来て、二つとも取りに行くのが遼河のやり方だ。
天福の遺物との取引「お前を買うにはいくら出せばいい」
「お前が金に目がないことは知ってる」
天福の遺物の正体はミミズだった。「オーラを漂わせてくれるとは」「こっちとしてはありがたい」と居場所を突き止めた遼河は、「手出しはしないからひとまず落ち着けって」「嘘ついてどうする」となだめ、「それじゃあ俺たち取引しないか」「お前が金に目がないことは知ってる」「お前を買うにはいくら出せばいい」と切り出す。仲間は「ミミズと何の話をしてるんですか」と面食らう。力でねじ伏せる前に、相手の欲しいものを確かめている。
「20億追加だ」
遼河は「ほら20億だ」、さらに「20億追加だ」と積み上げ、「これで俺との契約は成立だな」と迫る。ところがミミズは「もう一声いかないか」「今のご主人様との契約金がもっと多いぞ」。遼河は「あの女は一体どれだけ貢いだんだ」とぼやきながら、「結局準備した金」「非常用の金」「時計まで」「金になるもの」「全て差し出した」「ホルトン家の土地登記書類まで」。キイラとの契約を、それ以上の金で上書きする形で奪っている。
「仕事させるなら賃金を払え」
契約が済むと、遼河の最初の命令は「催眠の解けた子供たちに茶葉と苗木を運ばせろ」「ここから出る準備をする」だった。ミミズは「料金は7000万ドルでございます」と請求し、「さっきのは文字通り契約金」「仕事させるなら賃金を払え」と言う。遼河は「出たら払うから」「ひとまず黙って仕事に取り掛かれ」。子どもたちを解放する命令と一緒に、茶葉と苗木もしっかり持ち出させている。
神農の遺物との対決「お前がくたばれば」
「我が農地の農民を連れ出した罰を受けてもらう」
「お前たち農地を捨てて逃げようとするとは」と神農が現れる。遼河はミミズに「俺の部下と子供たち全員出口へ案内しろ」と命じ、自分は「神農を捕まえたらすぐに追いかけるのでご心配なく」と残る。神農は「我を捕まえるだと」「我が農地の農民を連れ出した罰を受けてもらう」「地獄の深淵に飲み込んでやる」。神農にとって、さらわれた子どもたちは「農民」だった。
「神農は神クラスである可能性が高い」
「やっぱり茶の木に偽装していた」と正体を見抜いた遼河も、「これは危険だな」「神農は神クラスである可能性が高い」「支配力で抑え込めないなら」と身構える。武器をしまった遼河に、神農は「諦めがついたということか」と問う。答えは「いや試してみたくてね」。勝てない相手だと分かったところから、遼河の本当の手が始まる。
「ならここの主であるお前がくたばれば」
遼河は「見たところここには外に出る道がなさそうだ」「ならここの主であるお前がくたばれば」「出られるんじゃないかと思ってな」と言い、「ホモエレクトスの人類最初の火種」「CIAの奴らから奪ったD級遺物だ」を取り出す。「まさかお前自爆すると言うのか」「ちょうどここには焚き木になる木が多いし」「ちょっと火を放てばあっという間に燃え尽きるはずだ」「残念だが俺はそう簡単には死なない」「お前の持てる力を出し尽くせ」「すべて燃やし尽くせ」。茶の木に化けた遺物に対して、人類最初の火という一番古い道具で答えている。
「仕事が増えるのはさぞ嬉しいだろうな」
「墓は俺が爆破したんだ」
崩れた墓の外で待っていた仲間は、「だって団長はもう死んじゃったんじゃないかって」と泣き顔を見せる。遼河は「俺が死ぬわけないだろう」「墓は俺が爆破したんだ」と平然と言い、「本当に無事でよかったです」「コウタロウさんがすごく心配してました」と迎えられる。死んだと思われた本人が、墓を壊した張本人だった。
「団長に何かあれば僕の仕事がなくなりますからね」
孝太郎は「心配して当然でしょ」「団長は僕の雇い主ですし」「団長に何かあれば僕の仕事がなくなりますからね」と照れ隠しをする。遼河は「仕事がなくなるのが心配か」「だったら仕事が増えるのはさぞ嬉しいだろうな」と返し、「神農の遺物、面倒だったから燃やした」「その火打石も壊れたから直してくれ」。孝太郎の「こんなの直せないよ」は、「今直せないって言ったか」の一言で「はい、直します」に変わる。神クラスの遺物を燃やした後始末が、いちばん身近な部下の仕事になっている。
追われる仲間と、アイリーンの両親
「アーモンドの木を狙っているようですが」
遼河は仲間を呼び出し、アイリーンの両親の治療に向かう。アイリーンは「どういうわけかまだ家に連絡がつかなくて」「兄まで連絡が取れないので少し不安で」と打ち明け、遼河は「すぐにご両親を治療できますから」と励ます。そこへ「兄貴、大変です」「今そっちに向かってますが何者かに追われてます」「アーモンドの木を狙っているようですが」と連絡が入る。治療のために運んでいる遺物そのものが、狙われている。
「俺のこと調べていたんだな」
遼河は「キイラか」「動きがないと思ったら」「俺のこと調べていたんだな」と見抜き、「待ち合わせ場所を変更する」「何としても振り切れ」「絶対に捕まるなよ」「捕まったら俺の手で殺してやる」と指示する。茶畑で金を積まれて契約を奪われたキイラが、今度は遼河の足元を狙い返してきている。
「さっきからずーっと渋滞なんです」
心配するアイリーンに遼河は「ご心配なく」「自分たちで切り抜けるでしょう」と言うが、「運転手さんスピードを上げてください」と頼んだ車は「さっきからずーっと渋滞なんです」。アイリーンは「治療の遺物を手に入れられなくなって」「私の両親も」と不安をこぼす。遺物の力で賭場を支配した遼河も、渋滞だけはどうにもできない。
まとめと考察
金で買える遺物と、燃やすしかなかった遺物
この回の遼河は、天福の遺物には「お前を買うにはいくら出せばいい」と金を積み、神農の遺物には「お前がくたばれば」と火を放った。金に目がない遺物は買えたが、農地と農民に執着する遺物は買えなかった。相手が何に執着しているかで、取引するか燃やすかが分かれている。
イカサマを暴いて、もっと大きな力で勝つ
賭場では格上の遺物でイカサマを上書きし、地底ではキイラとの契約を上回る金で上書きした。遼河がやっていることは、相手のルールの上でより大きく勝つことだ。正しさで裁くのではなく、相手より多く積むことで状況をひっくり返すのが、この回の遼河の一貫したやり方だった。
救い出した子どもたちと、運び出した茶葉
遼河は子どもたちの催眠を解いて外へ出したが、同じ命令で「茶葉と苗木」も運ばせていた。救出と盗掘が同じ一つの命令に入っているところに、盗掘王という題名の遼河らしさが出ている。




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