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猛特訓を経て、弾子たち球川闘球部がついに聖アローズとの試合に臨む。格闘技の興奮を加えた新世代スポーツ「スーパードッジボール」のルールのもと、珍子・もち子・スージーの合体技が、剛速球アックスショットの柔里からヒットを奪う。だがそれがお嬢様・平子の怒りに火を点け、聖アローズの猛攻でコートに残るのは弾子と羽仁衣の二人だけに。絶体絶命のその時、弱虫だったはずの羽仁衣がついに覚醒する。




スーパードッジボール、試合開始
うちの学校の先生が、審判に
猛特訓を終えた球川闘球部が、いよいよ聖アローズとの試合に臨む。審判を務めるのは、なんと弾子たちの学校の体育教師だった。聖アローズにとっては大事なスポンサーらしく「なんかすっかりあっち側だな」と弾子たちも苦笑いだが、本人は「試合は試合。公平にジャッジするわ」と言い切る。
試合形式は、従来のドッジボールに格闘技の興奮を加えた新世代スポーツ「スーパードッジボール」。そのアレンジルールで行われる。スタート時は内野に4人、外野に3人。時間は無制限。内野のメンバーがヒットされると、まだヒットされていない外野のメンバーと交代する。外野は敵に当てても内野には戻れず、当てられた者が外野へ移る。すべての敵をヒットして先に相手の内野を空にしたチームが勝者だ。
敵陣のスポンサーに囲まれた完全アウェーの空気を、「試合は試合」と割り切る先生の一言で引き締めるのがいい。ルール説明をきちんと挟むので、この後の技の応酬が「何がすごいのか」分かるようになっている。
ウォーミングアップという名の豪速球
聖アローズの「ウォーミングアップ、はじめ」の合図とともに飛んできたのは、ウォーミングアップとは思えないマジの豪速球だった。「ボールが見えねえ」「まだウォーミングアップなのに、すげえバックスピンだ」と、球川側は開始前から相手の実力を思い知らされる。
聖アローズ闘球部は常に品格を忘れない、というのが彼女たちの矜持である。「我らの存在はすべて、平子お嬢様のために」。そしてジャンプボールで試合が始まった。
練習風景を見ただけで相手が驚く、という描写で両チームの格の差を先に見せておく。「お嬢様のために」という聖アローズの気質が、この後の平子の暴走を用意しているのも周到だ。
合体技が、柔里からヒットを奪う
三人の得意分野を、一つに束ねて
先手を取ったのは球川だった。プールで特訓した成果を、三人がかりの合体技として繰り出す。スーザン・キャノンが二人をハンマー投げのように回すパワー、江袋もち子の衝撃を吸収する柔らかい体、そして小仏珍子が一度見ただけで平子のショットを再現する技——それぞれの得意分野を束ねて、剛速球アックスショットを操る柔里からヒットを奪ってみせた。
「たかが三人で取れるわけがない」と侮っていた聖アローズは、「プールで特訓した成果が出たわね」「チームワークの勝利ですよ」という球川の手応えの前に虚を突かれる。柔里が三年間で積み上げた筋肉量による剛速球を、連携ひとつで攻略したのだ。
個々の力では及ばない相手を、役割分担で崩すという入り方がいい。珍子の「一度見た技を再現する」能力が、よりによって相手の必殺技を跳ね返す形で効くのも気持ちがいい。
「やってくれたね」——平子の逆鱗
だが、その一撃が平子の怒りに火を点けた。「やってくれたね。か弱き我が党を、よくも」。弾子との一対一に強く執着する平子にとって、その前に手駒を崩されることは我慢ならない。「弾子君の前に、君たちを始末する必要があるようだ」と、聖アローズの猛攻が始まる。
恐ろしいことに、このスポーツではヘッドアタックも認められている。もちろん致命傷にならない範囲での話だが、顔面を狙うボールが飛び交う。そして平子は一度に三人を命中させる大技を放ち、せっかく合体技を決めた珍子・もち子・スージーを一気に外野へ追いやってしまう。
散り際にも「お決まりの台詞は忘れない」のが珍子たちの可笑しさで、シリアスとギャグの配合がこの作品の持ち味だと分かる。望み通り弾子との一騎打ちへ近づけていく平子の執着が、そのまま球川を追い詰めていく怖さになっている。
羽仁衣、覚醒する
コートに残ったのは、弾子と羽仁衣
聖アローズの容赦ない攻勢で、球川はみるみる数を減らしていく。「助っ人の俺たちが女の子を守ってみせるぜ」と息巻いた二人組もあっけなくアウトになり、外野に出た三人はもう内野へは戻れない。コートに残されたのは、弾子と羽仁衣のわずか二人だけという絶体絶命の状況に追い込まれた。
普段の羽仁衣は、陰キャでコミュ障な初等部四年生。校長に頼まれて闘球部にスパイとして潜入してきた、ドローンやAIを操る頭脳派である。その彼女が、狙われて追い詰められながらも、「我は非力。弾子さんたちにはまるで及ばない」と自分に言い聞かせていた。
いちばん戦力になりそうにない二人がコートに取り残される、という最悪の絵で引くのが上手い。強い弾子ではなく、弱虫の羽仁衣に焦点を移すことで、この後の覚醒が「誰の物語か」をはっきりさせている。
「みんなを守る」——ハニーホーミングス
追い詰められた羽仁衣の中で、何かが切り替わる。「でも、だからこそ我は秘密特訓をした。追いつくためには、誰よりも努力しなくちゃいけない。みんなの足を引っ張るわけにはいかない」。我は闘球部を、みんなを守る——そう心に決めて、彼女は「ハニーホーミングス」を放った。
普段は弱虫キャラの羽仁衣が、弾子のため、チームのために奮起する。続けざまの「ハニーシューティングスター」で流れを押し返し、「だいぶ報告と違うな。ポンコツじゃなかったのかよ」と相手を面食らわせる。頭脳だけでなく、影で誰よりも努力を重ねていたことが、この土壇場で明かされた。
覚醒の中身が超人的な才能ではなく、「誰よりも努力しなくちゃいけない」という秘密特訓だったのがいい。スパイとして入ってきたはずの羽仁衣が、いつのまにか本気で仲間を守ろうとしている。その心変わりが、この回いちばんの熱源になっている。
まとめ——二階堂の父娘が背負う、宿命のライバル
なぜ平子は、弾子にここまで執着するのか
試合の合間に、平子が弾子たちの学校にまで現れて父を紹介する場面がある。聖アローズ闘球部を率いる二階堂大河——彼こそ、弾子の父・一撃弾平の宿命のライバルだった。二人は後に名勝負と語り継がれる試合の数々を繰り広げ、時に喝を入れ、時に励まし合いながら、互いを鍛え上げていったのだという。
大河の必殺ショットはスカイショット、そしてハイパーダイビングショット。それを受け継ぎ発展させたのが、平子のダンシングスカイショットである。決着がつかないまま大河はヨーロッパへ留学し、二人は再戦を約束して別れた。だからこそ「僕たちの出会いは運命なのさ」と、平子は弾子との一対一の勝負に執着する。
試合はまだ続く
第3話は、球川の連携が通じた爽快さと、それを上回る聖アローズの地力、そして弱虫・羽仁衣の覚醒までを一気に見せた回だった。合体技でヒットを奪った高揚から、平子の逆鱗による猛攻、残された二人という絶望、そして覚醒——という感情の上下動が忙しく、それでいて気持ちがいい。
親の代からの因縁を娘たちが引き継ぐという縦軸も、この回で一気に見えてきた。弾平と大河の宿命のライバル関係が、弾子と平子の勝負に受け継がれていく。覚醒した羽仁衣を加えて、球川はこの窮地をどう切り返すのか。試合はまだ決着していない。続きは次回に持ち越しである。




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